デリバティブ取引の損益
租税法解説ーデリバティブ取引の説明とその損益に関わる法人税法上の取扱いを説明しています。
(1)デリバティブ取引の定義
デリバティブ(金融派生商品)とは、債券、株式、為替などの現物金融商品のリスクをコントロールするために、現物金融商品を基本として派生していった金融商品のことで、具体的に以下のような取引が該当します。
| 取引種類 | 原資産 | 取引内容 | 取引市場 |
|---|---|---|---|
| 先物取引 | 将来の一定時点で、特定の商品を約定価格で売買することを約束する契約 | 金利、通貨、株式 債券、現物商品 | 取引所取引 |
| 先渡取引 | 将来の一定時点で、通貨又は金利や為替相場に基づいて計算される金銭を、約定した金額で授受する契約 | 金利、通貨、株式、債券 | 相対取引 |
| オプション取引 | 将来の一定時点で、現時点で契約した価格で原資産を購入あるいは売却する権利 | 金利、通貨、株式、債券 |
相対取引 取引所取引 |
| スワップ取引 | 将来のある時点で、異なる金利あるいは異種通貨建のキャッシュ・フローをあらかじめ定めた方法に基づき、契約当時者間で交換する取引 | 金利、通貨 | 相対取引 |
(2)会計処理
従来、デリバティブの処理については、包括的な会計基準がなく実務慣行として決済基準(実現主義)が採用されてきました。しかし、決済基準のもとでは、決済されるまでデリバティブの損益が財務諸表に反映されないことになるため、企業が保有するデリバティブ取引に係る契約の内期末日までに利益の出ている方だけを決済させる方法によって利益操作が可能でした。金融商品会計では、デリバティブ取引により生じる正味の債権・債務は、原則として時価をもって貸借対照表価額とする事とされました。また、デリバティブ取引の評価差額は、全て当期の損益として処理します。
(3)税務上の取扱い
会計上デリバティブ取引が時価評価されることに合わせて、法人税法上でもデリバティブの評価損益を益金または損金の額に算入するという取扱いになりました(法人税法第61条の5)。
デリバティブ取引の損益に関わる条文を下記に引用いたします。
法61条の5「内国法人がデリバティブ取引(金利、通貨の価格、商品の価格その他の指標の数値としてあらかじめ当事者間で約定された数値と将来の一定の時期における現実の当該指標の数値との差に基づいて算出される金銭の授受を約する取引又はこれに類似する取引であつて、財務省令で定めるものをいう。以下この項及び次項において同じ。)を行つた場合において、当該デリバティブ取引のうち事業年度終了の時において決済されていないもの(第六十一条の八第二項(先物外国為替契約等により円換算額を確定させた外貨建取引の換算)の規定の適用を受ける場合における同項に規定する先物外国為替契約等に基づくものその他財務省令で定める取引を除く。以下この項において「未決済デリバティブ取引」という。)があるときは、その時において当該未決済デリバティブ取引を決済したものとみなして財務省令で定めるところにより算出した利益の額又は損失の額に相当する金額は、当該事業年度の所得の金額の計算上、益金の額又は損金の額に算入する。
2 内国法人がデリバティブ取引に係る契約に基づき金銭以外の資産を取得した場合(次条第一項の規定の適用を受けるデリバティブ取引に係る契約に基づき当該資産を取得した場合を除く。)には、その取得の時における当該資産の価額とその取得の基因となつたデリバティブ取引に係る契約に基づき当該資産の取得の対価として支払つた金額との差額は、当該取得の日の属する事業年度の所得の金額の計算上、益金の額又は損金の額に算入する。
3 第一項の利益の額又は損失の額に相当する金額の翌事業年度における処理その他前二項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。