2011年8月アーカイブ

 8月19日に円が1ドル76円台と戦後最高値をつけました。この円高は、ヨーロッパの経済に不安が高まりドル売りが出た(カントリー・リスク)結果と考えます。このように円高が進むと、円高メリットを利用して海外で資産を活用すべきである、日本企業は海外雄飛を図るべきだという議論が幅を利かせてきます。しかし、この議論は、我が国最大の資産がヒトであり、円高で海外に生産拠点が移動するとヒトを生かす機会、雇用がなくなるという視点がないことが大問題であると考えます。むしろ外需を取り込むことで、輸出を増やし雇用機会を作りだすこと大事と考えます。

 今のままのデフレ状態では、円高になるのは当然と言えます。雇用創造によるデフレ解消が異常な円高を是正する有効な手段と考えます。 

補足コメント:円高になる要因は、1)日本の金利が高くなる(資金が金利の高い日本に流れ、そのため円買い・ドル売りが起きる)。2)デフレになり円の貨幣価値が上がる(購買力平価)。3)輸出が輸入に対して相対的に増えた場合、ドル債権を売って円に換える必要が生じる。4)政府が為替市場に介入する。5)ヨーロッパの経済に不安が高まりドル売りが出る(カントリー・リスク)等です。今の円高の主要要因は上記(5)であると思います。しかし、円高処方箋は、上記(2)にあると考えます。デフレを解消することが円安に通じるのです。(2)の購買力平価説の基本は、A国とB国の間で物やお金の流れが完全に自由なら、同じ商品は同じ価格となるように、為替レートは調整されるはずだという考え方です。例えば、マクドナルドは世界各国に出店し、均質な商品を供給しています。この考え方に従えば、ビッグマックの値段が米国で2ドル、日本で160円とすれば、為替レートは1ドル=80円が適性レートということになります。この例で、ビッグマックの価格が、日本で180円に値上がりすると、2ドル=180円から導かれる為替レートは90円です。デフレの解消は、円安の効果を持ちます。

 東京商工会議所会員向け機関誌『東商新聞』に「中小企業の海外戦略 生き残るには変われ」をテーマにして6回の連載記事を書きます。
● 掲載回数: 6月から11月までの毎月10日号に6回掲載の予定
● 掲載予定の紙面: 毎月10日号の5面・企業

 3月11日に発生した東日本大震災の被害は、地震、津波に被災された企業のみならず、福島第一原発の事故により計画停電、電力不足という形で、関東地方にあるすべての企業にも被害を及ぼしました。福島原発事故が起因となって生じる電力不足は、短期的には解消されないでしょう。東商のメンバーである中小企業の経営者の皆様にとって切実な問題は、海外進出か、あるいは、輸出による外需の取り込みを検討し始めたでしょう。そのためには、多くの中小企業はビジネスモデルを変更する必要があります。【生き残るには変われ】をテーマにして私の専門分野である関税・国際税務を絡めて議論していきたいです。

今回、8月10日号【海外顧客開拓に成功!しかし恒久的施設という税の問題!】です。

7月10日号は【海外進出成功!しかし移転価格税制という問題!(その2)】です。

6月10日号【海外進出成功!しかし移転価格税制という問題!】です。

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