寄附金

| コメント(0)

寄附(きふ)とは、金銭や財産などを公共事業、公益・福祉・宗教施設などへ贈与することを言います。災害の際に被災地・被災民へ送られる義捐金も寄附の一つであります。社会事業団体、政治団体に対するきょ出金、神社の祭礼等の寄贈金が代表的な寄附金です。寄附は、福祉に係る費用の一部を民間が肩代わりする経済活動に位置づけられます。しかし、本邦法人税では、企業が行った寄附に関わる経済的利益の大部分が損金算入出来ません。

寄附金の限度額は以下のとおり計算されます。
一般の寄附金は(所得金額の2.5%+資本金等の額の0.25%)×1/2で算定された金額を超えたら、この超過部分が損金算入出来ません。 例えば、所得が10億円の企業が30百万円の寄附を行うと、凡そ、その半分が損金算入出来ません。一般的に寄附金、きょ出金、見舞金などと呼ばれるものは寄附金に含まれます。ただし、これらの名義の支出であっても交際費、広告宣伝費、福利厚生費などとされるものは寄附金から除かれます。したがって、金銭や物品などを贈与した場合に、それが寄附金になるのかそれとも交際費等になるのかは、個々の実態をよく検討した上で判定する必要があります。ただし、事業に直接関係のない者に対する金銭贈与は、原則として寄附金になります。

例外の取り扱いがあります。?特定公益増進法人に対する寄附金(日本赤十字社などの特殊法人、公益法人のうち科学技術の試験研究や学生に対する学資の支給を行うものなど)と?認定NPO法人に対する寄附金(特定非営利活動を行う法人(NPO法人)のうち一定の要件を満たすものとして国税庁長官の認定を受けたもの)の総額を別枠として、上記算式による損金算入限度の計算が認められています。更に、?国・地方公共団体に対する寄附金(公立高校、公立図書館など)と?指定寄附金(国宝の修復、オリンピックの開催、赤い羽根の募金、私立学校の教育研究など)は全額損金算入が認められています。以上のような税務上の取扱いの下では、企業が積極的に寄附をしようとする動機が生まれません。お付き合い程度に、全額損金算入できる指定寄付金に限定されていまいます。真に福祉のための寄付は税制の面から成し難い状況にあります。

少し視点を変えます。ある文献で次のように記述しております。
「日本でも、古代から寄付の歴史があり、奈良時代の頃から、利水・治水や橋・道路建設などの公共事業のため、仏教僧が民間から寄付を集める勧進が行われていた。中世は自力救済の時代であったが、民衆の間に頼母子講などの相互扶助が始まった。これは集団で金銭を貯蓄し貧困者などに順番で供与するという、寄付と同様の機能を持った相互扶助であった。近世に入っても相互扶助の伝統は継承され、明治になり社会構造が大きく変わると、相互扶助に代わって寄付が盛んになっていった。第二次世界大戦以前は、皇室や財閥などによる寄付が寄付総額の30%にのぼるなど、福祉のかなりの部分を寄付が担っていた。」

戦後の日本は、宗教の自由が信仰の否定になり、福祉国家の理念が無責任な国民の創造になりました。信仰を否定し、無責任な日本人の特徴が世帯当たり寄附金の額にも現れています。世帯あたり寄附金の額は、アメリカが約17万円、日本が約3000円と大きな差になっています。こうした格差を増長させている要因(無信仰、無責任)に加えて、もうひとつの要因があります。それは本邦寄附金税制(寄附金を基本的に奨励しない税制)です。これからの日本は少子高齢化社会になります。少子高齢化社会を支えるためには、社会福祉関係のコストは増大する一方です。社会福祉関係の活動を国に任すと、知らないうちに外郭団体が生まれ、本来の業務に使われるべき資金が目的外に費消される可能性が高いです。寄附に基づく福祉活動は、市民運動です。よって、ガラス張りの活動が求められます。これからは企業も個人も福祉のために寄附できるような税制改革(寄附金を奨励する方向への税制改革)が切に望まれます。


寄付金に関わる条文を下記に引用します。

法37「内国法人が各事業年度において支出した寄附金の額(次項の規定の適用を受ける寄附金の額を除く。)の合計額のうち、その内国法人の当該事業年度終了の時の資本金等の額又は当該事業年度の所得の金額を基礎として政令で定めるところにより計算した金額(第四項において「損金算入限度額」という。)を超える部分の金額は、当該内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。

2  内国法人が各事業年度において当該内国法人との間に連結完全支配関係がある連結法人に対して支出した寄附金の額があるときは、その寄附金の額は、当該内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。

3  第一項の場合において、同項に規定する寄附金の額のうちに次の各号に掲げる寄附金の額があるときは、当該各号に掲げる寄附金の額の合計額は、同項に規定する寄附金の額の合計額に算入しない。
一  国又は地方公共団体(港湾法 (昭和二十五年法律第二百十八号)の規定による港務局を含む。)に対する寄附金(その寄附をした者がその寄附によつて設けられた設備を専属的に利用することその他特別の利益がその寄附をした者に及ぶと認められるものを除く。)の額
二  民法 (明治二十九年法律第八十九号)第三十四条 (公益法人の設立)の規定により設立された法人その他公益を目的とする事業を行う法人又は団体に対する寄附金(当該法人の設立のためにされる寄附金その他の当該法人の設立前においてされる寄附金で政令で定めるものを含む。)のうち、次に掲げる要件を満たすと認められるものとして政令で定めるところにより財務大臣が指定したものの額
イ 広く一般に募集されること。
ロ 教育又は科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に寄与するための支出で緊急を要するものに充てられることが確実であること。

4  第一項の場合において、同項に規定する寄附金の額のうちに、公共法人、公益法人等その他特別の法律により設立された法人のうち、教育又は科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与するものとして政令で定めるものに対する当該法人の主たる目的である業務に関連する寄附金(前項各号に規定する寄附金に該当するものを除く。)の額があるときは、当該寄附金の額の合計額(当該合計額が当該事業年度に係る損金算入限度額を超える場合には、当該損金算入限度額に相当する金額)は、第一項に規定する寄附金の額の合計額に算入しない。ただし、内国法人である公益法人等が支出した寄附金の額については、この限りでない。

5  内国法人である公益法人等がその収益事業に属する資産のうちからその収益事業以外の事業のために支出した金額は、その収益事業に係る寄附金の額とみなして、第一項の規定を適用する。

6  内国法人が特定公益信託(信託法 (大正十一年法律第六十二号)第六十六条 (公益信託)に規定する公益信託で信託終了の時における信託財産がその信託財産に係る信託の委託者に帰属しないこと及びその信託事務の実施につき政令で定める要件を満たすものであることについて政令で定めるところにより証明がされたものをいう。)の信託財産とするために支出した金銭の額は、寄附金の額とみなして第一項、第四項、第九項及び第十項の規定を適用する。この場合において、第四項中「)の額」とあるのは、「)の額(第六項に規定する特定公益信託のうち、その目的が教育又は科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与するものとして政令で定めるものの信託財産とするために支出した金銭の額を含む。)」とするほか、この項の規定の適用を受けるための手続に関し必要な事項は、政令で定める。

7  前各項に規定する寄附金の額は、寄附金、拠出金、見舞金その他いずれの名義をもつてするかを問わず、内国法人が金銭その他の資産又は経済的な利益の贈与又は無償の供与(広告宣伝及び見本品の費用その他これらに類する費用並びに交際費、接待費及び福利厚生費とされるべきものを除く。次項において同じ。)をした場合における当該金銭の額若しくは金銭以外の資産のその贈与の時における価額又は当該経済的な利益のその供与の時における価額によるものとする。

8  内国法人が資産の譲渡又は経済的な利益の供与をした場合において、その譲渡又は供与の対価の額が当該資産のその譲渡の時における価額又は当該経済的な利益のその供与の時における価額に比して低いときは、当該対価の額と当該価額との差額のうち実質的に贈与又は無償の供与をしたと認められる金額は、前項の寄附金の額に含まれるものとする。

9  第三項及び第四項の規定は、確定申告書に第一項に規定する寄附金の額の合計額に算入されない第三項各号に掲げる金額又は第四項に規定する寄附金の額の記載及び第三項各号又は第四項に規定する寄附金の明細書の添付があり、かつ、財務省令で定める書類を保存している場合に限り、適用する。この場合において、第三項又は第四項の規定により第一項に規定する寄附金の額の合計額に算入されない金額は、当該金額として記載された金額を限度とする。

10  税務署長は、第三項又は第四項の規定により第一項に規定する寄附金の額の合計額に算入されないこととなる金額の全部又は一部につき前項の記載若しくは明細書の添付がない確定申告書の提出があつた場合又は同項の書類の保存がない場合においても、その記載若しくは明細書の添付又は書類の保存がなかつたことについてやむを得ない事情があると認めるときは、その記載若しくは明細書の添付又は書類の保存がなかつた金額につき第三項又は第四項の規定を適用することができる。

11  財務大臣は、第三項第二号の指定をしたときは、これを告示する。

12  第五項から前項までに定めるもののほか、第一項から第四項までの規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。」

コメントする

アーカイブ

Powered by Movable Type 6.0.3