2011年2月アーカイブ

新聞を読んでいると、経済学で言う「合成の誤謬」の議論がなされているように感じます。合成の誤謬の議論とは、その部分において正しいものをそれぞれ集めたら、その集めた結果も正しくなるという誤った議論を言います。 

私が気になる「合成の誤謬」の議論をひと言で表せば、【日本企業の業績が良くなれば、雇用が改善される】です。自動車産業を例にとれば、トヨタ、日産、鈴木自動車の決算は非常の好調です。これら自動車会社の業績が良ければ、日本はデフレ脱却して、雇用が改善すると考えます。この考えは至極当然に見えますが、大きな間違いを犯しているようです。

企業の活動は、日本だけに限られません。例えば、日産は中国で、鈴木自動車はインドで売上を伸ばし、その地域での売上がもたらす利益が好決算に貢献しています。そして、中国・インドで売れている車が日本で作られ、輸出されたものであるなら【日本企業の業績が良くなれば、雇用が改善される】は正しいです。合成の誤謬が起こりません。では、今は何故、合成の誤謬が起こるのでしょうか? 

付加価値を計る目安として、人件費と減価償却費があります。

中国・インドで売れている車が日本で作られたものであるなら、車に含まれる付加価値は、日本で発生します。つまり、景気は回復し、雇用は改善されるのです。しかし、中国・インドで売れている車は、それぞれの国で作られたらどうなるのでしょう!車に含まれる付加価値は、それぞれの国で発生し、日本では発生していません。現実は、後者なのです。自動車産業は好決算でも、その利益の源泉である付加価値は、日本で発生していないのです。 

企業の成長戦略が海外シフトにあるならば、それは、日本のGDP増加に必ずしも寄与しません。むしろ、企業の成長戦略と日本のGDP増加は、相容れない関係になってきています。元気ある企業は、生産を海外シフトするなりして、生きる道を見つけます。問題は、日本全体の成長戦略です。 

経済を知らない政治家と「合成の誤謬」を指摘しないマスコミから日本の成長戦略が生まれて来るか大いに疑問です。私見ですが、日本の生きる道は、今も昔も輸出の拡大です。特に物の輸出に加えてサービスの輸出が大事です。しかし、現状、サービスの輸出は微々たるものです。日本の成長戦略にひとつは、サービスの輸出ができるようすることと考えます。

私の友人が朝日新聞の記者をしています。彼が最近書いた記事を紹介します。それは、「鉄人」と呼ばれた元プロ野球選手、衣笠祥雄さんの食に対する考え方をまとめた記事です(クリックすると当該記事が読めます)。その記事を読むと単に衣笠祥雄さんの食に対する考え方を伝えるだけでなく、衣笠祥雄さんのひととなりを窺わせる文章になっています。一読してみてください。

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