2006年11月アーカイブ

脱税行為

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脱税行為とは租税負担を不法に免れる行為を言います。意図的な売上隠し、あるいは架空経費の計上が典型的な脱税行為です。巷間言われていることですが、現金商売をしている企業は、掛売りしている企業に比べて、脱税行為がしやすいと言われています。しかし、経営者にとって脱税しやすい企業は、従業員にとっても横領等がしやすい企業です。現金商売をしている企業は、内部牽制組織を整備することで従業員による不正を減少させることが可能となります。その内部牽制組織の整備は、結果として脱税行為が難しくなる環境も提供します。脱税行為を無くす環境作りは大事と解します。

節税行為(別稿で検討する予定)と脱税行為は明確に峻別すべきです。筆者は、節税行為に対して好意的な方ですが、脱税行為に対しては全く否定的です。節税行為は概念的に刑事罰の対象とすべきでないですが、脱税行為は刑事罰の対象とすべきで、その対象となります。脱税行為に対する法人税法上の罰則規定があります。その罰則規定を下記に引用いたします。

法159「偽りその他不正の行為により、第七十四条第一項第二号(確定申告に係る法人税額)(第百四十五条第一項(外国法人に対する準用)において準用する場合を含む。)に規定する法人税の額(第六十八条(所得税額の控除)(第百四十四条(外国法人に対する準用)において準用する場合を含む。)又は第六十九条(外国税額の控除)の規定により控除をされるべき金額がある場合には、同号の規定による計算をこれらの規定を適用しないでした法人税の額)、第八十一条の二十二第一項第二号(連結確定申告に係る法人税額)に規定する法人税の額(第八十一条の十四(連結事業年度における所得税額の控除)又は第八十一条の十五(連結事業年度における外国税額の控除)の規定により控除をされるべき金額がある場合には、同号の規定による計算をこれらの規定を適用しないでした法人税の額)、第八十二条の十第一項第二号(特定信託の確定申告に係る法人税額)(第百四十五条の八(外国法人に対する準用)において準用する場合を含む。)に規定する法人税の額(第八十二条の六(特定信託に係る所得税額の控除)(第百四十五条の六(外国法人に対する準用)において準用する場合を含む。)又は第八十二条の七(特定信託に係る外国税額の控除)(第百四十五条の七(外国法人に対する準用)において準用する場合を含む。)の規定により控除をされるべき金額がある場合には、同号の規定による計算をこれらの規定を適用しないでした法人税の額)、第八十九条第二号(退職年金等積立金確定申告に係る法人税額)(第百四十五条の十二(外国法人に対する準用)において準用する場合を含む。)に規定する法人税の額若しくは第百四条第一項第二号(清算確定申告に係る法人税額)に規定する法人税の額(第百条第一項(所得税額の控除)の規定により控除をされるべき金額がある場合には、同号の規定による計算を同項の規定を適用しないでした法人税の額)につき法人税を免れ、又は第八十条第六項(欠損金の繰戻しによる還付)(第八十一条の三十一第四項(連結親法人に対する準用)、第八十二条の十五第三項(特定信託に対する準用)、第百四十五条第一項又は第百四十五条の八において準用する場合を含む。)の規定による法人税の還付を受けた場合には、法人の代表者(人格のない社団等の管理人を含む。以下この編において同じ。)、代理人、使用人その他の従業者(当該法人が連結親法人である場合には、連結子法人の代表者、代理人、使用人その他の従業者を含む。第百六十四条第一項において同じ。)でその違反行為をした者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
2  前項の免れた法人税の額又は同項の還付を受けた法人税の額が五百万円を超えるときは、情状により、同項の罰金は、五百万円を超えその免れた法人税の額又は還付を受けた法人税の額に相当する金額以下とすることができる。」

条文の読み方のワンポイントレッスンー当該条文は、税法の条文の典型的書きぶりですが、他の条文の引用が多いため、非常に読み難くなっています。他の条文の引用の部分を取り除いて読んで下さい。他の条文の引用の部分を取り除いた法159は以下の通りです。非常に解りやすくなるでしょう。

「偽りその他不正の行為により、法人税を免れた場合、又は法人税の還付を受けた場合には、法人の代表者、代理人、使用人その他の従業者でその違反行為をした者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
2  前項の免れた法人税の額又は同項の還付を受けた法人税の額が五百万円を超えるときは、情状により、同項の罰金は、五百万円を超えその免れた法人税の額又は還付を受けた法人税の額に相当する金額以下とすることができる。」

低額譲渡に関する解説(本ブログの9月29日付記事、カテゴリー"租税法解説"を参照して下さい)は色々と散見されますが、低額譲受、高額譲渡、高額譲受の解説は少ないです。今回は低額譲受、高額譲渡、高額譲受をまとめて解説いたします。それぞれ似て非なる内容となっています。

独立した当事者間で合意した取引価額は通常「時価」と見做されます。ですから、独立した当事者間で合意した取引から低額譲受、高額譲渡、高額譲受が問題になることは実務上ほとんどありません。法人税法上、それら取引が問題となるのは、支配・被支配関係にある者が行った取引です(法人税法上の「時価」の説明は、本ブログの9月15日付記事、カテゴリー"租税法解説"を参照して下さい)。注意を要する点として、支配・被支配関係にある者の判定は、持分関係のみならず経済的従属関係も考慮されてなされます。税法上、「著しく低い価額による譲渡」という概念があります。しかし、この概念は法人税法上、適用されません。主に所得税上、適用される概念であります。その事申し添えます。


低額譲受
資産を時価より低い価額で譲受けることを低額譲受と言います。
支配・被支配関係にある者から低額譲受が行われた場合、時価と譲受価額との差額が益金に計上されます。例えば、時価100百万円の固定資産を70百万円で購入した場合、譲受人である法人は次の仕訳を行います。
(借方)固定資産 70百万円 (貸方)未払金 70百万円
                      
しかし、税務上の固定資産の取得価額は、時価により100百万円となります。そして、時価と取得価額との差30百万円は受贈益として益金になります。関連条文を参考のため、下記に引用します。

法22?「内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の益金の額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、資産の販売、有償又は無償による資産の譲渡又は役務の提供、無償による資産の譲受けその他の取引で資本等取引以外のものに係る当該事業年度の収益の額とする。」

高額譲渡
資産を時価より高い価額で譲渡することを高額譲渡と言います。
支配・被支配関係にある者から高額譲渡が行われた場合、例えば、時価100百万円、簿価50百万円の固定資産を150百万円で売却した場合、譲渡人である法人は次の仕訳を行います。
(借方)未収入金 150百万円 (貸方)固定資産 50百万円
                      固定資産売却益 100百万円

税務上の益金は、真の固定資産売却益50百万円(時価と簿価の差額)に、譲受人から贈与された贈与益50百万円が加算されて100百万円となります。結果として、会計上の利益と一致します。よって、高額譲渡の場合、税務上特段の処理は行われません。

高額譲受
資産を時価より高い価額で譲受けることを高額譲受と言います。
支配・被支配関係にある者から高額譲受が行われた場合、例えば、時価100百万円の固定資産を150百万円で取得した場合、譲受人である法人は次の仕訳を行います。
(借方)固定資産 150百万円 (貸方)未払金 150百万円
                      
税務上、簿価は100百万円で、取得価格と時価の差額50百万円は譲渡人への寄付金処理が当該資産取得時の妥当な税務処理と考えます。

実務上、高額譲受が問題になるのは、財政状態の悪い会社の事業を買収し、多額の営業権を譲受会社が計上した場合です。そのような営業権は価値のないものだから、高額譲受をしたと同様であると税務当局は推定します。価値のない営業権と認定された場合、営業権の償却費の損金算入は否認されます。

営業権の償却に関わる関連条文を参考のため、下記に引用します。

法31?(減価償却資産の償却費の計算及びその償却の方法) 「第一項の選定をすることができる償却の方法の種類、その選定の手続その他減価償却資産の償却に関し必要な事項は、政令で定める。 」

法令13八ル(減価償却資産の範囲)無形固定資産として列挙された中に「営業権」

法令48?四(減価償却の方法)「第十三条第八号に掲げる無形固定資産(次号に掲げる鉱業権を除く。)及び同条第九号に掲げる生物 定額法」

補足的ですが、会社法では「営業権」という用語は使用してません。暖簾(のれん)と言う用語が使用されています。会社法の施行により、商法285の7の規定(暖簾の評価)は削除されています。その代わり、会社計算規則11条から29条にのれん(平仮名表記になりました)として計上出来る要件が規定されています。

失われた感覚

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私は公認会計士の試験委員をしています。公認会計士の試験委員は試験問題を作成するだけでなく採点もしなければなりません。9月中旬から10月中旬までの約一ヶ月間は試験の採点に忙殺され、今、やっとその採点からも開放されホッとしているところです。採点の忙しさを振り返って見ると思い出されることがあります。それは「失われた感覚」です。我々(団塊の世代)がもっているある感覚を、今の受験生(20代)は失っているのではないかと感じたことが採点中、度々ありました。

我々、職業会計人は数字を見て間違いを直感できる感覚が大事と思料します。例えば6桁の数値と5桁の数値を足し算した時、答えは6桁で、例外的に7桁になります。しかし、5桁の答えが出ることはありません。毎日の仕事において間違いを起こさないとは、判断ミスをしないことか、計算ミスをしないことです。特に決算書の作成業務、申告書作成業務において計算ミスは職業会計人として致命的な誤りとなります。ですから、数字を見て間違いを直感できる感覚は、職業会計人として必須な資質です。しかし、多くの受験生にその資質が欠けているような事例が散見されました。前述の6桁の数値と5桁の数値を足し算した時、5桁の類いの回答が多かったことがその理由です。

そこで、その感覚は試験に合格して公認会計士になり実務につけば身につくのかというといささか疑問です。暴論になりますが、我々の育った時代になくて、いま在るもの(あるいは我々の育った時代にあって、いま無いもの)が懸念材料です。それは電卓です。我々の育った時代には電卓はなかったです。その時代にあったものはソロバンか筆算の紙です。ソロバン・筆算世代は、計算は間違うものだと理解しているため、見直すという習慣がついています。電卓世代(今の受験生)は、電卓の計算は正しいものだと信じている感じが今回の採点から強くいたしました。

今は表計算といえばエクセルの独壇場です。エクセルで作成された資料を読む時に要求される資質はまさに数字を見て間違いを直感できる感覚です。自分で計算しなくなればなる程、数字を見て間違いを直感できる感覚が必要となります。しかし、逆説的ですが、自分で計算しなくなればなる程、数字を見て間違いを直感できる感覚は失っていきます。更に最初から数字を見て間違いを直感できる感覚のない電卓世代が中心になってきます。この危機から脱却するための施策として会計事務所には電卓を置かないが考えられますが、これはあまりに非現実的です。そこで本稿のまとめとして、異常数字直感プログラムを随所に織り込んだ新人向け研修の徹底を提案します。異常数字直感プログラムの一例ですが、間違ったエクセルシートを渡し、電卓なしで間違い探しの練習です。案外、良い方法かもしれませんが、特効薬的効果はないです。漢方薬的効果であることが難です。しかし、漢方薬的効果ゆえ、異常数字直感プログラムは継続することが大事です。まさに、"継続は力なり"と考えます。

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