益金
益金とは、資本取引(新株の発行、転換社債の株式への転換、減資等)以外の取引により、法人の純資産を増加させる一切の収益をいいます。資産の販売、有償又は無償による資産の譲渡、有償又は無償による役務の提供、無償による資産の譲受け、その他の取引で資本等取引以外のものに係わる収益が益金に該当します。法人税法上、当該益金を規定した条文が法22②と法22④です。当該条文を引用します。
法22②「内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の益金の額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、資産の販売、有償又は無償による資産の譲渡又は役務の提供、無償による資産の譲受けその他の取引で資本等取引以外のものに係る当該事業年度の収益の額とする。」
法22④「第二項に規定する当該事業年度の収益の額及び前項各号に掲げる額は、一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従つて計算されるものとする。」
法22②を読んだ時、二つの点に留意する必要があります。ひとつは「別段の定めがあるものを除き」の文言です。もうひとつは「無償による種々の取引とその他の取引」の意味です。別段の定めがあるとは、別の条文に他の取扱いが定められていると言う意味です。法22②の「別段の定めがあるものを除き」は、益金不算入を意味しています。別段の定めがある主なものに受取配当金の益金不算入(法23)、資産の評価益の益金不算入(法25)、還付金等の益金不算入((法26)があります。もうひとつの「無償による種々の取引とその他の取引」は問題の多い取扱いです。当該取引の収益認識時点の要件が現在のところ確立していません。最近最高裁判決がでた旺文社事件は、無償による取引の取扱いについて納税者と課税庁が争った事件ですが、判決文を読む限り、当該取引の収益認識のための要件は何かに踏み込まないまま判断が下されたと思料いたします。「無償による種々の取引とその他の取引」は今後も税務訴訟の主たる争点のひとつとなるでしょう。
法22④では公正妥当な会計処理の基準が述べられています。特に実務上注意すべき点として、企業会計原則に従った会計処理によって認識された収益は、法人税法法22④でいう公正妥当な会計処理の基準と必ずしも一致しない可能性があります。公正妥当な会計処理の基準は大事な概念ですので、別の機会に議論したいと考えています。
コメント
法人税法法22④でいう公正妥当な会計処理の基準のあり方については、大変興味がありますので、続編を楽しみにしています。
法人税法と会計基準という軸でみれば法人税法法22④の存在は当り前の話なのかもしれませんが、法人税法は租税法であるところ、国会の審議・議決という過程を経ていない会計基準に法人所得の計算の基本メカニズムを委ねてしまっている点で、法規範性いう観点からみるとちょっと「ねじれ構造」が生じてしまっているかのようにも見えます。
この問題は、会社法と会計基準との関係とも関連する面白い話題ではないかと思っておりまして、その意味でも続編を楽しみにしています。
投稿者: こばやし(しん) | 2006年6月 2日 11:02