人口減社会での税制-その1
日本はこれから50年の間に2,000万人以上の人口が減ることは明白です。このような状況で考えられることは、2,000万人以上減る人口を補充する移民を受け入れる多民族国家となるか、今まで通り単一民族国家でいるかの選択です。ピーク時1億2,774万人の日本の人口は、適正規模より大きいかもしれません。日本の適正規模人口をどの規模に保つかに拠りますが、補充移民を受け入れると、50年後には日本の人口の10人に1人は外国人、100年後には2人に1人は外国人となる可能性は机上の空論とは言えません。多民族国家となるか、今まで通り単一民族国家でいるかの選択は非常に大きな問題と考えます。多民族国家で上手くいっている国は、基本的に一つの宗教の国です。多民族国家でその国の各民族がそれぞれ別の宗教を信じていると、紛争が絶えません。宗教心の薄い日本人が補充移民(キリスト教かイスラム教を信じている可能性大)を受け入れ、多民族国家を作ることは至難の技ではないと思料します。単一民族国家でいるという選択をとる場合は、逆説的ですが日本人も海外に出て行く必要があると考えます。先ずは、本邦だけでなく、海外でも通用する人材を育てること(人材のグローバル化)が肝要です。
人のグローバル化では、以下の施策が重要と考えます。
① 移民政策の見直しとその結果の十分な説明責任の履行
② 国際的に通用する人材の育成
③ 人材育成に対する優遇税制の導入
ビジネスの面から人口の減少を見ると、それは消費マーケットの縮小を意味します。本邦企業が市場を日本にだけ求めていたら先細りは避けられません。しかし、世界の人口推移の見通しによると2000年に60.7億人いる人口が、2050年には89.2億人になります。89.2億人の内、インドが15.3億人、中国が14億人、その他の発展途上地域も人口は急激に増えます。先進地域で大きく人口が増える国は唯一米国です。2000年に2.85億人いる人口が2050年には4.09億人となります。本邦企業が市場を世界に向ければ、消費マーケットは拡大を意味します。世界を股にかけてマーケッティングする人材がいなくては、売上を伸ばすことは出来ません。また、本邦企業が世界市場で成功するには、従来型の原料の輸入と製品の輸出から、生産工程の国際分業に変える必要があります。そのような国際分業を進めると物流は、日本を通らなくなります。物が日本を通らないビジネス・モデルで、本邦企業が利益を還流させる方法は特許使用料の受取、サービス料の受取、配当の受取が主なものです。それを実現させるには、知的財産は本邦企業が所有すべきです。グローバル・マネージメントを行う強力な本社機能も日本にある必要があります。日本のあるべき姿を追求すると、グローバル化の内容が物流から情報のグローバル化に変質していきます。
物(情報)のグローバル化では、以下の施策が重要と考えます。
① 研究開発センターの拡充と人材の確保
② 積極的IT投資の実施
③ グローバルに通用する経営管理システムの構築
④ グローバルに通用する人材の活用
⑤ 知的財産権に関わる優遇税制の導入
税制改革の観点から提言することは「人材投資促進税制」、「研究開発促進税制」、「IT投資優遇税制」を人口減少社会の下で必要不可欠な税制として、長期的観点から見直し、それら税制を恒久的優遇税制とすることです。人口減少社会での歳入不足を消費税の増税で賄おうという議論が盛んにされていますが、21世紀の日本を、再び「日の昇る国」にしようとする観点での議論が欠落している傾向があります。「人材投資促進税制」、「研究開発促進税制」、「IT投資優遇税制」を人口減少社会の下で必要不可欠な税制として位置づけるだけで、今後の政府税調、自民党税調での議論は大きく変わってくるでしょう。現在、歳入不足を懸念する財務省の強い影響を受け、それら優遇税制は非常に近視眼的観点から議論され、常に廃止の危機に瀕しています。人口減社会での税制改革は待ったなしの状態です。