移転価格事務運営要領草案
私見争見ー国税庁は移転価格の事務運営指針の草案を平成19年4月13日に公開し、その草案に対して意見公募(パブリックコメント)を実施しました。当該事務運営指針の草案に対する私見と、その私見に基づいて村田守弘が国税庁に提出した意見書について報告いたします。
平成19年4月13日に移転価格事務運営要領(事務運営指針)新旧対照表(案)と別冊(移転価格税制の適用に当たっての参考事例集)が公表されました。当該事務運営指針の草案に対して国税庁は意見公募(パブリックコメント)を実施しました。 意見公募の期日は平成19年5月12日です。
事務運営指針は通達のようなものです。また、参考事例集は今までありませんでした。今回、参考事例集が初めて作成されました。参考事例集は事務運営指針と同列に取扱われています。参考事例集は、良く出来ているので移転価格調査において、当該参考事例集はバイブルとなるでしょう。ここで問題にしたい点があります。「参考事例集は良く出来ている」は調査する立場から良く出来ているのであって、納税者の立場からではありません。参考事例集が出来たことにより、より厳しい移転価格課税が納税者に対して行われる懸念が大いにあります。
移転価格税制を一言で言えば下記の通りです。
「仲間内での取引に利用される価格は恣意的である。その恣意性を排除するには、他人に売却する価格(独立企業間価格)を使用する必要がある。そして独立企業間価格を使用している限り、移転価格は適正である」
移転価格税制の基礎となる概念は、独立企業間価格です。この独立企業間価格の適正性が移転価格調査では常に問題にされます。移転価格調査の現状は、「納税者の合理的主張に基づく独立企業間価格は認めない。国税が決定する独立企業間価格で更正する」です。参考事例集のかなりの部分が、この現状を追認する内容となっております。この点が懸念されます。
私の懸念材料となっている問題点の指摘とその改善を求める意見書を作成しました。そして、平成19年5月10日、国税庁に当該意見書を提出いたしました。時間の制約もあって、私が提出した意見は、参考事例集の問題点を限定的に取り上げることに終わっています。そのこと申し上げます。また、それが個人的には残念です。