資産の評価益
租税法解説ー資産の評価益に関わる法人税法上の取扱いを説明しています。
企業会計は取得原価主義を基本とし、収益の認識は実現主義によって、費用の認識は発生主義によって測定されています。企業が生み出す利益は、第三者との取引が実現した時を拠り所にして算定されます。ですから、資産の評価替えによる増加分を利益として認識することは原則としてありません。法人税法においても、原則として資産の評価換えによる利益は益金に算入いたしません(法25)。しかし、今日の企業会計が取得原価主義一本やりから時価主義も一部取り入れる方向になりつつあります。この流れを汲んで、短期売買商品の時価評価損益(法61)および売買目的有価証券の評価益(法61の3)は益金に算入されるます。
上述の如く資産の評価換えによる利益は、基本的に益金に算入しないこととされていますが、評価換えによる利益を評価換えをした事業年度に益金に算入できる例外の取扱いがあります。それら例外は次の通りです。会社更生法による更生計画認可の決定によりこれらの法律の規定に従って行なわれる評価換え、民事再生法による再生計画認可の決定によりこれらの法律の規定に従って行なわれる評価換え、法人の組織の変更に伴う評価換えを実施して、その帳簿価額を増額した場合、増額した金額が益金に算入されます。
資産の評価益に関わる条文を下記に引用いたします。
法25「内国法人がその有する資産の評価換えをしてその帳簿価額を増額した場合には、その増額した部分の金額は、その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、益金の額に算入しない。
2 内国法人がその有する資産につき会社更生法 (平成十四年法律第百五十四号)又は金融機関等の更生手続の特例等に関する法律 (平成八年法律第九十五号)の規定による更生計画認可の決定があつたことによりこれらの法律の規定に従つて行う評価換えその他政令で定める評価換えをしてその帳簿価額を増額した場合には、その増額した部分の金額は、前項の規定にかかわらず、これらの評価換えをした日の属する事業年度の所得の金額の計算上、益金の額に算入する。
3 内国法人について民事再生法 (平成十一年法律第二百二十五号)の規定による再生計画認可の決定があつたことその他これに準ずる政令で定める事実が生じた場合において、その内国法人がその有する資産の価額につき政令で定める評定を行つているときは、その資産(政令で定めるものを除く。)の評価益の額として政令で定める金額は、第一項の規定にかかわらず、これらの事実が生じた日の属する事業年度の所得の金額の計算上、益金の額に算入する。
4 第一項の規定の適用があつた場合において、同項の評価換えにより増額された金額を益金の額に算入されなかつた資産については、その評価換えをした日の属する事業年度以後の各事業年度の所得の金額の計算上、当該資産の帳簿価額は、その増額がされなかつたものとみなす。
5 第三項の規定は、確定申告書に同項に規定する評価益の額として政令で定める金額の益金算入に関する明細(次項において「評価益明細」という。)の記載があり、かつ、財務省令で定める書類(次項において「評価益関係書類」という。)の添付がある場合(第三十三条第三項(資産の評価損の損金不算入等)に規定する資産につき同項に規定する評価損の額として政令で定める金額がある場合(次項において「評価損がある場合」という。)には、同条第五項に規定する評価損明細(次項において「評価損明細」という。)の記載及び同条第五項に規定する評価損関係書類(次項において「評価損関係書類」という。)の添付がある場合に限る。)に限り、適用する。
6 税務署長は、評価益明細(評価損がある場合には、評価益明細又は評価損明細)の記載又は評価益関係書類(評価損がある場合には、評価益関係書類又は評価損関係書類)の添付がない確定申告書の提出があつた場合においても、当該記載又は当該添付がなかつたことについてやむを得ない事情があると認めるときは、第三項の規定を適用することができる。
7 前三項に定めるもののほか、第一項から第三項までの規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。」
法61「内国法人が短期売買商品(短期的な価格の変動を利用して利益を得る目的で取得した資産として政令で定めるもの(有価証券を除く。)をいう。以下この条において同じ。)の譲渡(当該短期売買商品が合併、分割又は適格現物出資により合併法人、分割承継法人又は被現物出資法人に移転をする場合における当該移転を除く。以下この項において同じ。)をした場合には、その譲渡に係る譲渡利益額(第一号に掲げる金額が第二号に掲げる金額を超える場合におけるその超える部分の金額をいう。)又は譲渡損失額(同号に掲げる金額が第一号に掲げる金額を超える場合におけるその超える部分の金額をいう。)は、その譲渡に係る契約をした日の属する事業年度の所得の金額の計算上、益金の額又は損金の額に算入する。
一 その短期売買商品の譲渡に係る対価の額
二 その短期売買商品の譲渡に係る原価の額(その短期売買商品についてその内国法人が選定した一単位当たりの帳簿価額の算出の方法により算出した金額(算出の方法を選定しなかつた場合又は選定した方法により算出しなかつた場合には、算出の方法のうち政令で定める方法により算出した金額)にその譲渡をした短期売買商品の数量を乗じて計算した金額をいう。)
2 内国法人が事業年度終了の時において有する短期売買商品については、時価法(事業年度終了の時において有する短期売買商品をその種類及び銘柄(以下この項において「種類等」という。)の異なるごとに区別し、その種類等の同じものについて、その時における価額として政令で定めるところにより計算した金額をもつて当該短期売買商品のその時における評価額とする方法をいう。)により評価した金額(次項において「時価評価金額」という。)をもつて、その時における評価額とする。
3 内国法人が事業年度終了の時において短期売買商品を有する場合には、当該短期売買商品に係る評価益(当該短期売買商品の時価評価金額が当該短期売買商品のその時における帳簿価額(以下この項において「期末帳簿価額」という。)を超える場合におけるその超える部分の金額をいう。)又は評価損(当該短期売買商品の期末帳簿価額が当該短期売買商品の時価評価金額を超える場合におけるその超える部分の金額をいう。)は、第二十五条第一項(資産の評価益の益金不算入)又は第三十三条第一項(資産の評価損の損金不算入)の規定にかかわらず、当該事業年度の所得の金額の計算上、益金の額又は損金の額に算入する。
4 内国法人が、短期売買商品を有する場合において、第一項に規定する目的で短期売買商品の売買を行う業務の全部を廃止したときは、その廃止した時において、その短期売買商品をその時における価額により譲渡し、かつ、短期売買商品以外の資産をその価額により取得したものとみなして、その内国法人の各事業年度の所得の金額を計算する。
5 短期売買商品の一単位当たりの帳簿価額の算出の基礎となる取得価額の算出の方法、短期売買商品の一単位当たりの帳簿価額の算出の方法の種類、その算出の方法の選定の手続、第三項に規定する評価益又は評価損の翌事業年度における処理その他前各項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。」
法61の3「内国法人が事業年度終了の時において有する有価証券については、次の各号に掲げる有価証券の区分に応じ当該各号に定める金額をもつて、その時における評価額とする。
一 売買目的有価証券(短期的な価格の変動を利用して利益を得る目的で取得した有価証券として政令で定めるものをいう。以下この項及び次項において同じ。) 当該売買目的有価証券を時価法(事業年度終了の時において有する有価証券を銘柄の異なるごとに区別し、その銘柄の同じものについて、その時における価額として政令で定めるところにより計算した金額をもつて当該有価証券のその時における評価額とする方法をいう。)により評価した金額(次項において「時価評価金額」という。)
二 売買目的外有価証券(売買目的有価証券以外の有価証券をいう。) 当該売買目的外有価証券を原価法(事業年度終了の時において有する有価証券(以下この号において「期末保有有価証券」という。)について、その時における帳簿価額(償還期限及び償還金額の定めのある有価証券にあつては、政令で定めるところにより当該帳簿価額と当該償還金額との差額のうち当該事業年度に配分すべき金額を加算し、又は減算した金額)をもつて当該期末保有有価証券のその時における評価額とする方法をいう。)により評価した金額
2 内国法人が事業年度終了の時において売買目的有価証券を有する場合には、当該売買目的有価証券に係る評価益(当該売買目的有価証券の時価評価金額が当該売買目的有価証券のその時における帳簿価額(以下この項において「期末帳簿価額」という。)を超える場合におけるその超える部分の金額をいう。)又は評価損(当該売買目的有価証券の期末帳簿価額が当該売買目的有価証券の時価評価金額を超える場合におけるその超える部分の金額をいう。)は、第二十五条第一項(資産の評価益の益金不算入)又は第三十三条第一項(資産の評価損の損金不算入)の規定にかかわらず、当該事業年度の所得の金額の計算上、益金の額又は損金の額に算入する。
3 前項に規定する評価益又は評価損の翌事業年度における処理その他前二項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。」
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