2007年9月アーカイブ

ヘッジ取引の損益

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租税法解説ーヘッジ取引の説明とその損益に関わる法人税法上の取扱いを説明しています。

 企業は事業活動を行っていくうえで、将来生じる恐れのある損に対して適正なリスク・ヘッジをする必要があります。ヘッジ取引の古典的例示が判りやすいと思います。トウモロコシの生産者が1ブッシェルあたり最低$5で売れば採算がとれますが、売値がそれ以下になると採算が成り立たない時、種蒔き時のトウモロコシの価格が1ブッシェルあたり$7であった場合、トウモロコシの生産者は先物取引でトウモロコシを売り、収穫時に売り契約を手仕舞いします。もし、収穫時の時価が$4であった場合、トウモロコシの生産者は、$4でトウモロコシを売却しますが、売り契約を手仕舞いした結果、$3の利益が出ます。結果として、自分の生産したトウモロコシは$7で売れたと同じ結果となります。この例では、先物取引で行った1ブッシェルあたり$7の売り契約がヘッジ取引となります。

 デリバティブ取引の損益は時価評価して、評価損益は益金あるいは損金に計上することが求められていますが、現物資産の取引が行われる前に、決算期がきてデリバティブ取引の損益だけが益金あるいは損金に計上されるとヘッジの意味を成さなくなります。この問題の対応を会計および税務で考えています。

ヘッジ会計

デリバティブ取引の多くはその性質から、ヘッジ手段として利用されます。従って、ヘッジ手段として利用されるデリバティブ取引について、時価評価される一方、ヘッジ対象である現物資産について原価評価されることによる損益の計上時期のミスマッチを補正する等のために、以下で述べるヘッジ会計が認められることになりました(金融商品会計基準第五)。

(1)ヘッジ取引の意義

ヘッジとは、有価証券、外貨建借入金など現物資産・負債が抱える価格・金利・為替の変動リスクを、デリバティブ取引等を使って、回避・軽減することです。ヘッジには、相場変動リスクをヘッジする取引と、金利変動リスクに対しキャッシュ・フローを固定するヘッジ取引があります。

ヘッジの対象となる、リスクにさらされている現物資産・負債のことをヘッジ対象といい、ヘッジの際に用いるデリバティブ取引をヘッジ手段といいます。

(2)ヘッジ会計の意義

ヘッジ会計とは、ヘッジ取引のうち一定の要件を満たすものについて、ヘッジ対象に係る損益とヘッジ手段に係る損益を同一の会計期間に認識し、ヘッジの効果を会計に反映させるための特殊な会計処理をいいます。

(3)ヘッジ会計の方法

ヘッジ会計の方法には以下の二つの方法があります。

繰延ヘッジ

原則的な方法

時価評価されているヘッジ手段に係る損益または評価差額を、ヘッジ対象に係る損益が認識されるまで資産または負債として繰り延べる方法

時価ヘッジ

例外的な方法

ヘッジ対象である資産又は負債に係る相場変動等を損益に反映させることによって、その損益とヘッジ手段に係る損益とを同一の会計期間に認識する方法(時価ヘッジは、ヘッジ対象の時価評価が可能な場合にのみ採用可能)(*1)

(*1)現時点では時価ヘッジ会計は、その他有価証券をヘッジ対象とする場合以外は認められていない。なお、ヘッジ対象たるその他有価証券の時価変動要因のうち特定のリスク要素(金利・為替・信用等)のみをヘッジの目的としているときは、そのリスク要素の変動に係る時価の変動額を当期の損益として計上し、それ以外の部分は資本直入をする(実務指針160、185)。

(4)ヘッジ会計の要件

ヘッジ会計は、ヘッジ取引全てに適用されるわけではなく、以下のような要件を充足する場合に適用されます。

  1. ヘッジ取引開始時にヘッジ取引が企業のリスク管理方針に従ったものであることが客観的に認められること

   i) 当該取引が企業のリスク管理方針に従ったものであることが、文書により確認できること

   ii) 企業のリスク管理方針に関して明確な内部規定及び内部統制組織が存在し、当該取引がこれに従って処理されることが期待されること

  2. ヘッジ取引開始時以降において、ヘッジ対象とヘッジ手段の損益が高い程度で相殺される状態またはヘッジ対象のキャッシュ・フローが固定され、その変動が回避される状態が引き続き認められることによって、ヘッジ手段の効果が定期的に確認されていること

税務上の取扱い

ヘッジ会計を適用している場合、繰延ヘッジ・時価ヘッジともに、会計と税務で取扱いに大きな相違はありません。留意すべき点は、上記(4)ヘッジ会計の要件の有効性の判定です。とかくヘッジ取引と言いながら、実際はデリバティブ取引による投機である場合が間々あります。そのような擬似ヘッジ取引は認められません。

デリバティブ取引による損益と現物取引での決済差額との割合がおおむね80%から125%の間にある場合は、ヘッジ対象とヘッジ手段の損益が高い程度で相殺される状態にあると看做されます。


ヘッジ取引の損益に関わる条文を下記に引用いたします。

デリバティブ取引の損益

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租税法解説ーデリバティブ取引の説明とその損益に関わる法人税法上の取扱いを説明しています。

(1)デリバティブ取引の定義

デリバティブ(金融派生商品)とは、債券、株式、為替などの現物金融商品のリスクをコントロールするために、現物金融商品を基本として派生していった金融商品のことで、具体的に以下のような取引が該当します。

取引種類 原資産 取引内容 取引市場
先物取引 将来の一定時点で、特定の商品を約定価格で売買することを約束する契約 金利、通貨、株式 債券、現物商品 取引所取引
先渡取引 将来の一定時点で、通貨又は金利や為替相場に基づいて計算される金銭を、約定した金額で授受する契約 金利、通貨、株式、債券 相対取引
オプション取引 将来の一定時点で、現時点で契約した価格で原資産を購入あるいは売却する権利  金利、通貨、株式、債券

相対取引

取引所取引

スワップ取引 将来のある時点で、異なる金利あるいは異種通貨建のキャッシュ・フローをあらかじめ定めた方法に基づき、契約当時者間で交換する取引 金利、通貨 相対取引

 

(2)会計処理

従来、デリバティブの処理については、包括的な会計基準がなく実務慣行として決済基準(実現主義)が採用されてきました。しかし、決済基準のもとでは、決済されるまでデリバティブの損益が財務諸表に反映されないことになるため、企業が保有するデリバティブ取引に係る契約の内期末日までに利益の出ている方だけを決済させる方法によって利益操作が可能でした。金融商品会計では、デリバティブ取引により生じる正味の債権・債務は、原則として時価をもって貸借対照表価額とする事とされました。また、デリバティブ取引の評価差額は、全て当期の損益として処理します。

(3)税務上の取扱い

会計上デリバティブ取引が時価評価されることに合わせて、法人税法上でもデリバティブの評価損益を益金または損金の額に算入するという取扱いになりました(法人税法第61条の5)。


デリバティブ取引の損益に関わる条文を下記に引用いたします。

今からでも人生を変えられる

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清談涼談ーピーター・ドラッカーの教え子と自称している村田が実践しているドラッカーの教えの内容を披露しています。

?私は、ピーター・ドラッカーの教え子と思っています。しかし、彼の著書を多く読んだ訳でないので教え子と呼ぶのはおこがましいし、躊躇します。しかし、キリスト教徒になる条件は、聖書を創世記から黙示録まで通読することではないと言われています。聖書をすべて読んでいなくても、キリストを信じ、その教えに従う人はキリスト教徒になれると言われています。それと同様な意味で、ドラッカーの著書をすべて読んでいる訳ではないですが、私はドラッカーの教えに共鳴して、実践していることがあるのでピーター・ドラッカーの教え子と自称しています。

?ドラッカーは2005年11月にこの世を去りましたが、彼の思想は色々な人に脈々と受け継がれていてるようです。週刊ダイヤモンドがコラム"3分間ドラッカー"の記事を連載していることからも判ります。「何によって憶えられたいか?その問かけが人生を変える」いう見出しの"3分間ドラッカー"の記事がありました。しかし、この記事の見出しは判り難いです。この見出しを「私はタイガー・ウッズを負かした男として憶えられたい!どうしたらいいのか?その問かけが人生を変える」のように読み替えるとわかり易いです。しかし、上記問いかけは、私自身のものではありません。私自身への問いかけは、「国際税務の分野の第一線でこれからも働きたい!どうしたら働くことが出来るのか?」です。

?そして「その問かけが人生を変える処方箋となる」とドラッカーは著書の中で書いています。私の問いかけ「国際税務の分野の第一線でこれからも働きたい!どうしたら働くことが出来るのか?」に対する処方箋はどうやって書くのでしょうか。処方箋を書くのにコンサルタントは不要です。彼は、自分自身のSWOT分析を行うことで自分の問いかけに対する処方箋が書けると言っています。まさにその通りです。私が実行しているSWOT分析を披露いたします。

?自分のSWOT分析で必要なものは、メモ帳と鉛筆、そして疲れた時に読む池波正太郎とか藤沢周平の文庫本一冊だけです。ポイントは、職場から、家庭から丸1?2日離れて自分の時間を持つことです。誰からも邪魔されない環境に自分を置き、五枚の紙を用意します。一枚目は"Strengths"との見出しを書き、二枚目には"Weaknesses"、三枚目には"Opportunities"、四枚目には"Threats"、最後の紙には"Action Plan"の見出しをつけます。そして、それぞれの見出しに関係する自分のことを思いつくまま箇条書きします。それも焦らずゆっくりとやることです。そうすることで自分のことを色々と考えます。自分の心の叫び、苦しみ、喜びの声を聞くには、時間をかけるプロセスが必要なようです。一枚目から4枚目まで出来たら、五枚目にこれから一年間にやることを書き記します。このプロセスを継続することで、自分の問いかけに対する処方箋が出来てきます。その処方箋に従うと出来ないと思っていたことが不思議と可能になります。ですから、ドラッカーの教え子になれば、「今からでも、人生は変えられる」のです。

外貨建取引の換算差益・差損

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租税法解釈ー外貨建取引の換算差益・差損に関わる法人税法上の取扱いを説明しています。

外貨建取引を行った時に記帳する取引金額は、その外貨取引を行った時における為替相場により換算した金額に依ります。使用する為替相場はその取引日におけるTTM(電信中値相場)に依ります。しかし、外国通貨で表示されていても、支払いが円貨で行われることとなっている取引は外貨建取引に該当いたしません。

為替相場は日々変化していますので、外貨建取引は決算時に付する為替相場の評価が重要な問題となってきます。外貨建取引の換算方法として期末時換算法(期末に為替差損益の計上が強制される方法)と、発生時換算法(期末の換算換えは行わない方法)があります。

資産・負債の種類

所有目的 その他の留意事項 換算方法
外貨建債権・債務 短期 発生時換算法または期末時換算法
外貨建債権・債務 長期 発生時換算法または期末時換算法
外貨建有価証券 売買目的 期末時換算法
外貨建有価証券 売買目的以外 償還有価証券 発生時換算法または期末時換算法
外貨建有価証券 売買目的以外 上記以外のもの 発生時換算法
外貨預金 短期 発生時換算法または期末時換算法
外貨預金 長期 発生時換算法または期末時換算法
外国通貨 期末時換算法

 

 外貨建取引の換算方法の選定は、通常、確定申告書の提出期限までに届出が必要となりますが、当該届出をしない場合、次の方法によることになります。法人がその選定をしなかった場合は、選択適用が可能な上記外貨建取引の内所有目的が短期に分類される外貨建取引は期末時換算法、その他の外貨建取引は発生時換算法に依り換算することが求められます。これを法定換算方法と呼びます。

蛇足ながら、発生時換算法で換算していても、取引時為替相場と決済時為替相場の差から換算差損益は生じます。期末時換算法によれば、毎期、換算差損益は発生しますが、発生時換算法の場合、換算差損益は決済時に発生します。換算差損益は、当然損金又は益金として課税所得に反映されます。 

外貨建債権債務の換算に関わる条文を下記に引用いたします。

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