2007年10月アーカイブ

21世紀の税制改革ーあるべき税制を観念的に議論しても有効な解決の糸口は見えないと考え、出来るだけ客観的データに基づいてあるべき税制を検討します。本テーマのブログ記事3回目です

税負担

上の表を見てください。

高所得者層は所得33兆円の内4兆円の税金を、

中所得者層は所得53兆円の内2.5兆円の税金を、

標準所得者層は所得78兆円の内2.5兆円の税金を、

低所得者層は所得30兆円の内0.7兆円の税金を

支払っています。

 

soubetu.png

これを負担している税率に

引きなおした表が左の表です。

高所得者層は所得の12.6%を、

中所得者層は所得の4.7%を、

標準所得者層は所得の3.2%を、

低所得者層は所得の2.2%を

所得税として支払っていること

を意味しています。

この統計数値には国民が負担した消費税の額は含まれていません。消費税の負担額を加算する必要があります。所得の低い人は、収入の大部分を生活費に費やしてしまいます。つまり、所得の大部分が消費税5%の対象になります。しかし、所得の高い人は、必ずしも所得のすべてを生活費に費やす必要がありません。つまり、所得の一部分しか消費税5%の対象になりません。そのような影響を考慮した消費税の推定負担額を所得税負担額に加算すると、高所得者層は14?16%、それ以外のすべての層の人は7?8%の所得税と消費税を負担していることになります。

高所得者層の税負担が低すぎるのではないかと言う疑問を持つ読者の方が多いと思いますが、これは誤解です。年収が2,000万円を超えると50%の所得税が課されます。年収が2,100万円ですと、2,000万円までの所得に対する所得税の実効税率は14%ぐらいですので税額にすると280万円です。2,000万円を超えた部分の100万円に対して50%の所得税が課されますのでその税額は50万円です。その結果、2,100万円の所得に対する所得税は330万円になります。その時の実効税率は14.8%です。同様な計算を年収1億円の所得に対してすると、所得税の実効税率は42.8%になります。それに消費税を加えれば所得の45%近く税を負担していることとなります。

私見ですが累進最高税率50%(所得税40%および住民税10%)をそれ以上に上げる増税は適切でないと考えます。わが国所得税の問題は消費税の導入・引き上げのため、所得税の課税ベースを縮小したことです。消費税の導入・引き上げに対する国民の理解を得るために、所得税の課税ベースの縮小(所得控除の拡大)が行われてきました。その結果、今の所得税法は、"底に幾つもの穴の空いた桶"、すなわち、課税ベースが穴だらけの状態です。すべての層にわたって所得税の税負担が非常に低いことが"底に幾つもの穴の空いた桶"状態の証左です。所得税の課税ベースの見直しをして公正な税制を構築することが大事と思料します。所得税の税率1%は2兆円ぐらいの税収の効果があります。結果として増税になるにしても公正な税制であれば国民に受け入れられるものと信じます。

これから10年の内に、低所得者層の人々にセーフティネットを与えることで10兆円、高齢者の年金、医療で10兆円から20兆円が必要になる可能性が十分あります。上記数値は、まったく根拠のない数値ですが、中(あた)らずと雖(いえど)も遠からずと思います。ですから、所得税あるいは消費税を10%ぐらい上げるという議論が現実味を帯びることは必至と考えます。

高所得者層を年収1,000万円超、中所得者層を600万円超?1,000万円以下、標準所得者層を300万円超?600万円以下、低所得者層を300万円以下と定義して表を作成しました。更に年収100万円以下の層を重度セイフティネット(生活保護等の公的援助のこと)必要低所得者層、100万円超?200万円以下を中度セイフティネット必要低所得者層、200万円超?300万円以下を軽度セイフティネット必要低所得者層と低所得者層を細分化しました

21世紀の税制改革ーあるべき税制を観念的に議論しても有効な解決の糸口は見えないと考え、出来るだけ客観的データに基づいてあるべき税制を検討します。

 

年収200万円以下、1000万人超える」と言うセンセーショナルな記事がありました。ここに朝日新聞(20070928日)の記事を引用します。

「民間企業で働く会社員やパート労働者の昨年1年間の平均給与は435万円で、前年に比べて2万円少なく、9年連続で減少したことが国税庁の民間給与実態統計調査で分かった。年収別でみると、200万円以下の人は前年に比べて42万人増え、1023万人と21年ぶりに1000万人を超えた。一方、年収が1000万円を超えた人は9万5000人増加して224万人となり、格差の広がりを示す結果となった。年収300万円以下の人の層は5年前の34.4%から年々増加しており、昨年は全体の38.8%を占めた。男女別では、年収が300万円以下の男性は21.6%と5年前から4.6ポイント増え、女性は66.0%で5年前から2.3ポイント増えた。アルバイトや派遣社員など給与が比較的少ない非正規雇用者が増えている状況を浮き彫りにした格好だ。」

上記記事で引用されている国税庁の民間給与実態統計調査によりますと、平成181231日現在の給与所得者数は、5,340万人でした。その平均給与は男性539万円、女性271万円で、男女をあわせた平均給与は435万円でした。

次のグラフを見てください。

seftynet.png私は、高所得者層を年収1,000万円超、中所得者層を600万円超?1,000万円以下、標準所得者層を300万円超?600万円以下、低所得者層を300万円以下と定義して表を作成しました。更に年収100万円以下の層を重度セイフティネット(生活保護等の公的援助のこと)必要低所得者層、100万円超?200万円以下を中度セイフティネット必要低所得者層、200万円超?300万円以下を軽度セイフティネット必要低所得者層と低所得者層を細分化しました。私の定義による重度セイフティネット必要低所得者層と中度セイフティネット必要低所得者層が1000万人を超えたことを新聞では言っています。

 

表の内容を金額表示しますと、高所得者層の所得総計は33兆円、中所得者層の所得総計は53兆円、標準所得者層の所得総計は78兆円、低所得者層の所得総計は30兆円です。意外に高所得者層の所得総計が少ないことに驚かせられます。格差社会の是正と言うと高所得者層の負担で低所得者層にセイフティネットを提供すべきと考え勝ちですが、所得金額から考えると年収300万円超の人々すべてが応分の負担をする必要があります。しかし、自己責任を放棄する社会の風潮があります。それは上記のような鳥瞰図的客観的データが提供されていないことに大きな原因があると思料します。

 

21世紀の税制改革ーあるべき税制を観念的に議論しても有効な解決の糸口は見えないと考え、出来るだけ客観的データに基づいてあるべき税制を検討します。

最近のマスコミの報道は大衆を馬鹿にした内容が横行していることに憂慮しております。

特にテレビの報道特集と称する番組はヒドイです。しっかりした論客が居て、狂言回しとしてタレントが参加し、タレントがデタラメな、あるいは感情的な意見を述べるのであれば未だ救えるのですが、主客転倒してタレントが主役になり、狂言回しに浅薄な知識を恥じない評論家が番組に出ています。その結果、民意というものは井戸端会議程度の議論で醸成されていきます。それほどマスコミの力が強いです。民意が非常に近視眼的になっていることを憂慮いたします。

これから数回、今話題になっている年金問題、格差問題の根幹にある事柄を客観的データに基づき分析してみたいです。私見ですが、客観的データは根本的解決の糸口を与えてくれると考えます。

次のグラフを見てください。sainyusyutu2.png

 

平成19年度の歳出は82.9兆円です。歳入(みなさまの払う税金の総計)は53.5兆円です。公債発行額25.4兆円は歳入不足を借金で賄うために国債が発行されます。そして高齢化進展に伴う社会保障費(年金、医療費、福祉等)21.1兆円、国債費(借金の返済)21.0兆円地方交付税(地域格差調整の交付金)14.9兆円が歳出の3分の2以上を占める支出です。公債発行額の棒グラフが常にプラスであることは国債残高が増加傾向であることを示唆しています。グラフが示す情報から我々が検討すべき課題は何かが見えてきます。

* 65歳以上の人2,500万人が25年後には3,600万人に増える状況下で社会保障費の削減、つまり歳出削減は可能なのか?
* 年収200万円以下の人が1,000万人を超えた状況下で社会保障費の削減、つまり歳出削減は可能なのか?
* 歳入不足は如何にして補うのか?

次回以降これら課題について実証的に検討したいです。

祝婚歌(吉野弘作)

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みなさまが贈られてうれしい詩を杜祐祠さんが紹介しています。

 

「祝婚歌」

 

作:吉野弘

 

二人が睦まじくいるためには

愚かでいるほうがいい

立派過ぎないほうがいい

立派過ぎることは

長持ちしないことだと気付いているほうがいい

 

完璧をめざさないほうがいい

完璧なんて不自然なことだと

うそぶいているほうがいい

二人のうちどちらかが

ふざけているほうがいい

ずっこけているほうがいい

 

互いに非難することがあっても

非難できる資格が自分にあったかどうか

あとで疑わしくなるほうがいい

 

正しいことを言うときは

少しひかえめにするほうがいい

正しいことを言うときは

相手を傷つけやすいものだと

気付いているほうがいい

 

立派でありたいとか

正しくありたいとかいう

無理な緊張には

色目を使わず

 

ゆったり

ゆたかに

光を浴びているほうがいい

 

健康で風に吹かれながら

生きていることのなつかしさに

ふと胸が熱くなる

そんな日があってもいい

 

そして

なぜ胸が熱くなるのか

黙っていても

二人にはわかるのであってほしい

 

秋は、結婚する人が多い季節です。これから新しい船出をするカップルに吉野弘さんの祝婚歌を贈って下さい。また、何十年も前に結婚した人も祝婚歌を読んで見て下さい。長い結婚生活で忘れてしまった大事なことを思い出させてくれるかも知れません。

 

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