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公正妥当な会計処理の基準

公正妥当な会計処理の基準は、企業会計において公準とも考えられる基準です。その基準が最も顕著にあらわれるのは、会計監査人による監査証明の場面においてです。無限定意見書の監査証明の前提として要請される基礎的な命題が公正妥当な会計処理の基準と継続適用の原則(一度採用した公正妥当な会計処理は正当な理由のないかぎり変更できない原則)です。公正妥当な会計処理の基準の拠り所となるのが企業会計原則です。企業会計原則を敷衍して生まれる種々の会計処理が会計慣行を形成していきます。実務的には、意見書とか注解の形式をとって逐次詳らかにされた会計処理が会計慣行となります。

企業会計の利益を基礎として、税法上特別な取り扱いを定めた会計処理(税法では「別段の定め」と称する。「別段の定め」の例として交際費の取り扱い)を反映させて法人の所得(益金ー損金)は算定されます。企業会計の利益は法人の所得の基礎となることから、企業会計の利益は正しくあるべきです。そのため、法人税法上、当該公正妥当な会計処理の基準を規定しています。その条文が法22④です。当該条文を引用します。

法22④「第二項に規定する当該事業年度の収益の額及び前項各号に掲げる額は、一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従つて計算されるものとする。」

会社法において、企業会計の利益は正しくあるべきという規範は税法と同じくらい大事です。よって、会社法においても公正妥当な会計処理の基準を規定した条文があります。その条文は会431です。当該条文を引用します。

会431「株式会社の会計は、一般に公正妥当と認められる企業会計の慣行に従うものとする。」

私のブログへのコメント「法人税法は租税法であるところ、国会の審議・議決という過程を経ていない会計基準に法人所得の計算の基本メカニズムを委ねてしまっている点で、法規範性いう観点からみるとちょっと「ねじれ構造」が生じてしまっているかのようにも見えます(こばやしー2006.06.02)」は大変興味あるものです。私見を述べさせてもらいます。会計の本質は慣行です。その慣行に従って企業の経済活動の結果は算定されます。会計の世界では、世の中で受け入れられない慣行は順次捨象され、受け入れられる慣行だけが残るというプロセスが常に行なわれています。このようなプロセスを経て残った会計慣行が公正妥当な会計処理となります。世の中で客観的に受けいれられるものには、規範性があると思料します。会計原則そのものは法律ではないですが、法規範に準じると考えて問題ないと考えます。その観点に立てば、制度の中に「ねじれ構造」があるとは言い切れないです。

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コメント

慣行とは「従来からのならわしとして行なわれること」(広辞苑第五版)であるところ、新しく設定された(あるいはこれから設定される)会計基準は「慣行」たりうるのでしょうか?

法人税法に規定がないため、新しい会計基準や実務対応報告を利用しないと税務上の処理ができない局面が数多くありますが、このような場合は、「慣行説」だけではもはや無理があるような気がしています(また、最近の会計基準は非公開企業にとっては負担が大きい場合が多く、慣行化には程遠いともいえるでしょう)。

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