尖閣問題は簡単には解決しない!

| コメント(0)

現代中国人の屈辱の歴史は、領土を失うことから始まった

 清朝末期は、中国が植民地化された時代でした。イギリスは中国からお茶を輸入するための代金の手当てのため、中国に麻薬であるアヘンを売りつけました。アヘン取引に懸念を抱いた清朝政府は、アヘンの輸入に制限をかけました。アヘン取引確保のためイギリスが起こした戦争が阿片戦争です。近代兵器に勝るイギリスに清朝は敗れてしまいます。その結果、1842年に清からイギリスに香港島が割譲され、1860年には北京条約により九龍半島が割譲、1898年には新九龍地区や新界地域の99年租借がなされました。更に、1894年には日清戦争が起こり、ここでも清朝は敗れてしまいます。その結果、台湾は実質的に日本の植民地となります。

 力を失った清朝に対して、死肉を漁るハゲタカのように西欧の列強国は、清朝を植民地化していきます。1896年から1898年にかけて満洲からモンゴル・トルキスタンはロシアの勢力下に、長江流域はイギリスの勢力下に、山東省はドイツの勢力下に、広東省・広西省はフランスの勢力下におかれました。

 清朝の崩壊時は、当に“中華ナショナリズム”がズタズタにされた時期です。最近、新聞の紙面で“中華ナショナリズム”なる言葉がよく使われますが、多分、各人各様の理解をしていると想像します。私見ですが、“中華ナショナリズム”とは「中華思想を至上のものとする愛国主義」と理解しています。中華思想とは、辞書「大辞泉」によれば、儒教的な王道政治の理想を実現した漢民族を誇り、中国が世界の中心であり、その文化・思想が最も価値のあるものであると自負する考え方で、中国史における外国からの政治的危機に際して、しばしば熾烈な排外思想として表面化し、それが転じて、自国(自文化)至上主義(優越主義)の考え方を意味しております。

 

中国共産党は、清朝の失敗を反面教師としている

 中国共産党は、清朝の失敗(弱体化した軍事力)を反面教師として、強い軍事力を行使すれば、失った領土のみならず新たな領土も獲得できると考え軍事力の強化を図っています。

 香港の返還交渉にあたっては、1982年9月の英中交渉の時には首相マーガレット・サッチャーに対し、鄧小平はイギリスが返還にどうしても応じない場合は、武力行使や中国本土から香港への水の供給の停止などの実力行使もありうることを示唆したと言われています。そして、ソ連、インドに対して領土問題で現実に武力行使しています。1969年アムール川の支流ウスリー川の中州であるダマンスキー島(中国語名は珍宝島)の領有権を巡って大規模な軍事衝突をソ連としました。また、同年8月にも新疆ウイグル自治区で軍事衝突が起こり、中ソの全面戦争や核戦争にエスカレートする重大な危機にまで発展しました。また、中印国境紛争の時も、1962年11月、中国は大規模な侵攻によりアクサイチン中国、インド及びパキスタンの国境が交差するカシミール地域)を中国の領土化し、現在に至っています。

 現代中国人の屈辱の歴史を考えると、尖閣諸島や南シナ海の島々の領有権を古来中国のものであったという論理を繰り返す中国共産党に対して、そして、解決のために軍事力行使することを容認する世論が醸成されることは止むを得ないと考えます。残念ながら、中華ナショナリズムは、領土問題で高揚します。

 以上を勘案すると、尖閣問題に対して中国が実力行使する可能性は少なからずあると思います。平和ボケした日本人は、中国が実力行使するはないと思いがちですが、そのように考えるのは、原発の絶対に事故はないと信じると同様に根拠のないことです。

 

国際社会を味方につける辛抱強い持久戦が必要

 尖閣諸島の先占(どの国にも属さない土地を先に支配する意思を示し行動すること)についての調査は、1885年に始まり11年かけた後、1895年1月に閣議決定で沖縄の一部となりました。それ以来、尖閣諸島の主要な島々を維持してきたのは主に日本の民間人で、一時は缶詰工場もあり200人を超える人々が居住していました。これら事実から、尖閣諸島の先占は日本にあることについて争う余地がないことは明白です。しかし、領土拡大のためには、軍事力の行使も辞さない中国に対して通じる議論ではないです。ですから、尖閣諸島の問題解決を中国との外交交渉で解決することは無理と考えます。

 中国と同じ土俵で張り合うのでなく、中国との違いを浮かび上がらせることを今後の外交の基本にすべきと考えます。忍耐強く情報発信すれば、国際社会は、中国との違いを理解してくれます。尖閣問題に対する日本の外交的対応は、中国に対してではなく、国際社会に対してすべきです。
 

 中華ナショナリズムとは比較にならないくらい日本国民の国家に対する愛国心、領土への執着心は薄いです。自分達と家族のために日本国は自分達で守るという気概が必要です。その気概とは、国際社会を味方につける辛抱強い持久戦を覚悟することと、万が一尖閣諸島で最悪の事態が発生した場合には、人的防波堤になる覚悟です。

 国民の覚悟が政治を動かしていくものと考えます。

コメントする

アーカイブ

Powered by Movable Type 6.0.3