2007年8月アーカイブ

誰が為に国は在る

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税制改革ー自民党の参議院での大敗で、政治の世界で税に関する思考停止状態が生じる可能性が大です。この状態を私は、大変懸念しております。税に関する思考停止状態は、世代人口が激減する30年後の30歳から40歳の人々に対して、我々は不作為(一定の作為を行う義務を行わないこと)であると思料します。それゆえ、「誰が為に国は在る」という題を付けました。

 

8月22日の日本経済新聞一面トップに次のような記事が載っていました。"自民党税制調査会の津島雄二会長は21日、日経新聞とのインタビューで、現行5%の消費税率引き上げに関し「参院は野党が過半数を持っている。既定方針そのままにやれるわけがない」と述べ、年末に決める2008年度税制改正大綱への明記は困難との認識を表明した。同時に消費税率の当面据え置きを主張する民主党との協議を提案。法人課税の実効税率引き下げも現状では難しいとの考えを示した。参院での与野党逆転に伴い、与党が描く税制の抜本改革は滞ることになる。党税調では町村信孝小委員長も日経新聞の取材に「(消費税率引き上げの)議論はしなければいけない。ただ、結論を出せる政治状況であるかと言えばなかなか厳しい」と指摘。これまで消費税率引き上げに前向きだった幹部が相次ぎ慎重論に転じている。"この記事を読んで、大変憂慮しております。

 

消費税率引き上げに前向きだった幹部とは、日本のこれからの税はどうあるべきかに関して、一家言を持っている政治家と考えられます。その政治家が税制改革を提言することを止めると言っています。その理由は、参院第一党になった民主党が消費税率を当面、据え置く方針を示しているからです。憂慮すべき点は、衆議院と参議院のねじれ現象によって、これからの政治の世界では、税に関して思考停止状態が続く可能性が大きいことです。

 

 私は、敢えて、税に関する思考停止状態に問題提起したいです。先ず、財政再建が急務と国民は考えています。OECD21カ国のデータを分析した結果、財政再建は増税ではなく、経済活性化による税の増収と歳出削減が効果的であることを実証的分析が証明しています。そして、日本も例外でなく、この1?2年の税の増収の結果、歳入と歳出は均衡してきております。消費税問題を財政再建の道具として考えることは不適切であり、短期的にみれば消費税率の引き上げは必要ないと考えます。その意味では、民主党の言っていることは正しいです。しかし、それでは30年から40年先を考えたらどうなるのか?今の人口が2050年までには8千万人にまで減少する予測も出ています。 つまりこれから30年から40年先を見据えて考えると、少子高齢化の影響(現在、30歳から40歳の人々が65歳以上になった時の年金と医療費を、世代人口が激減する30年後の30歳から40歳の人々が負担することを考えなければなりません。

現在問題にされている財政再建と少子高齢化の影響は、異質の問題です。残念ながら、今の日本に30年から40年先を見据えて行動する政治家はおりません。それは、有権者がそのような政治家を選ばないからです。有権者はバカなのか。そうではないと考えます。有権者に正しい情報が伝えられていないためと考えます。それは、政治家が説明責任を果たしてこなかったことと、マスコミがオピニオンリーダーの役割を放棄したためです。マスコミは影響力が大きいゆえ、苦言を呈します。ニュースを発信するマスコミ側に、社会の木鐸たらんとする気概が全く感じられなくなっています。特に最近のTVの報道番組に出てくる評論家の意見は、耳触りの良いことばかりで、中身がありません。有権者に正しい情報が伝えられていないため「30年から40年先のことを考えるのは政治家で、自分達ではない。俺たちは、毎日の生活が苦しくて大変なんだ。そんな時、増税なんてマッピラだ!」という支離滅裂な考えが視聴者の中でまかり通るようになります。 

税に関する思考停止状態が政治の世界で続くことは、我々の子供の世代に禍根を残すことです30年から40年先のことを考える政治家を選ぶよう有権者の意識を変える必要があります。

 

隗より始めよ。私見を申し上げます。与党、野党を問わず政治家が取り組まなくてはいけない課題は、

(1)税と社会保険料を合わせた国民の負担をどの程度までなら容認できるのか政府のサイズに関する国民の選択の議論を国会の場で行うこと。

(2)政府のサイズを議論するためには、信頼性の高い数値(将来年度の年金と医療費の負担額、それを賄うための税収と社会保険料の収入)を示して議論すること。

(3)必要な税収を確保するためにはどのような税制が妥当か、そしてその税率はいくらかを議論することです。 

 

税制の基本は「公平」「中立」「簡素」です。私は「公平」「中立」「簡素」を踏まえた上での21世紀の税制改革に関して微力ながら、情報発信を続けて行きたいです。日本はこれから50年間、少子高齢化の波が押し寄せるという現実(しかし、実感出来ない現実)を認識する必要があります。そして、30年から40年先のことを考える必要があります。私見ですが、望むべき有権者像があります。それは以下の通りです。

「少子高齢化の波は段々高くなる。これから30年も、40年も、50年も続くのだ。だから、俺たちは、30年から40年先のことを考える政治家を選ぶ必要があるんだ!俺たちは、けっして豊かではないけど、貧しくもない。俺の子供たち、孫たちのために出来ることがあれば、教えて欲しい!」 

 

 

30年から40年先のことを考えて、財政的手当をしている国があります。それは福祉国家・ノルウェーです。ノルウェーの例は示唆に富む内容です。

 

資産の評価損

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租税法解説ー資産の評価損に関わる法人税法上の取扱いを説明しています。

会社法では、費用の認識は発生主義によって測定することが義務付けられています。その一例として、会社計算規則第5条(計5)第3項を引用します。同項では次の取扱いを求めています。事業年度の末日における時価がその時の取得原価より著しく低い資産は、事業年度の末日における時価を付すること、事業年度の末日において予測することができない減損が生じた資産又は減損損失を認識すべき資産 その時の取得原価から相当の減額をした額を付することを求めています。

しかし、法人税法は、実現した収益および損失のみ、益金および損金に算入することを基本としていますので、未実現の損失(つまり、発生主義に基づく資産の評価損)は損金の額に算入されません(法33)。

上述の如く資産の評価換えによる損失は、基本的に損金に算入しないこととされていますが、評価換えによる損失を評価換えをした事業年度に損金に算入できる例外の取扱いがあります。それら例外は次の通りです。災害による著しい損傷によって、会社の資産の価値が帳簿価額を下回ることになったことによる評価換え、会社更生法による更生計画認可の決定によりこれらの法律の規定に従って行なわれる評価換え、民事再生法による再生計画認可の決定によりこれらの法律の規定に従って行なわれる評価換えを実施して、その帳簿価額を減額した場合、減額した金額が損金に算入されます。また、今日の企業会計は時価主義も一部取り入れる方向になりつつあります。この流れを汲んで、短期売買商品の時価評価損益(法61)および売買目的有価証券の評価損(法61の3)は損金に算入されます。

資産の評価損に関して、税務と会計の間で著しい彼我の差が生じる分野があります。それは減損会計の分野です。減損処理を求められる多く事例において、上記例外規定に当てはまらないとして損金算入が否定されています。しかし、著しい彼我の差は、決算書を読む人々(株主、従業員、税務当局等々の利害関係者)を混乱させるだけです。法人税法上、公正妥当な会計処理の基準を規定しています。その条文が法22?です。当該条文を引用します。 法22?「第二項に規定する当該事業年度の収益の額及び前項各号に掲げる額は、一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従つて計算されるものとする。」

資産の評価損に関して、公正妥当な会計処理の基準(法22)に基づく判断が必要と解します。

資産の評価損に関わる条文を下記に引用いたします。

情けは人のためならず

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清談涼談ー「情けは人のためならず」という格言の理解の大いなる誤解がありました。

武田信玄の言葉として有名な人は城、人は石垣、人は堀。情けは味方、仇は敵なりに大いなる共感を私は持っています。また、私が税理士法人の代表であった時、経営者の務めは組織に人財をつくることであると考えていました。与えられた経営資源の中で、優秀な人材を組織の人財にする施策をとることは意外と難しいものです。そのためには、人材に情けをかけてあげることです。そして、それは時間と根気のいる作業です。仕事上、情けをかけるとは信賞必罰を前提にした上で、すべての者に敗者復活の機会を与えることではないかと考えています。自分自身の短期的利益だけを考えていると、失敗した部下を「出来ない部下」として切捨ててしまいます。それを安易に切り捨てないことが大事ですが、“言うは易く、行うは難し”です。敗者復活の機会を与えるには、機会を与えるサイドに心の拠りどころが必要です。人材に情けをかける時、私の心の拠りどころとなった言葉が「人は城、人は石垣、人は堀。情けは味方、仇は敵なり」でした。

巷間でよく言われている情けは人のためならずは、信玄の言葉とは逆に敗者切捨てのように感じられて合点がいきませんでした。しかし、この言葉には後半の部分の言葉が省略されていることを最近知りました。「情けは人のためならず」のあとにめぐりめぐって己がためという言葉が続きます。そうすると武田信玄の言葉と一脈が通じるところがあります。

情けは人のためならず」という格言の理解の大いなる誤解がありました。また、情けは人のためならず、めぐりめぐって己がためめぐりめぐって(“直ぐには来ないが必ず来る”)の部分は非常に含蓄があります。

色々な意味で人に情けをかけることは大事と考えます。

 

資産の評価益

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租税法解説ー資産の評価益に関わる法人税法上の取扱いを説明しています。

企業会計は取得原価主義を基本とし、収益の認識は実現主義によって、費用の認識は発生主義によって測定されています。企業が生み出す利益は、第三者との取引が実現した時を拠り所にして算定されます。ですから、資産の評価替えによる増加分を利益として認識することは原則としてありません。法人税法においても、原則として資産の評価換えによる利益は益金に算入いたしません(法25)。しかし、今日の企業会計が取得原価主義一本やりから時価主義も一部取り入れる方向になりつつあります。この流れを汲んで、短期売買商品の時価評価損益(法61)および売買目的有価証券の評価益(法61の3)は益金に算入されるます。

上述の如く資産の評価換えによる利益は、基本的に益金に算入しないこととされていますが、評価換えによる利益を評価換えをした事業年度に益金に算入できる例外の取扱いがあります。それら例外は次の通りです。会社更生法による更生計画認可の決定によりこれらの法律の規定に従って行なわれる評価換え、民事再生法による再生計画認可の決定によりこれらの法律の規定に従って行なわれる評価換え、法人の組織の変更に伴う評価換えを実施して、その帳簿価額を増額した場合、増額した金額が益金に算入されます。

資産の評価益に関わる条文を下記に引用いたします。

お知らせー日本弁護士連合会税制委員会主催のセミナーでパネラーを務めることとなりました。

日本弁護士連合会税制委員会主催のセミナーは、下記の要領により開催されます。

  • 日時: 8月31日(金曜) 10時00分から16時30分まで
  • 場所: 弁護士会館2階クレオ
  • 議題:「移転価格税制の問題点」(日弁連の会員に対する案内を添付しました)
  • パネラー: 公認会計士・税理士     村田守弘

今回のセミナーには、日弁連の会員、租税訴訟学会の会員、経団連の会員企業の方々が参加できます。本セミナーは講師による講演とパネラーによるパネルディスカッションの2部構成になっております。私はパネルディスカッションに参加します。

取り急ぎ、連絡いたします。

 

 

 

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