2012年1月アーカイブ

3.11と日本経済のゆくえ

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 戦後、貿易収支は常に黒字でしたが、3.11以降、赤字になり、今後貿易収支は赤字体質になる模様です。東日本大震災によりサプライチェーンが分断されたことにより自動車産業等の主要産業の輸出がストップしたことが貿易収支赤字の原因かと思いましたが、そうではないようです。日本企業の不断の努力により輸出は既に持ち直しております。問題は、輸入の増え方が異常に高いことが原因です。

 “風が吹けば桶屋が儲かる”の類の連鎖的影響です。3.11、そして原発事故、原発から火力に発電はシフト、火力発電の燃料であるLNGの輸入量の増大、更にLNGの価格のアップ、LNGの輸入金額のアップ、その結果、貿易収支は赤字です。そして最近、イランがホルムズ海峡を封鎖するとの発言をしていることで原油価格が上がり始め、100ドルを超える水準となっています。そして中長期的には新興国の進展により世界的に資源需要が伸びる可能性が高いのです。資源高と原発問題によるLNGの輸入増によって、日本の貿易赤字の傾向が続くと言われています。

  良いことは、所得収支(海外からの配当、利子所得等)が黒字なことです。所得収支が黒字ですから、貿易収支が赤字でも、両者を合わせるとネットで黒字だから問題ないが現状です。全体で黒字基調であれば、あと4年から5年間、国債の暴落は避けられるでしょう。国民の金融資産1,200兆円から国債残高1,000兆円を差し引いた200兆円があるため、国債の残高が毎年40兆円積み上がっても5年間は国内で消化できます。今、話題の製造業の国外移転は、長期的には所得収支の黒字増大に寄与します。その観点から考えると、所得収支は逓増していきます。しかし、企業が海外進出しても配当収入が増えるとは限らないのです。日本経済が成長しなかったら、企業が配当を日本に送るとは限らないのです。もっと成長が期待できる国に再投資しようとする可能性が高いのです。企業が自社のパフォーマンスをベストにしようと考えるなら当然の行為です。つまり、日本企業としてベストな選択をしたとしても、日本経済にとってベストな状況にならないという、合成の誤謬が起こるわけです。そのことは認識しておかなければなりません。日経を読むと、企業の業績は必ずしも悪くありません。しかし、日本のデフレ感は一向に改善されません。それは、当に合成の誤謬が起きているからです。日本企業の好決算は、国外移転した事業が貢献しているのであって、国内の事業が必ずしも貢献している訳ではないからです。

 国内の事業が元気になる必要があります。国内の事業が元気になれば、多くの問題が解決できます。しかし、国内の事業を元気にするのは、企業ではありません。企業は、自社のパフォーマンスをベストにしよう行動しますから、日本がベストな環境であれば、日本に投資しますが、そうでなければドンドン海外に投資していきます。日本をベストな環境にするには、既存の事業を守ることより新しい事業を興すことが大事です。そのためには、政治の力に期待したいです。先ず、これから10年先を見据えたマスタープランの策定、そして、そのプランを遂行するためには既得権を排除することです。“コンクリート(既存の事業を守る)から人(新しい事業を興す)へ”とスローガンを掲げた政党があったはずですが、どうしたのでしょうね!?

この度、「公認会計士USCPAのための租税法」(千倉書房)(クリックするとアマゾンの画面に飛びます)を上梓しました。

この本は、大型書店に平積みされています。また、アマゾン、楽天ブックス等のインターネット書店でも購入できます。

この本は他の租税法の本にない三つの特徴があります。
第一は【会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計処理の税法への影響】を取り上げたことです。
第二は、【IFRSに基づく決算書を公表している会社の税金の開示とその解説】をしました。
最後に【IFRS適用による会計処理が税法へ与える影響】を検討したことです。

この本に関心を持って欲しい読者は、会計監査人として会計監査に携る若手・中堅公認会計士・USCPAです。そして、次に、決算書を作成する立場にあるCFOの方々です。

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