消費税の長所と短所
長所ー消費税の長所にはいくつかありますが、筆者はクロヨン問題の解消に役立つ効果が非常に大きいことが最大の長所と考えます。クロヨン問題とは、給与所得者が所得の9割を捕捉されるのに対し、事業所得者は6割、農業所得者は4割しか補足されないという所得捕捉率の格差を表す所得税における不公平感を象徴する言葉です。よく本邦の所得税の国民負担率は他の先進諸国に比べて低い、よって、増税する余地は十分にあるという議論が財務省筋の情報として新聞に載せられています。国民の多くはそのような議論に納得していません。それはクロヨン問題が厳然としてあると国民の多くは感じているからです。クロヨン問題に手をつけないで増税することは、国民全般に対する増税ではなく、サラリーマン泣かせの増税であり不公平であると感じている思います。所得は非常に厳格かつ網羅的な背番号制度を導入しない限り、正しい所得を制度として捕捉することは不可能です。ですから所得を拠りどころにした所得税は、本源的に所得の捕捉に問題があります。一方、消費税は消費という外形的に捉えやすい経済行為を課税ベースにしていますので、所得捕捉率という問題は生じません。それゆえ、クロヨン問題の解消に役立つ効果は非常に大きいと考えます。私はクロヨン問題の解消に役立つ効果が定量的効果で示される必要はないと考えています。定性的効果で十分と考えます。
短所ー消費税の短所は課税の逆進性(所得の少ない家計ほど、所得に対して負担する消費税の割合が高くなる)にあります。しかし、逆進性は解決する術があります。1月19日付け本ブログ記事「消費税問題について」(カテゴリー”税制改革”)で述べています。ご一読下さい。
制度上の問題点ー本邦消費税はインボイス方式を採用していません。これが制度上の問題点です。本邦消費税の制度上の問題点の解決は、必須の事柄であます。制度上の問題点を説明します。EUでの付加価値税では、課税業者の選択をしない限り、事業者は(付加価値税が別記された)請求書の発行ができません。これをインボイス方式と呼びます。インボイス方式の下では、免税業者/非課税業者から仕入れについて税額控除をとることは出来ません。このようなことから、EU域外域内の事業に対して課税の中立性を維持され、課税権の侵食を防がれます。一方、本邦消費税はインボイス方式を採用していません。インボイス方式を採用していない場合、免税業者から仕入れについても税額控除が認められてしまいます。その結果、益税が発生する可能があります。「消費税の構造的欠陥を修復しないで、税率の増加が将来実施されることを前提にすると、消費税回避のプランニングが横行するものと考えます」と投稿者西堀さんは言っております。まったく西堀さんの意見に同感です。税制を考える上での三大原則は「公平」「中立」「簡素」です。消費税の「中立」を担保する観点から、消費税率のアップより前に制度上の問題点の解決(インボイス方式を採用)が求められます。その問題点の解決は、更に「公平」に資する効果があると確信いたします。
政治の重要性ー今は社会がグローバル化されています。グローバル化社会で事業を営む多国籍企業は、税率の高い国から低い国へ所得移転をすることは比較的容易です。一方、消費は非常に地域に密着したものです。つまり、所得に比較して消費はグローバル化社会でも動きません。消費税を払う通常の消費者は消費税の税率が10%になっても、文句を言って国外移住を容易くできるものではありません。ですから、与党、野党を問わず政治家が取り組まなくてはいけない消費税問題は、消費税の負担を国民はどの程度までなら容認できるのかの議論を国会の場で行い、国民のコンセンサスを得ることです。
コメント
村田先生、外資系ソフトの会社に勤めていた頃お世話になった者です。 私などは消費税の価値を世代間の税負担の公平さの点からしか見ていませんでしたが、 先生がブログでその重要さをクロヨンや税の国外移転の防止の観点から説明されていて、成程と思いました。先生には今の税制のおかしな所もどんどん指摘していただきたいと思います。
納税者の一人として意見させていただくと、例えば同族会社の株式評価が純資産方式をベースにしているのが理解できません。 譲渡制限株式の所有者は不動産所有者と違って過半数をもっていなければ簡単に処分できないのにその会社の持っている不動産と同等な相続税評価額となり、所有者は処分できない負の財産を持っているのと同じことなのです。 何故こんなことになっているのかわかりません。 これは一例ですが、おかしなことは多いと思います。
投稿者: ナカデス | 2007年2月 7日 19:37