2007年11月アーカイブ

21世紀の税制改革

 

あるべき税制を観念的に議論しても有効な解決の糸口は見えないと考え、出来るだけ客観的データに基づいてあるべき税制を5回連載で検討しました。本テーマのブログ記事を一括してPDFにまとめました。ご利用いただければ幸いです。

私の記事「移転価格事務運営指針等への対応について」が租税研究(日本租税研究協会発行)10月号に掲載されました。

 

当該記事は平成19723日開催の日本租税研究協会の会員懇談会で話した内容をまとめたものです。

 

本年6月に「移転価格に関する事務運営指針」が改定され、新たに「参考事例集」が作成されました。事務運営指針および参考事例集は、通達と同列に扱われるものです。通達となると、その内容がひとり歩きすることが常です。ですから、今後の移転価格調査で、調査官は「参考事例集に書いてあるから、(事実と異なっても)これで良いのだ」あるいは、「参考事例集に書いてないから、会社の取扱いは認めない」との事態が十分予想されます。

 そのような問題意識から「移転価格事務運営指針等への対応について」の講演をいたしました。機会があれば、是非、租税研究(日本租税研究協会発行)10月号をご一読下さい。下記が10月号の内容です。

 

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21世紀の税制改革 - あるべき税制を観念的に議論しても有効な解決の糸口は見えないと考え、出来るだけ客観的データに基づいてあるべき税制を検討します。本テーマのブログ記事5回目(まとめ)です。

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上の表では、国債の残高の推移を折れ線グラフで示しています。平成19年度末(見込み)の残高は普通国債が547兆円、財政融資資金特別会計国債が143.2兆円あります。つまり、国債の残高は合計690.2兆円です。その他にも国の借入金等が202兆円あまりあります。その結果、国債・借入金残高は892.2兆円と天文学的数値です。

平成15年の国債の残高は、普通国債が457兆円、財政融資資金特別会計国債が91.7兆円です。その時点での国債・借入金残高は703兆円でした。僅か4年間で200兆円近くも国の借金が増えています。穴の空いた桶状態です。棒グラフは、一般会計と特別会計の歳出の推移を示しています。一般会計の歳出の半分以上が特別会計に振り替えられています。その結果、毎年200兆円近い金額が特別会計の歳出となっています。

特別会計というブラックボックスに200兆円という多額の金額が流れ込み、国民の知らないところで費やされています。特別会計を運営する事業が如何に杜撰に営まれているかに関して記述した記事(川本裕子氏による「経済を見る眼」週刊東洋経済20071110日号)を引用させてもらいます。「・・・社会保険は官の事業の現場だが、そこには社会主義的な非効率や無責任が蔓延し、国民の大事な資産を預かり管理するという緊張感が感じられなかった。・・・職員団体の関心は自らの待遇改善に偏り、内向きで規律の緩んだ職場を作り上げた。・・・情報開示の徹底による透明性と、現代的なマネジメントの導入による説明責任の強化が今後の改革の柱だ。」

また、1115日本経済新聞社説「歳出改革を無視した道路財源の温存案」を下記に添付します。この社説を読むと、特別会計というブラックボックスが一人歩きしていることが分かります。

最近よく言われているプライマリバランスとは、国の借金が増えない状態を言います。平成19年度の一般会計の公債発行額は25.4兆円です。つまり、税収が4兆円前後増えれば、それは歳入増となるため、公債発行額を4兆円減らすことが出来ます。その結果、公債発行額21兆円で済みます。そうすると国債費21兆円とバランスがとれ国の借金増加にストップがかかります。景気回復により税収が平成14年以降増えています。この好景気が数年続けば税収の増加によりプライマリバランスは達成できます。しかし、690.2兆円の国債の残高は減りません。

そこで注意すべき点は、プライマリバランスの議論を少子高齢化と若年層の格差問題と混同すべきでないことです。プライマリバランスは財政再建の道標に過ぎません。財政再建は、特別会計から無駄をなくすことで可能になると思料いたします。しかし、少子高齢化と若年層の格差問題は、現状の人口構成、所得構成がドラスティックに変更する事態における急激な歳出の増加をもたらします。先ず、財政再建について検討いたします。OECD21カ国のデータを分析した結果、財政再建は増税ではなく、歳出削減および税の自然増が効果的であることを実証的分析が証明しています。国民は直感的に歳出削減の余地が未だあるのではないかと考えています。そのためには連結ベース予算編成をすることが大事と考えます。

企業会計が単体決算の時代は、子会社を利用した粉飾決算が日常茶飯事でした。それが連結決算に制度が代わった結果、子会社を利用した粉飾決算はなくなりました。

国の予算も単体決算(一般会計)から子会社(特別会計)も含めた連結決算(一般会計と特別会計の歳入・歳出を合算して、重複計上されている歳入・歳出を相殺処理したもの)で予算編成することが急務と解します。連結ベース予算編成をすることで、国全体の歳入・歳出の内容が国民に詳らかされ、不急不要な事業が予算から削られます。209兆円の国家予算の10%ぐらい歳出カットすることは可能と考えます。財政再建は、予算の適正開示と抵抗勢力(族議員、官僚)を駆逐することで達成可能です。

財政再建の努力が見られない状態で、少子高齢化と若年層の格差問題がもたらす急激な歳出の増加を補填するための消費税税率のアップの議論は、木を見て森を見ない議論に思われます。

 

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引用ですが、このブログの内容が何かのお役に立つようでしたら、「村田守弘のブログ」からと付け加えて頂ければ、引用、転用して頂いて結構です。

無題ドキュメント

21世紀の税制改革 - あるべき税制を観念的に議論しても有効な解決の糸口は見えないと考え、出来るだけ客観的データに基づいてあるべき税制を検討します。本テーマのブログ記事4回目です。

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平成19年度の税収は53.5兆円で、不足分は国債の発行で埋め合わされていることを議論してきました(平成191012日付け本ブログ記事を参照ください)。左記の表を見てください。特別会計だけで154兆円という巨額な歳入があります。その結果、一般会計と特別会計の歳入合計額が234.9兆円になります。

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歳出の表も見てください。一般会計と特別会計の歳出合計額が209.0兆円で、一般会計の歳出82.9兆円の内、49.4兆円は特別会計に振り返られています。その結果、特別会計の歳出は175.4兆円と想像を超える金額になっています。平成19年度の国家予算というと82.9兆円を我々は想像しますが、実際はもっともっと大きな金額です。日本の国家予算は209.0兆円です。特別会計というブラックボックスに多額の金額が流れ込み、国民の知らないところで費やされています。

特別会計について検討してみます。わが国の憲法は、一般会計と特別会計を区別していません。また、内閣による予算作成、国会の予算承認、決算の検査等においても一般会計と同様の取扱いがなされることが予定されています。しかし、現実は大きく異なります。

国が行う特定の事業や資金の運用の目的のために現在31の特別会計があります。例えば、国民が払う厚生年金、国民年金、健康保険料は関連する保険事業特別会計(9つある)の歳入となり、国民に還元される年金、健康保険がその特別会計の歳出となります。そして今や伏魔殿(?魔物が隠れている殿堂、?陰謀や悪事が常に行われている所)の様相を呈している社会保険庁が厚生年金、国民年金、健康保険料の管理・運営を行っています。また、今話題の揮発油税は道路特定財源として公共事業特別会計(5つある)の歳入となります。

特別会計に関わる問題がいくつかあります。

l 31の特別会計の資金の流れは複雑怪奇で実態を把握することは、ほとんど不可能なこと。

l ある特別会計に生じた剰余金が、効率的運用されない可能性が高いこと。

l 国民による監視が不十分になって不急不要な事業が行われること。

l 国民の信頼を裏切る不正が行われる温床になること。

一般会計の歳入不足、更に低所得者層の人々に対するセーフティネットの付与、高齢者の年金、医療負担増大に対処するには所得税あるいは消費税を10%ぐらい上げるという議論が現実味を帯びてきています。しかし、国民は馬鹿ではありません。直感的になにか公になっていない情報があるのではないかと感じています。それが不明朗な特別会計にあります。その予算は効率的に運用されているのか、あるいは削減できる歳出はあるか否かを国民に詳らかに説明することが必要です。

財務省の作成した「特別会計のはなし」を読むと10?20兆円レベルでの特別会計の歳出削減の可能性が示唆されています。しかし、既得権を手にした族議員、官僚の抵抗によって特別会計の歳出削減の話が葬り去られる可能性は非常に大きいです。我々は、現状の財政規模を受け入れて増税を受け入れるのか、あるいは特別会計を含めた財政の抜本的見直しを求め、その結果、不足する財源があれば増税も受け入れるのかの選択が求められていると思料します。

来るべき衆議院議員選挙で、上記選択を選挙民である我々は迫られていると解します。

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