戦後、貿易収支は常に黒字でしたが、3.11以降、赤字になり、今後貿易収支は赤字体質になる模様です。東日本大震災によりサプライチェーンが分断されたことにより自動車産業等の主要産業の輸出がストップしたことが貿易収支赤字の原因かと思いましたが、そうではないようです。日本企業の不断の努力により輸出は既に持ち直しております。問題は、輸入の増え方が異常に高いことが原因です。
“風が吹けば桶屋が儲かる”の類の連鎖的影響です。3.11、そして原発事故、原発から火力に発電はシフト、火力発電の燃料であるLNGの輸入量の増大、更にLNGの価格のアップ、LNGの輸入金額のアップ、その結果、貿易収支は赤字です。そして最近、イランがホルムズ海峡を封鎖するとの発言をしていることで原油価格が上がり始め、100ドルを超える水準となっています。そして中長期的には新興国の進展により世界的に資源需要が伸びる可能性が高いのです。資源高と原発問題によるLNGの輸入増によって、日本の貿易赤字の傾向が続くと言われています。
良いことは、所得収支(海外からの配当、利子所得等)が黒字なことです。所得収支が黒字ですから、貿易収支が赤字でも、両者を合わせるとネットで黒字だから問題ないが現状です。全体で黒字基調であれば、あと4年から5年間、国債の暴落は避けられるでしょう。国民の金融資産1,200兆円から国債残高1,000兆円を差し引いた200兆円があるため、国債の残高が毎年40兆円積み上がっても5年間は国内で消化できます。今、話題の製造業の国外移転は、長期的には所得収支の黒字増大に寄与します。その観点から考えると、所得収支は逓増していきます。しかし、企業が海外進出しても配当収入が増えるとは限らないのです。日本経済が成長しなかったら、企業が配当を日本に送るとは限らないのです。もっと成長が期待できる国に再投資しようとする可能性が高いのです。企業が自社のパフォーマンスをベストにしようと考えるなら当然の行為です。つまり、日本企業としてベストな選択をしたとしても、日本経済にとってベストな状況にならないという、合成の誤謬が起こるわけです。そのことは認識しておかなければなりません。日経を読むと、企業の業績は必ずしも悪くありません。しかし、日本のデフレ感は一向に改善されません。それは、当に合成の誤謬が起きているからです。日本企業の好決算は、国外移転した事業が貢献しているのであって、国内の事業が必ずしも貢献している訳ではないからです。
国内の事業が元気になる必要があります。国内の事業が元気になれば、多くの問題が解決できます。しかし、国内の事業を元気にするのは、企業ではありません。企業は、自社のパフォーマンスをベストにしよう行動しますから、日本がベストな環境であれば、日本に投資しますが、そうでなければドンドン海外に投資していきます。日本をベストな環境にするには、既存の事業を守ることより新しい事業を興すことが大事です。そのためには、政治の力に期待したいです。先ず、これから10年先を見据えたマスタープランの策定、そして、そのプランを遂行するためには既得権を排除することです。“コンクリート(既存の事業を守る)から人(新しい事業を興す)へ”とスローガンを掲げた政党があったはずですが、どうしたのでしょうね!?
この度、「公認会計士USCPAのための租税法」(千倉書房)(クリックするとアマゾンの画面に飛びます)を上梓しました。
この本は、大型書店に平積みされています。また、アマゾン、楽天ブックス等のインターネット書店でも購入できます。
この本は他の租税法の本にない三つの特徴があります。
第一は【会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計処理の税法への影響】を取り上げたことです。
第二は、【IFRSに基づく決算書を公表している会社の税金の開示とその解説】をしました。
最後に【IFRS適用による会計処理が税法へ与える影響】を検討したことです。
この本に関心を持って欲しい読者は、会計監査人として会計監査に携る若手・中堅公認会計士・USCPAです。そして、次に、決算書を作成する立場にあるCFOの方々です。
先日、エコノミスト、同志社大学大学院教授である浜矩子氏のスピーチを聞く機会がありました。その中で浜先生が話された「昆虫戦争」は、大変興味ある話でしたので、ご紹介いたします。エコノミストである浜先生の話ですから、昆虫ウォーズのムシボーグの話ではないです。キリギリスとアリのたとえ話(夏の間、アリたちは冬の間の食料をためるために働き続け、キリギリスは歌を歌って遊び、働かない。やがて冬が来て、キリギリスは食べ物を探すが見つからず、アリたちに頼んで、食べ物を分けてもらおうとするが、「夏には歌っていたのだから、冬には踊ったらどうだ?」と断られ、キリギリスは餓死する)をテーマにした経済の話です。
『キリギリスとアリによる「昆虫戦争」は世界中で起こっています。豚と軽蔑される国々PIGS(ポルトガル、アイルランド、ギリシャ、スペイン)があります。ヨーロッパでは、PIGSがキリギリスの国です。キリギリスの国は、アリの国であるドイツに援助を請うています。世界的に見ると、米国がキリギリスの国の代表であり、アリの国はドイツ、日本、中国になります。日本がアリの国かと疑問を持つでしょうが、そうなのです。日本の政府部門と民間部門を分けてみると、政府部門はキリギリスで、民間部門はアリです。その両者のプラス・マイナスを相殺すると現状は未だアリです。
米国がキリギリス、日本がアリの状況が続けば、為替は1$=¥50にまで円高になると非常にセンセーショナルな浜先生の話でした。多分、浜先生は、1$=¥50になると予言したのではないと思います。米国がキリギリスである限り、過大評価されたドルの価値の修正は避けて通れない。そうであるとアリの日本に資金は流入し、円高基調は続くのです。
日本がアリである限り、米国がキリギリスである限り、世界は永遠の暗闇に突入します。
その解決策は、容易ではありません。違った生き物に変容しない限り破綻の坂道を転げ落ちるのです。理想は、世界がアリギリスになることですが、多分、無理でしょう!変容が無理であるなら、発想の転換が必要です。自分さえ良ければOKとする「僕富論」から、君を豊かにしてあげる「君富論」への発想の転換が大事と考えます。』
浜先生の話は、歯切れよく非常に判り易かったですが、最後の結論には多少ついていけない感じがしました。想像するに・・暗い話でスピーチを終わるのは芸がないと考え、リップサービスをしたのではないか・・逆説的に言えば、それだけ、昆虫戦争の処理は困難であるということかと思います。
今年最後のブログの更新です。みなさま、良い年をお迎えください。
国債の残高が1,000兆円を超え、GDPの2倍以上の水準になってきています。そして、平成23年度の予算案は、国債の発行額が税収を上回る異常な水準になっていて、改善ではなく改悪の状態です。日本人の金融資産1,200兆円があるから、「国債がいくら積み上がろうが、それを国内投資家が買うから、何の問題もない」との論理がまかり通っています。しかし、その余裕も200兆円、現状の歳出のままで4年から5年の余裕です。
もしかすると、国債暴落(日本経済の破綻)は突然やって来ます。
それはギリシャを発端とする金融危機が引き金になるのでなく、日本の事情によると考えます。その理由の 一つは、製造業の生産拠点が海外に移転することにあります。このため製品輸出が減少し、むしろ輸入が増大します。その結果、貿易収支は、いずれ赤字に転落しまいます。もう一つは、原油や食料品をはじめとする1次産品価格の世界的上昇です。世界人口の爆発的増大と、新興国経済の離陸が原因です。そうすると、1次産品価格の輸入価格は上昇します。そうすると、貿易収支の赤字は加速するものとなります。
貿易収支の赤字化が、資金の流れの逆転現象を始まります。貿易収支の赤字化が国債暴落のプロローグとなります。そして、特に注意を要する点は、一旦、金融市場が金利上昇にギアチェンジすると、債券価格の下落は想像出来ないスピードで進むことです。外資系証券会社が導入しているアルゴリズムに基づく売買システムの下では、1,000の1秒単位で取引がされるのです。10億円の債券の売買を1秒続ければ、1兆円という莫大な債券の売買が可能となるのです。日本の国債を暴落させるには、10分あれば十分でしょう。ですから、国債暴落は突然やって来ます。
3.11直後は、“日本頑張れ!”の声が至る所で聞こえました。そして、人々は真剣に“日本頑張れ!”と思っていました。しかし、その中の多くの人々が、今は“日本頑張れ!”の実行を阻止しているのです。まずいことにそれらの人々は、自分達が“日本頑張れ!”の実行を阻止していると気付いていないことです。
3.11による原発事故以降、異常な放射能に対する過敏な反応は、結果として“日本頑張れ!”の実行を阻止しているのです。福島産というだけでの拒絶反応がその最たるものです。放射能ゼロだから絶対安全という考えは、木を見て森を見ない議論と考えます。食の安全を脅かすものは、農薬、化学物質、遺伝子組み換え、その他もろもろの要因があります。絶対安全は、神話に過ぎないのです。もっと現実的に対応する必要があります。ここで興味あるアドバイスを紹介します。原発反対の急先鋒である京都大学原子炉実験所助教、小出裕章氏の話の一部を紹介します。「・・福島の一次産業を守る必要もある。東電に買い取らせても捨てるだけだ。これまで農業は酪農を営んできた方々が捨てるとわかっている農作物を作れるのか、牛を育てられるのか、私ならできない。仕事には誇りが必要です。社会の中で必要とされなければ仕事はできない。だから汚染した農作物は子供でなく大人が引き受けて食べるのです。そのためには、どの食べ物がどれだけ汚染されているかを正確に知ってランク付けし、60禁(60歳以上の方に食べていただく。しかし、60歳以下には禁止)、50禁、40禁を作る必要があります。」(平成23年7月16日の『原発を考える』での講演より引用)
小出先生の言いたいことは、放射能に関して、子供と大人を同様に考えてはいけない。大人は、これまで原子力を許してきた責任があるので結果として犠牲を引き受けなければならないです。原発賛成の先生の意見ではなく、原発猛反対の先生のコメントであることは重く受け止める必要があります。
自分の権利だけを主張し責任を果たさない風潮が、大いに問題であると考えています。異常な放射能に対する過敏な反応は、結果として“日本頑張れ!”の実行を阻止しているのです。
今こそ、“日本頑張れ!”が必要な時と考えます。
本ブログの読者(匿名さん、酒井さん)からのコメントも載せました。

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