2007年4月アーカイブ

失われた十年 !

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私見争件ー発刊された新聞記者の著書から1990年代の失われた十年を考察しました。 

最近、発刊された二冊の本を紹介します。 それは、特捜検察 vs. 金融権力(村上治著、朝日新聞社発行)と徴税権力(落合博文著、文芸春秋発行)です。村上治さんは現在、朝日新聞論説委員で、東京佐川急便事件以降の大型経済事件や政界汚職の報道に関わった新聞記者です。落合博文さんは大蔵省、国税庁を担当した朝日新聞の記者で、62歳になった時(2003年)、朝日新聞を退職されています。

特捜検察 vs. 金融権力は、バブルが弾けた1990年からの約10年間の事件を通じて村上治さんが取材した内容を本にしています。事件を題材としていますので、登場人物がすべて実名です。事件に関わった人の中には、私が個人的に知っている人が何人かいて、「あの人があのスキャンダルの渦中にいたのだぁ?!」、「あの人は泣く子も黙る鬼検事だったのだぁ?!」と、私の知人の知らない面をその本で知ることが出来ました。あの当時の大蔵省と銀行の癒着の例が書かれています。局長クラスになると銀行は盆暮に数十万円相当の洋服のお仕立券を銀行は贈る習わしがあり、100社から贈られたら、それで数千万になります。それを公然と現金化して自分の懐に入れていた悪習、その悪習の行き着くところは、悪名高き「ノーパンしゃぶしゃぶ」と村上治さんは書いています。

徴税権力も、バブルが弾けた1990年からの約10年間を対象としています。落合博文さんが国税庁担当記者として取材した内容をまとめたものです。本の内容は、国税の厚い守秘義務の壁をなんとか突いて得た情報を下にしていますので、登場人物は特定されないように書かれています。朝日新聞の記者が徴税権力という題名の本を書いたので、きっと国税批判でいっぱいと思っていましたが、想像に反して、「国税頑張っている・・捨てたものではない!」の論調の国税応援の本です。

思い起こすと、バブルが弾けた1990年からの10年は、政治家、政商、官僚の腐敗の腐臭が世の中に漂った時代でした。上記ふたつの本は、何故、失われた十年なのか・・その問題の一面を深く新聞記者の目で取材した内容をまとめています。1990年代の検察と国税の見事な連携による事件摘発で、その時代の腐臭は段々消えていき、官庁と民間の癒着問題は解決してきています。

徴税権力では、課税庁の非常に厳しい取立てを例示しています。つまり、歳入に関する公権力は機能しています。しかし、公官庁の歳出は、相変わらず穴の開いた桶の如く垂れ流し状態です。落合博文さんは、著書のおわりで「公官庁の公金腐敗を野放図にさせた責任の多くは会計検査院にある、と指摘しておきたい」と書いています。僅か一行の文章ですが、既に朝日新聞を退職している落合氏が新聞記者の感性から臭いものに蓋の官庁の姿勢に疑問を呈して、後輩の新聞記者にブラックボックス化した会計検査院のパンドラの箱を開けと言っているのではないかと想像します。

カテゴリー”租税法解説”の内容

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お知らせー本ブログのカテゴリー”租税法解説”に含まれている項目のタイトルを紹介しています。 

今までに、次のタイトルの租税法解説を本ブログ内でしています。カテゴリー”租税法解説”をクリックするとそれら解説を読むことが出来ます。

  • 租税法律主義
  • 法源
  • 課税要件
  • 納税義務者
  • 実質課税の原則
  • 公正妥当な会計処理基準
  • 脱税行為
  • 節税行為
  • 推計課税
  • 正当な理由
  • 益金
  • 損金
  • 時価
  • 低廉譲渡ー法人税法上の取扱い
  • 低額譲受/高額譲渡/高額譲受-法人税上の取扱い
  • 交際費
  • 寄付金
  • 消費税ーインボイス方式

租税法解説では、税法の基礎的概念を示すキィワードを選び、そのキィワードの意味を関連条文と共に説明することを心掛けてきました。この方針は今後とも続ける所存です。そして、50個ぐらいのキィワードをカテゴリー”租税法解説”の中に入れることを目標にしています。

 

納税義務者

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租税法解釈ー税法の基本概念のひとつである「納税義務者」を説明しています。

納税義務者とは、納税義務の主体、つまり、税金の支払義務のある者を言います。納税義務者は納税主体あるいは納税者とも呼ばれています。納税義務者と担税者(税を最終的に負担する者)は多くの場合一致しますが、必ずしも一致しません。一致しない例として消費税があります。消費税の場合、消費税を負担する者は最終消費者ですが、納税義務者は最終消費者ではなく、最終消費者に物を販売した者、あるいはサービスを提供した者です。

自然人および法人が納税義務の主体と考えられますが、実際の経済社会では、種々の事業体があります。そのような事業体での納税義務者の判定が近年、重要な問題となってきています。それは、パス・スルー課税問題とか構成員課税問題と称されています。パス・スルー課税問題は別稿で検討する予定にしております。

納税義務者を無制限納税義務者と制限納税義務者とに分けることができます(金子宏著「租税法」第11版149頁)。

無制限納税義務者とは、わが国に住居または居所を有するため、いわば人的にわが国の課税権に服し、国内に源泉があるか国外にあるかを問わず、それに帰属する課税物件のすべてに納税義務を負う者をいいます。

制限納税義務者とはわが国に住居または居所はないが、財産や事業を有するため、その限度でいわば物的にわが国の課税権に服し、国内の源泉のある課税物件についてのみ納税義務を負う者をいいます。

法人税での内国法人が無制限納税義務者であり、外国法人が制限納税義務者となります。

監査法人、税理士法人の社員(パートナーと称される)は無限責任社員です。納税義務者の観点から、監査法人、税理士法人の社員は第二次納税義務者となります。本来の納税義務者である監査法人、税理士法人が納税を滞納し、その財産につき滞納処分してもなお徴収不足がある場合、第二次納税義務者として監査法人、税理士法人の社員は、連帯して納税の責任を負います。同様な法人形態である合名会社の社員、合資会社の無限責任社員も第二次納税義務者となります。

課税要件

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租税法解釈ー税法の基本概念のひとつである「課税要件」を説明しています。

課税要件とは、納税義務の成立する要件のことです。つまり、その要件が充足されることで納税義務が成立するという要件です。次の例が納税義務の成立する要件を明確に示していると考えます。「あなたが稼いだ所得は5千万円であるので、37%の税率で税金が課せられる」です。この例を分析します。あなた(納税義務者)が稼いだ所得(課税物件)は5千万円(課税標準)であるので、37%の税率(税率)で税金が課せられます。あなたが稼いだ所得だから、あなたに帰属します(課税物件の帰属)。上記の五つの課税要件、つまり

  1. 納税義務者
  2. 課税物件
  3. 課税物件の帰属
  4. 課税標準
  5. 税率

これらは、所得税、法人税、消費税等すべての税に共通な課税要件です。納税義務者を例にとれば、所得税の納税義務者は個人で、法人税の納税義務者は法人で、消費税の納税義務者は事業者です。 課税要件に関する大事な概念に、課税要件法定主義課税要件明確主義があります。これは租税法律主義(憲法30条および84条)の内容の大事な部分を構成するものです。

課税要件法定主義とは、課税要件のすべてと租税の賦課、徴収の手続は法律によって規定されなければならないとするものです。課税要件明確主義とは、税法の規定も、その委任を受けた政省令の規定も可能な限り一義的で、しかも明確でなければならないとするものです。税法の規定が納税者に判り易く書かれていれば、税法の中に不確定な概念が入り込む余地がなくなります。それによって行政庁の自由裁量も排除できます。 したがって、納税義務者、課税物件、課税物件の帰属、課税標準、税率の課税要件は法律、またはその委任に基づく政令等によって明確に定めれていることが求められます。

憲法30条および84条を下記に引用いたします。

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