2006年4月アーカイブ

税理士が税務署員と結託し、勝手に虚偽申告したのに、納税者本人に重加算税(35%)を追徴したのは不当として、東京都大田区の男性が課税処分取り消しを求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第三小法廷は25日、過少申告加算税分の課税を認めた二審東京高裁判決を破棄、処分を取り消した。
浜田邦夫裁判長は判決理由で「税務署員が積極的に不正にかかわった極めて特殊な事情があり、加算税を課すのは酷だ」との判断を示した。(2006/04/26, 日本経済新聞 朝刊)

法源

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法源とは裁判官が判決理由とする法的判断の根拠となる規範です。日本法であれば憲法や法律が代表的法源となります。
税の分野では所得税法、法人税法、消費税法が代表的な法律です。法人税法を例にした場合、我々は常々、法人税法、法人税法施行令、法人税法施行規則、法人税法基本通達、法人税法個別通達を参照し、場合によっては租税条約も参照して、ある取引の法人税法上の取り扱いの判断をしています。租税法律主義の下における法源を理解するにあって重要なことがあります。それは、法人税法基本通達、法人税法個別通達の取り扱いです。通達は法令でなく、単に税務当局の内部おいて示達されものに過ぎません。よって、税務当局の職員には拘束力がありますが、国民には直接拘束力を持つものではありません。つまり、通達は租税法律主義の下における法源を構成していません。よって、税務訴訟において裁判所は、税務当局が課税の根拠とした通達に判断を下すのではなく、課税要件事実と関連する法源と照らし合わせて判断をいたします。

法源という観点で、減価償却を考えてみます。税務上償却できる減価償却の額の限度は法人税法(法31?)と法人税法施行令(法令58?)に定められています。

法31? 「内国法人の各事業年度終了の時において有する減価償却資産につきその償却費として第二十二条第三項(各事業年度の損金の額に算入する金額)の規定により当該事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入する金額は、その内国法人が当該事業年度においてその償却費として損金経理をした金額(以下この条において「損金経理額」という。)のうち、その内国法人が当該資産について選定した償却の方法(償却の方法を選定しなかつた場合には、償却の方法のうち政令で定める方法)に基づき政令で定めるところにより計算した金額(次項において「償却限度額」という。)に達するまでの金額とする。」

法令58? 「内国法人の有する減価償却資産(各事業年度終了の時における確定した決算に基づく貸借対照表に計上されているもの及びその他の資産でその取得価額を償却費として損金経理をしたものに限る。以下この目において同じ。)の各事業年度の償却限度額は、当該資産につきその内国法人が採用している償却の方法に基づいて計算した金額とする。」

法31?の後段の"政令で定めるところにより計算した金額"が意味する政令は法令58?です。更に減価償却限度に関する通達があります。ですから、たとえ法31?及び法令58?に納税者が準拠していても、税務当局が通達を拠りどころにして課税することがあります。そのような場合、裁判所は通達の適否の判定でなく、法31?及び法令58?への準拠性に対する判断を下します。

租税法律主義

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租税法律主義というと税法がその概念の拠り所になっている考える人が多いと思います。しかし、租税法律主義の根拠条文は日本国憲法にあります。日本国憲法の第30条と84条が租税法律主義の根拠となっています。この二つの条文を引用します。

憲30条 「国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負ふ。」
憲84条 「あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法律の定める条件によることを必要とする。」
したがって、納税義務者(税金を払う法人あるいは個人)、課税物件(課税の対象となる取引)、課税標準(課税対象となる金額あるいは数量)、税率、納付の方法、納付の期日は法律に明記される必要があります。それは日本国憲法の第30条と84条が求める要件です。租税法律主義が貫かれることによって、国民は経済活動の結果生じる負担すべき税額を予測することができます。つまり、経済生活を営む上で法的安定性が保障されます。租税法律主義ゆえ、課税庁が自由裁量で課税する権利は与えられていません。また、法人税、所得税、消費税等の税法の条文の中に不確定概念を残すことは極力排除しなければなりません。

租税法解説の進め方

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租税法の解説は、法人税法を中心にして所得税および消費税の解説を考えています。これから職業会計人を目指す人、会社で申告書作成業務に関わっているが体系的に税法を勉強したことがない人をこのカテゴリーの読者と考えています。それらの人が求める税法の基礎的概念を示すキィワードを選び、そのキィワードの意味を関連条文と共に説明していきます。

課税執行上の問題点

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日本は、税に関する規程をすべて法律によって定める「租税法定主義」をとっています。しかしながら、実際の課税においては、国税当局の判断に委ねられる「裁量主義」によっているのが現状です。裁量主義が納税者の視点に立った大岡裁きであれば良いのですが、課税庁にとって都合の良い論理を用いて、税金を取り易いところから取るという裁量主義ですので、問題と考えます。このような裁量主義は国税通則法第一条「この法律は、国家についての基本的な事項及び共通的な事項を定め、租税の体系的な構成を整備し、かつ、国税に関する法律関係を明確にするとともに、税務行政の公正な運用を図り、もって国民の納税義務の適正かつ円滑な履行に資することを目的とする」の精神とは、当に反するものです。つまり、実際の課税においては、国税通則法という課税庁にとっても、納税者にとっても大事なバイブルが反故にされています。憲法に定める国民の権利(租税法定主義)を確保することによって、はじめて義務(納税)の履行を国民は求められると思料いたします。

村田守弘が今後、本ブログで皆様と共有したい、あるいは議論したい情報を、四つのカテゴリーに分けました。そのカテゴリーは以下の通りです。
?私見争見
?21世紀の税制改革
?税務訴訟判例解釈
?租税法解説
ブログの更新は出来る限り、週一回行いたいです。皆様は、是非、コメントの機能を活用して下さい。コメントの機能を活用することで、活発な意見交換が可能になります。

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