2010年11月アーカイブ

 現在議論されている日本の成長戦略は、金融緩和、円安誘導、法人税減税、重要喚起を目的とする給付金やエコポイント制度です。そして、すべての議論が国内経済に限定されています。(プラスの面もマイナスな面も含めて)世界市場とのつながりを考えて成長戦略を考えるべきと思います。

 

ものづくり日本の代表選手である中小企業も世界市場とのつながりを考えなくては、存続できない時代に入っています。従来の製品を国内で販売するには、生産拠点を新興国に移さなくては、安い外国製品に太刀打ちできないです。生産拠点を新興国に移すということは、国内の現存生産設備が遊休化すること、つまり、雇用は維持できなくなります。世界市場とのつながりを考えると、現在議論されている成長戦略(金融緩和、円安誘導、法人税減税、重要喚起を目的とする給付金やエコポイント制度)は、非常に内向きで世界市場との有機的つながりをかんがえていません。そのような成長戦略は、不可避的にマイナス成長をもたらします。

 

必要な成長戦略は、産業構造を変革することです。成長していない企業を温存するために「必要な競争を制限すること」や「補助金をばらまくこと」は廃止することです。そして、高い付加価値の製品やサービスが提供できるように産業構造を変革することが、真の成長戦略になりと思います。しかし、産業構造の変化についていけない人々が生じます。それらの人々を再教育すること、そして、当面の生活資金を援助するセーフティネットを用意することが必要です。そのコストこそ、日本の成長戦略遂行のため国が負担するコストと考えます。

「ものづくり日本の海外戦略」が発売されてから、有難いことにいくつかのコメントが私に寄せられています。最近いただいたコメントをご披露いたします。ご参考になれば幸いです。

 

 実は、私は前職の時、もう十何年も前になりますが、「今後の海外ビジネスをどうするか?」について社内で熱く討議しておりました。
 バブル期はイケイケドンドンで海外進出をして、本邦でも海外でもそれなりに増収増益で、何事も順風満帆のようでした。が、バブルがはじけると、海外ビジネスの評価は、「いかに本社に利益をもたらす(還流させる)ことができるか?」でなされるようになりました。それはある意味当然と思います。しかし、海外ビジネスは、本社に利益をもたらすだけでなく、進出先での技術伝達、雇用創出、販売・仕入れのネットワーク構築等々、グローバル経済に生きる会社にとって様々な有形無形の恩恵をもたらします。
 

 イケイケドンドンで海外進出したにもかかわらず、景気の曲がり角では、「何のために海外ビジネスをするのか?」・・・この根本的な問いに立ち戻って話し合いをしたことを思い出します。しかし、海外推進派であった私も、悠長なことは言っていられません。いかに本社にプロフィットをもたらすかの計画を作りました。無菌室や半導体の工場などで使われる設備の一部を製造販売する事業部が私の所属でした。私は、日本の工場でなれば作れない加工難易度の高い高付加価値製品を海外子会社に高値で買ってもらい、海外子会社で製造する汎用製品は値段を思い切り叩いて国内に仕入れる絵を描きました。要は海外子会社を損益トントンに調整して、利益を全て本社にもってこようとしたのです。その当時、移転価格の知識等、全くありませんでした。私の計画は経理担当に「(利益を全て本社にもってこようとする)そんなことは出来ない」と一笑に付されて終わりました。あの時、「ものづくり日本の海外戦略」を読んでいれば、問題の所在と、それに対処するための様々な選択肢のヒントを得られたと思います。

 高度な知識と経験を持つ専門家のみが関与している移転価格問題について、素人にも分かり易く解説くださった先生の本は、本当に素晴らしいと思います。

トップたる者は、矜持を正せ!

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経団連の米倉会長の20101026日の記者会見の内容を耳にして呆れてものが言えないとはこのことではないかと思います。記者会見の内容は次の通りです。民主党の企業・団体献金受け入れ再開について「政治資金規正法というちゃんとした法律があり、それにのっとって行うのならわれわれは喜んで献金をさせていただく」と歓迎した。会見後には記者団に対し「民主党だけでなく自民党にも公明党にもきちんとした形なら企業・団体献金をしていく」と述べた。半年前の経団連会長が出した方針はいとも簡単に反故にされています。会長が変われば、経団連の方針は反故にして良いのですか?トップたる者は、矜持を正して欲しいです。

 

2010326日の私のブログ記事を引用いたします。→2010321日の朝日新聞(朝刊)に載った経団連の御手洗会長とのインタビュー記事【オピニオン∞財界の明日は】の一部を抜粋したものです。 

Q 民主党は企業・団体献金の禁止に踏み出す方針です。どう対応しますか。

A 御手洗会長「非常に透明度の高い納得性のある企業・団体献金の制度ができればベターだと思うが、政治とカネの問題を解決するうまい方法がなければ、禁止も検討の対象になるだろう。個人が主体となった制度ができるのは個人的にはいいと思う」

Q なかなか増えない個人献金をどう増やしますか。

A 御手洗会長 「寄付税制を変えるとか、米国の個人献金の仕組みのような新しい仕組みを考えないといけない」

Q 経営者が政党を支援するのは自由ですが、会社のお金を使って支援するのではなくて、ポケットマネーで支援すべきだと思います。労働組合に入っている大手企業のサラリーマンは年間5万円ほどの組合費を払っています。経営者ならポケットマネーでそれ以上の献金をしたらいかがですか。

A 御手洗会長 「そう思いますよ。部課長なら年間10万円、役員なら20万円出せと言ってもいいと個人的には思う。経団連会長としてなかなかそうは言えないが、経団連に加盟する1600の企業・団体の幹部がその程度のお金を出せば、現在の献金額(約30億円)ほどの額は出せる」

 

上記御手洗さんのコメントを読んで、この方は自分で多額の寄付をしたことがあるのかと思います。個人の寄付は、その人の生き方に大きく左右されます。ある友人は、毎年100万円以上の寄付をしていますが、この寄付の大半は、志の高い仕事をしているが、経済的に恵まれないご両親に代わって、そのご子弟の教育費負担をしています。芸術に関心ある人であれば、将来有望な画家に対する援助に興味を持つでしょう。今まで寄付という経験の無かった人が10万円寄付しようとした場合、自分の関心の高い方面におカネを使いたいと思います。

 

御手洗さんの個人献金が最初に来るという発想自体が経団連的発想と考えます。つまり、ほぼ強制的に10万円政治献金させることを考えているようです。これは、自民党の政治家が利用してきた政治資金規正法の巧妙な粉飾と50100歩です。今求められるのは、脱法行為の合法化ではないのです。あるべき寄付文化(個人の生き方を反映する種々の方策)の醸成にあると思います。経団連があるべき寄付文化の醸成の担い手の一員になることを期待したいです。←2010326日の私のブログ記事終わる。

 

326日のブログ記事は、ある意味での提言記事ですが、言外に危惧したことが半年後に現実になりました。

 

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