法源

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法源とは裁判官が判決理由とする法的判断の根拠となる規範です。日本法であれば憲法や法律が代表的法源となります。
税の分野では所得税法、法人税法、消費税法が代表的な法律です。法人税法を例にした場合、我々は常々、法人税法、法人税法施行令、法人税法施行規則、法人税法基本通達、法人税法個別通達を参照し、場合によっては租税条約も参照して、ある取引の法人税法上の取り扱いの判断をしています。租税法律主義の下における法源を理解するにあって重要なことがあります。それは、法人税法基本通達、法人税法個別通達の取り扱いです。通達は法令でなく、単に税務当局の内部おいて示達されものに過ぎません。よって、税務当局の職員には拘束力がありますが、国民には直接拘束力を持つものではありません。つまり、通達は租税法律主義の下における法源を構成していません。よって、税務訴訟において裁判所は、税務当局が課税の根拠とした通達に判断を下すのではなく、課税要件事実と関連する法源と照らし合わせて判断をいたします。

法源という観点で、減価償却を考えてみます。税務上償却できる減価償却の額の限度は法人税法(法31?)と法人税法施行令(法令58?)に定められています。

法31? 「内国法人の各事業年度終了の時において有する減価償却資産につきその償却費として第二十二条第三項(各事業年度の損金の額に算入する金額)の規定により当該事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入する金額は、その内国法人が当該事業年度においてその償却費として損金経理をした金額(以下この条において「損金経理額」という。)のうち、その内国法人が当該資産について選定した償却の方法(償却の方法を選定しなかつた場合には、償却の方法のうち政令で定める方法)に基づき政令で定めるところにより計算した金額(次項において「償却限度額」という。)に達するまでの金額とする。」

法令58? 「内国法人の有する減価償却資産(各事業年度終了の時における確定した決算に基づく貸借対照表に計上されているもの及びその他の資産でその取得価額を償却費として損金経理をしたものに限る。以下この目において同じ。)の各事業年度の償却限度額は、当該資産につきその内国法人が採用している償却の方法に基づいて計算した金額とする。」

法31?の後段の"政令で定めるところにより計算した金額"が意味する政令は法令58?です。更に減価償却限度に関する通達があります。ですから、たとえ法31?及び法令58?に納税者が準拠していても、税務当局が通達を拠りどころにして課税することがあります。そのような場合、裁判所は通達の適否の判定でなく、法31?及び法令58?への準拠性に対する判断を下します。

蛇足ですが、法令58?は「前項及び次条から第六十一条までに定めるもののほか、減価償却資産の償却限度額の計算に関する細目は、財務省令で定める」といっています。ここでの財務省令が法人税法施行規則と呼ばれるものです。

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s5884 said:

法源を考える時、通達はやっかいですね。

実際の税実務においては、緩和通達(課税要件を緩和する通達、例えば所得税法36条1項関係の一連の通達)は納税者側としては積極的に利用しようというモチベーションが働きますし、また不確定概念を補充している通達(例えば法人税法施行令68条の「著しい価額の低下」についての法人税法基本通達9-1-7)は、納税者の予測可能性に貢献していると考えることもできます。

事実上は、通達には必ずしも課税庁に有利なものばかりで構成されているわけではないとともに、通達なくしては税実務が成り立たちませんので、巷でよくいわれる「通達=悪」という議論には少々違和感がないわけではありません。しかし、厳密にはこれらの通達であればそれこそ立法で手当てすべき項目であることもまた事実です。

そうなると問題は(納税者の役に立つ)通達の立法化の実現可能性をどう考えるかということになりそうです。

通達についてはいろいろ考えさせられますが、「法人税基本通達の制定について」(法人税法基本通達の前文)では、次のように記されております。

「この通達の具体的な運用に当たっては、法令の規定の趣旨、制度の背景のみならず条理、社会通念をも勘案しつつ、個々の具体的事案に妥当する処理を図るように努められたい。いやしくも、通達の規定中の部分的字句について形式的解釈に固執し、全体の趣旨から逸脱した運用を行ったり、通達中に例示がないとか通達に規定されていないとかの理由だけで法令の規定の趣旨や社会通念等に即しない解釈におちいったりすることのないように留意されたい。」

個人的には、この記述は通達の中で一番気に入ってます。

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