資産の評価損
租税法解説ー資産の評価損に関わる法人税法上の取扱いを説明しています。
会社法では、費用の認識は発生主義によって測定することが義務付けられています。その一例として、会社計算規則第5条(計5)第3項を引用します。同項では次の取扱いを求めています。事業年度の末日における時価がその時の取得原価より著しく低い資産は、事業年度の末日における時価を付すること、事業年度の末日において予測することができない減損が生じた資産又は減損損失を認識すべき資産 その時の取得原価から相当の減額をした額を付することを求めています。
しかし、法人税法は、実現した収益および損失のみ、益金および損金に算入することを基本としていますので、未実現の損失(つまり、発生主義に基づく資産の評価損)は損金の額に算入されません(法33)。
上述の如く資産の評価換えによる損失は、基本的に損金に算入しないこととされていますが、評価換えによる損失を評価換えをした事業年度に損金に算入できる例外の取扱いがあります。それら例外は次の通りです。災害による著しい損傷によって、会社の資産の価値が帳簿価額を下回ることになったことによる評価換え、会社更生法による更生計画認可の決定によりこれらの法律の規定に従って行なわれる評価換え、民事再生法による再生計画認可の決定によりこれらの法律の規定に従って行なわれる評価換えを実施して、その帳簿価額を減額した場合、減額した金額が損金に算入されます。また、今日の企業会計は時価主義も一部取り入れる方向になりつつあります。この流れを汲んで、短期売買商品の時価評価損益(法61)および売買目的有価証券の評価損(法61の3)は損金に算入されます。
資産の評価損に関して、税務と会計の間で著しい彼我の差が生じる分野があります。それは減損会計の分野です。減損処理を求められる多く事例において、上記例外規定に当てはまらないとして損金算入が否定されています。しかし、著しい彼我の差は、決算書を読む人々(株主、従業員、税務当局等々の利害関係者)を混乱させるだけです。法人税法上、公正妥当な会計処理の基準を規定しています。その条文が法22?です。当該条文を引用します。 法22?「第二項に規定する当該事業年度の収益の額及び前項各号に掲げる額は、一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従つて計算されるものとする。」
資産の評価損に関して、公正妥当な会計処理の基準(法22)に基づく判断が必要と解します。
資産の評価損に関わる条文を下記に引用いたします。
計5「資産については、この省令又は法以外の法令に別段の定めがある場合を除き、会計帳簿にその取得価額を付さなければならない。
2 償却すべき資産については、事業年度の末日(事業年度の末日以外の日において評価すべき場合にあっては、その日。以下この編において同じ。)において、相当の償却をしなければならない。
3 次の各号に掲げる資産については、事業年度の末日において当該各号に定める価格を付すべき場合には、当該各号に定める価格を付さなければならない。
一 事業年度の末日における時価がその時の取得原価より著しく低い資産(当該資産の時価がその時の取得原価まで回復すると認められるものを除く。) 事業年度の末日における時価
二 事業年度の末日において予測することができない減損が生じた資産又は減損損失を認識すべき資産 その時の取得原価から相当の減額をした額
4 取立不能のおそれのある債権については、事業年度の末日においてその時に取り立てることができないと見込まれる額を控除しなければならない。
5 債権については、その取得価額が債権金額と異なる場合その他相当の理由がある場合には、適正な価格を付すことができる。
6 次に掲げる資産については、事業年度の末日においてその時の時価又は適正な価格を付すことができる。
一 事業年度の末日における時価がその時の取得原価より低い資産
二 市場価格のある資産(子会社及び関連会社の株式並びに満期保有目的の債券を除く。)
三 前二号に掲げる資産のほか、事業年度の末日においてその時の時価又は適正な価格を付すことが適当な資産」
法33「内国法人がその有する資産の評価換えをしてその帳簿価額を減額した場合には、その減額した部分の金額は、その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。
2 内国法人の有する資産(預金、貯金、貸付金、売掛金その他の債権(次項において「預金等」という。)を除く。)につき、災害による著しい損傷により当該資産の価額がその帳簿価額を下回ることとなつたこと、会社更生法 又は金融機関等の更生手続の特例等に関する法律 の規定による更生計画認可の決定があつたことによりこれらの法律の規定に従つてその評価換えをする必要が生じたことその他の政令で定める事実が生じた場合において、その内国法人が当該資産の評価換えをして損金経理によりその帳簿価額を減額したときは、その減額した部分の金額のうち、その評価換えの直前の当該資産の帳簿価額とその評価換えをした日の属する事業年度終了の時における当該資産の価額との差額に達するまでの金額(これらの法律の規定に従つて行う評価換えの場合にあつては、その減額した部分の金額)は、前項の規定にかかわらず、これらの評価換えをした日の属する事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入する。
3 内国法人について民事再生法 の規定による再生計画認可の決定があつたことその他これに準ずる政令で定める事実が生じた場合において、その内国法人がその有する資産の価額につき政令で定める評定を行つているときは、その資産(預金等その他政令で定める資産を除く。)の評価損の額として政令で定める金額は、第一項の規定にかかわらず、これらの事実が生じた日の属する事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入する。
4 第一項の規定の適用があつた場合において、同項の評価換えにより減額された金額を損金の額に算入されなかつた資産については、その評価換えをした日の属する事業年度以後の各事業年度の所得の金額の計算上、当該資産の帳簿価額は、その減額がされなかつたものとみなす。
5 第三項の規定は、確定申告書に同項に規定する評価損の額として政令で定める金額の損金算入に関する明細(次項において「評価損明細」という。)の記載があり、かつ、財務省令で定める書類(次項において「評価損関係書類」という。)の添付がある場合(第二十五条第三項(資産の評価益の益金不算入等)に規定する資産につき同項に規定する評価益の額として政令で定める金額がある場合(次項において「評価益がある場合」という。)には、同条第五項に規定する評価益明細(次項において「評価益明細」という。)の記載及び同条第五項に規定する評価益関係書類(次項において「評価益関係書類」という。)の添付がある場合に限る。)に限り、適用する。
6 税務署長は、評価損明細(評価益がある場合には、評価損明細又は評価益明細)の記載又は評価損関係書類(評価益がある場合には、評価損関係書類又は評価益関係書類)の添付がない確定申告書の提出があつた場合においても、当該記載又は当該添付がなかつたことについてやむを得ない事情があると認めるときは、第三項の規定を適用することができる。
7 前三項に定めるもののほか、第一項から第三項までの規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。 」
カテゴリ
0020租税法解説0 TrackBacks
Listed below are links to blogs that reference this entry: 資産の評価損.
TrackBack URL for this entry: http://www.muratatax.com/mt-tb.cgi/661

コメントする