格差是正の税制改革ー若年層の格差是正
税制改革ー若年層の格差が問題となっています。その格差解消の施策のひとつとしての「給付つき税額控除制度」を説明します。
租税研究(日本租税研究協会発行)2006年11月号に掲載され中央大学法科大学院教授、森信茂樹先生の記事「格差問題と税制」は興味ある内容ですので、ここで簡単に紹介させてもらいます。
全国消費実態調査によりますと、ひとつは若年層の格差が拡大してきています。もうひとつは高年齢の格差です。会社生活を続けていれば勝ち組と負け組みに分かれて、ある程度高齢者間での格差が生じることは、已む得ないことかもしれません。しかし、極端な格差が生じることは問題です。
少子化解消のためには、若年層の格差解消の施策をとることが大事です。若年層の格差は非正規雇用やフリーターの増加から生まれてきています。それらの人々の年収(200~300万円)では結婚できません。これが更なる少子化に結びつくという悪循環になります。そこで、森信先生は、若年層の格差にポイントをおいて議論を進めています。税・社会保障の所得再分配機能を利用した格差解消策として、森信先生は「給付つき税額控除制度」の提案をしています。
給付つき税額控除制度とは、ある一定以下の所得水準の家庭には生活保護を給付する。そして、その家庭の所得が上がっても、一定の所得水準に達するまで(税額控除の方法で)減税措置が受けられるようにし、一定の所得水準を超えた時、減税措置がなくなる制度です。給付つき税額控除制度は欧米で広く採用されている制度で、格差解消にかなりの効果を発揮しているそうです。
給付つき税額控除制度をわが国で導入する際の課題として森信先生は、下記の事項を示しています。
- 税制と社会保障給付を一体運営するためには、霞ヶ関の縦割り制度を改める必要がある。
- 不正還付を防ぐ手当が必要である。
- 給付つき税額控除制度は家族単位で管理する必要がある。現在の所得税は個人単位で家族単位になっていない。
- バラバラの社会保障と税を整合して税・社会保障の所得再分配機能の効率化を図ること。
給付つき税額控除制度の導入だけでは、不十分で「上記課題を解決する骨太の抜本的制度改革が必要」として森信先生の記事は終わっております。
格差解消は、少子化対策にもなるという非常に示唆に富んだ記事です。これを契機にして給付つき税額控除制度という言葉だけでも、みなさまの頭の整理箱に入れておいて下さい。
本ブログ記事(2007年3月23日)「硬直化したシステム」での議論も参照して下さい。
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2006年1月28日付「金持ち優遇税制を改めよう」で提案した所得税(住民税を含む 続きを読む
2006年1月28日付「金持ち優遇税制を改めよう」で提案した所得税(住民税を含む 続きを読む

日本経済新聞(9月19日朝刊)より引用します。
政府税制調査会(首相の諮問機関)は18日の会合で、個人所得課税の見直しに着手した。香西泰会長は会合後の記者会見で、低所得者を対象に所得税の減額と給付金の支給を組み合わせる「給付付き税額控除」の導入を検討する考えを表明した。参院選後の政策課題となった格差問題にも配慮し、社会保障制度と連動した所得税制を構築する方針を示した。
給付付き税額控除の導入には参院第1党の民主党が積極的。政府税調が本格検討に乗り出すことで、11月をメドに答申をとりまとめる税制改革議論の焦点に浮上してきた。
格差是正のための方法として有効かもしれませんが、税額控除だけなら可能ですが、生活保護の給付となると、手続きに膨大な労力を要する、不正が多発するなど弊害が多くて実行は無理でしょうね。