2011年5月アーカイブ

 サラリーマンであれば、生涯賃金は3億円近くになります。もし、25歳から65歳までの40年間働くことができて、毎年同額7,500千円の給与がもらえるサラリーマンを想定した場合、割引率2%で計算した生涯賃金の現在価値は、約2億円です。彼が35歳の時の残りの生涯賃金の現在価値は、約1億円7千万円、45歳の時の残りの生涯賃金の現在価値は、約1億円2千万円、55歳の時の残りの生涯賃金の現在価値は、7千万円弱になります。65歳の時の生涯賃金の現在価値は、ゼロとなります。一方、25歳の時は、金融資産は殆どありません。歳をとるにつれて、金融資産は増えていきます。65歳の時には、労働市場での自分の価値はゼロになりますが、蓄えた金融資産と公的年金で老後は安泰に過ごすことが出来ます。

 

 年功序列が機能していた昭和の時代に自分を金銭価値で評価した額、つまり、人的資産の価値は、確たる価値を持っていました。そうであれば、ライフステージごとに人生のバランスシートを見直すことは容易でした。平成の時代になると年功序列という言葉は、死語となり、非正規社員、リストラという言葉にとって代わられました。55歳でリストラされたら、再雇用の道は非常に厳しいです。そうするとリストラの途端7千万円の人的資産の価値がゼロとなってしまいます。更に悪いことに毎年同額7,500千円の給与がもらえる人はいません。25歳の時は、年俸3,000千円ぐらいで、55歳ぐらいにいちばん高い給与水準になります。そうであると、失う人的資産の価値は1億円近くになるでしょう。もし、彼が住宅ローンをかかえていたら、「地価は永遠に上がり続ける」という不動産神話が崩れた今、多額の負債が残ってしまいます。そして、人生のバランスシートが債務超過になってしまいます。

 

 頑張った人生の結果が債務超過では、すごく惨めです。

 

 大震災は、世の中の風景を大きく変えました。今まで見えなかったことが突然見えてくるものです。特に“絆”の大事さを痛感しました。正規社員、正規社員のための組合、雇用調整のための非正規社員の体制は、既得権益を守るためです。大震災ですべてを失った被災者が見せた“絆”に、多くの人は共感しました。今、必要なのは“絆”です。そのためには、既得権益を壊す必要があります。誰もが幸せな人生を欲しています。それを可能とするには、我々が足し算ではなく引き算を善とする生活をすること、働きたい中高年の雇用の流動性を確保するための建設的破壊をすることです。

製あんノート表紙01.jpg

株式会社カジワラhttp://www.kajiwara.co.jp/ の会長、梶原徳二さんの言葉を引用します。「ある程度の企業規模になれば、中小企業であっても国や社会に対する恩を忘れてはいけないですよ。事業に成功すると、とかく人は自分の能力を過信する傾向があり、事業の成功は自分が血の出るような努力をした結果であると考えたり、大いに謙そんされて運が良かったに過ぎないと言ったりします。しかし、その成功は雇用している人材や社会のおかげでしょう。人材の義務教育を私がしましたか。協力してくれる企業がなくて事業は成り立ちますか。有形無形の恩恵を国家や他者から受けているのです。」 

梶原会長の考え方が実践されていることを株式会社カジワラの最近の活動の一端から、知る機会がありました。カジワラの主力製品の一つの柱は、アンパン、最中、どら焼きに入る「あん」の生産(調理加工)を行なう製あん設備の製造販売です。【現場で役立つ 製あんノート】という本を出版されました。この本は、書籍業界の流通ラインを経ず独自に上梓、出版したものです。販促のためのカタログと内容を異にする本で、この本は、カジワラが重ねてきた研究の成果を詳らかにしたものです。梶原さんのコメントを引用します。「(研究の成果は)和菓子業界および関連業界の皆様から頂いたご厚情の賜物でもあります。今後、和菓子業界の発展のための一石となり得れば、社員一同、望外の幸せであります。」

たかが1冊の本ですが、されど心意気がいっぱい詰まった本です。

頑張る中小企業のひとつの取り組みをここに紹介いたしました。

【大原で勉強している公認会計士試験受験生のみなさまへ】5月1日より拙著「公認会計士試験 租税法対策」 http://amzn.to/dRjFQ0 が大原各校でも入手可能となりました。

4月15日現在、ちょっと嬉しいニュースです。アマゾンのベストセラー商品ランキング第1位(公認会計士)になりました。ランキングは本⇒資格・検定⇒ビジネス関連⇒公認会計士の階層分類によっています。

3月15日の記事です⇒新刊案内です。拙著「公認会計士試験 租税法対策」が出版されました。この本の章立が千倉書房のURL http://bit.ly/giHX17に載っています。公認会計士試験受験生のみなさま、是非、ご参照して下さい!

最近のコメント

アーカイブ

Powered by Movable Type 6.0.3