2013年7月アーカイブ

「小泉構造改革の再評価」を読まれた読者の方から有意義なコメントがありましたので、以下コメントの一部を紹介いたします。尚、コメント全文はブログのコメント欄をクリックすればご覧になれます。

 

  •  2013/6/20高橋信敏氏投稿

・・・・・アベノミクスに期待していることに率直に言って意外な感じを持ちました。大多数の国民にとっては、大変危険な政策であると思っているからです。ご参考に小生の見方を述べ、また我々の取り組むべきテーマについても付言したいと思います。・・・・・

・・・・・第三の矢「成長戦略」これは「競争力強化」を目指すターゲティング・ポリシー(重点分野支援策)と「規制改革」と称する公的規制の撤廃・緩和によるフレーム・ポリシー(制度見直し策)を中心とするものである。「競争力強化」は、これまでの外需依存・投資主導型の道を更に進めるもの。現在のデフレ不況をもたらした政策を継続するのだから、このデフレ不況を一層深刻化するだけである。「規制改革」は、「世界で一番企業が活動しやすい国」を目指す。端的に言えば、「労働者を必要な時に、必要なだけ、安く使えること」、「所得にかかる法人税等をさらに安くすること」、ついでに「農林漁業や教育・医療など公的分野にまで企業が参入できるようにすること」などである(米国がTPPで要請していることでもある)。しかし、この政策の帰結するところも自明である。大多数の勤労国民にとっては、不安定な雇用と低賃金・過重労働が制度的に固定されて、世界一働きにくい国となる。そして国民の購買力が奪われれば、GDPの6割を占める家計消費支出が一層冷え込む。企業は内需依存ではやって行けず、海外市場へ向かう。つまり、格差・貧困社会を招いた同じ道を突き進もうとする戦略である。しかも、武器輸出を解禁したうえに原子力発電(死の灰)の輸出など、世界の平和と安全よりも企業(私的)利潤を優先させる道徳・倫理観の欠如した政策である。そもそも、国民が安心して豊かな文化的生活ができないような「経済成長」に意味があるのでしょうか?・・・・・

 

  •  2013/6/24岩崎栄氏投稿

・・・・・私もアベノミクスの「3本の矢」でやっと失われた20年から決別できるような気がします。誰もやらなかった(できなかった)大胆な金融政策を含む成長戦略を黒田日銀総裁とともに“ロケットスタート”させたことは、小泉純一郎元総理を連想させます。

小泉総理の“自民党(旧弊)をぶっ壊す”は、乱暴だが勇気ある私の大好きな言葉です。

まさにBOLDです。

円ドルの為替変動や日本株の乱高下の振幅はやや激しいですが、いい方向に収斂していくとおもいます。

安部首相がサミットでのプレゼンスで世界の日本を見る目は好転するでしょう。過去になかった経済社会環境の中で、旧弊打破(規制緩和や農業問題などの解決)また日本国民の多様な考えの中で三本の矢に集中して(マスコミに惑わされず)合意形成、協力に努めるべきとおもいます。

私は、海外旅行のときなどには、英字新聞有力紙(欧米や中東・アジアの空港ロビーでは無料で数部)入手し日本の新聞と報道の仕方や記事内容等について興味を持って見比べています。・・・・・

 

  • 2013/7/18斎木修次氏投稿

「改革なくして成長なし」は一般企業にとっては当たり前のことです。しかしこれを国がかかげるとその改革によって不利益をもたらしたり、立ち位置を無くす人たちへの補償を言い弱者切り捨てと唱える人たちが必ず出てきます。これが今の日本で改革できない大きな要因です。マスコミも弱者救済ばかりを言いますね。一般企業で考えれば改革によって不必要になった部署は当然なくなります、しかし改革によって新しい部署が生まれてそこの成長が企業の成長の原動力になってゆくのもです。もともと日本人は逆境に強いことは歴史が証明しています。安倍政権には勇気をもって行動してほしいです。

村田さんのお蔭で私の考えていたことを立証していただき心から感謝申し上げます。

 

  • 2013/7/22坂本暉正氏投稿

・・・・・「安倍首相は、勇気をもって「改革なくして成長なし」の施策を掲げて欲しいです。」と締めくくられています。

村田先生は、改革なら何でもよいとお考えではないと思いますが、具体的な提案こそが価値があると思いますが、どんな改革を想定しておいでになりますでしょうか?

さて、改革には、注意しないと、改革勢力は利益を確保するが、従来の勢力が損をして、国民全体では、成長もメリットもないものが多くあります。

例えば、薬のネット販売の規制緩和は、ネット業者は大きく利益を受けることになるでしょうが、現状の薬局はネット業者に売上を持っていかれ、店舗の縮小や閉鎖、薬剤師や従業員のリストラが起こり、日本全体としては、損失が大きくなります。利益がネット業界に移転しただけで、日本全体には利益を生まないのです。(まさか、ネット販売で、薬を拡販し、国民の薬漬けを狙っているのではないと思います。)・・・・・

 

  • 2013/7/25高橋信敏氏投稿

・・・・・明らかにされた問題が幾つかあります。

  一つは、富裕層の増税に関して、村田先生は次のご指摘をされました。「所得税の実効税率」について、課税所得50億円超100億円のグループの実効税率は、実に13.5%という低い実効税率になっています。」 「それは、株式譲渡、株式配当には「申告分離課税」があるからです。」「私見ですが、課税所得5,000万円以上に該当する富裕層の所得は、すべて「総合課税」として、「申告分離課税」は認めなくすることが望ましいと考えます。」・・・・・

  二つ目は、村田先生の次の試算結果です。「年間給与額800万円超の給与所得者の所得合計は、42兆7517億円です。彼らの実効税負担率は10.4%(税額÷給与総額)です。この負担率を15%までにあげれば、5%アップ分、つまり2兆円強の増税効果があります。」なお、これについては「この増税が格差是正に役立つのでしょうか?」と疑問を呈されました。しかし、将来の社会保障充実等の財源としては、大切なものと考えます。

  三つ目は、村田先生は次の問題提起をされました。「日本の家計金融資産は、少数の金持ちに保有されるのでなく、団塊の世代からそれ以上の年代の手許にあることを「家計調査報告」の調査結果は示していると考えます。」として、「富の世代間不均衡を是正する時期にきているようです。」なお、これに対して、私は当時以下のコメントをしました。「富裕層への課税については、今回のようなフローからとストックからの両面から検討することが大切と思います。」・・・・・

 国税庁長官官房企画課作成「平成23年(2011年)分民間給与実態統計調査」によると年収200万円以下の給与所得者は、1,069万人居ます。これらの人々の所得水準は、統計的には、貧困層になります。これらの人々の所得を一人当たり100万円かさ上げするために必要な金額は、最低でも10兆円です。その資金を所得税の増税によって捻出することは、不可能です。

  所得移転を目的にした増税であれば、増税の対象者は、富裕層に限定せず、失われた20年間の勝ち組に属するアッパーミドル以上の層も対象にすべきです。これらの層に対して一律5%の増税をすれば、2兆円強の増税効果があります。しかし、10兆円を捻出するのには、一律25%の増税が必要となります。富裕層に対する最高税率を25%アップして70%にすることは、政治的に可能ですが、アッパーミドル層に対する最高税率を25%アップして50%にすることは、政治的に不可能です。さらに市町村民税の負担10%を加味すると、所得税率は天文学的な率になります。つまり、所得税の増税によって「底貫け」の格差解消は出来ないと考えます。

  「底貫け」の格差解消は、アベノミクスの「3本の矢」の最後のひとつ、「成長戦略」に委ねられます。しかし、安倍首相の出した「成長戦略」で「底貫け」の格差解消は出来るのでしょうか?この点に関して、興味ある記事が日経ビジネスONLINE「小泉構造改革3つの誤解」小峰隆夫氏(2012年11月28日)に載っていました。彼のコメントを抜粋します。

 

【・・「ではなぜこれほどまでに「小泉改革で日本は格差社会になった」という誤解が広がったのか。私は要するに経済が低迷していたからだと考えている。小泉構造改革が行われていた時代は、失われた20年の真っただ中であり、経済は低迷し、名目所得は減り、若者の失業率は高まり、企業は正社員の採用を抑制し、非正規の労働者が増えた。多くの人はこうした現象を「格差の拡大」と認識したのではないか。しかし、それは「格差が拡大した」のではなく、絶対的な所得水準が低下し、絶対的な雇用のレベルが下がったことによるものだったのだ。

中略

 小泉構造改革の成果についてだが、私自身は、経済成長を十分高めるという意味では、小泉構造改革はそれほど大きな成果を挙げるまでには至らなかったと考えている。潜在成長力を十分発揮するためには、医療・介護の分野に民間活力を活かしていくこと、市場開放を進めて、国内の競争環境を整備すること、農林漁業の生産性を高めていくこと、労働分野の流動性を高めていくことなどが必要だが、いずれもいまだに未完成である。

中略

 にもかかわらず、多くの人が小泉構造改革で世の中が変わったという印象を持っているのは、次のようなことがあるのではないか。

 1つは、小泉元首相のキャッチフレーズがあまりにも印象的だったことだ。「改革なくして成長なし」「民でできるものは民で」などの言葉が強力に流布したので、世間の人々は本当に大改革が行われたように感じたのではないか。

 もう1つは、不良債権処理、郵政民営化という大プロジェクトが実施されたことだ。この2つが重要な課題ではあったことは間違いない。しかし、不良債権処理は、バブル後の停滞からの脱却のための過渡期にのみ求められるものであり、郵政民営化も、象徴的な意味合いはあったものの、成長のための構造改革という意味では1つの部品に過ぎなかったと言えるだろう。】

 

 本連載で明らかにした事実から実証的に言えることは、「小泉構造改革で格差は広がった」のではなく、失われた20年の間、貧困層がコンスタントに増えていたのです。日本は、貧しくなっていたのです。

 私見ですが「改革なくして成長なし」は、成長戦略の“最優先課題”(最近の新聞での表現「1丁目1番地」)であると考えています。しかし、アベノミクスの成長戦略では、その「1丁目1番地」が抜けています。安倍首相は、「また市場原理の構造改革か」と言われるのを恐れて、「1丁目1番地」を前面に出せないようです。安倍首相は、勇気をもって「改革なくして成長なし」の施策を掲げて欲しいです。

小泉構造改革の再評価 その7

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 貧困層が増える「底貫け」の格差社会の進行をストップさせる方法として、今回の富裕層への増税は機能しないことが前回のブログ記事(小泉構造改革の再評価 その6)で明らかになりました。

 「底貫け」の格差社会の進行をストップさせる方法について、その手段を所得税に限定して検討してみます。再度、国税庁長官官房企画課作成「平成23年(2011年)分民間給与実態統計調査」を下記に引用します。

 

 給与階級別の給与所得者数、給与総額及び税額

 小泉構造改革の再評価その6_2.png

  この統計資料での1年を通じて勤務した給与所得者は、4,566万人です。その内、年間給与額800万円超の給与所得者は366万人です。残りは、年間給与額800万円以下の給与所得者で、その数は4,199万人です。年間給与額800万円超の給与所得者は366万人で全体の給与所得者の8.0%にすぎませんが、その税額は合計4兆4,472億円で全体の58.9%を占めています。

 既に述べました(小泉構造改革の再評価 その5)が、失われた20年間の所得分布を鳥瞰図的に見ると、富裕層の所得はあまり増えていません。むしろ、成長しない日本経済の下、限られたパイの取り合いが中間層の間で起こっています。中間層が勝ち組と負け組に分かれます。中間層の勝ち組は、アッパーミドルとなり、中間層の負け組が貧困層に落ちていきます。貧困層の増加が格差を生じさせています。年間給与額800万円超の給与所得者を中間層の勝ち組と見做すことが、マクロ的実態に合致していると考えられます。

 年間給与額800万円超の給与所得者の所得合計は、42兆7517億円です。彼らの実効税負担率は10.4%(税額÷給与総額)です。この負担率を15%までにあげれば、5%アップ分、つまり2兆円強の増税効果があります。しかし、この増税が格差是正に役立つのでしょうか?

小泉構造改革の再評価 その6

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 「底貫け」の格差社会の進行をストップさせる方法は、富裕層への増税でしょうか?

 富裕層の増税効果を知るための統計資料として、国税庁長官官房企画課作成「平成23年(2011年)分民間給与実態統計調査」を使用します。その調査の中に給与階級別の給与所得者数、給与総額及び税額の表があります。この調査で、給与とは「給料・手当及び賞与の合計額をいい、給与所得控除前の収入金額である」としています。

 その表を下記に引用します。

 

給与階級別の給与所得者数、給与総額及び税額

 小泉構造改革の再評価その6_2.png

 この統計資料での1年を通じて勤務した給与所得者は、4,566万人です。その内、年間給与額800万円超の給与所得者は366万人です。残りは、年間給与額800万円以下の給与所得者で、その数は4,199万人です。

 今年、富裕層への増税を目的とした税制改正がなされました。「課税所得4,000万円超について45%の税率を2015年から新たに設け、適用する」という内容です。年収4,500万円から5,000万円の人が課税所得4,000万円超の人に該当します。上記表では、年収4,500万円から5,000万円超の富裕層がどれだけいるかが明らかになりません。他の統計資料から推測するに、そのような層に属する人は、2万人前後と思われます。

 今回の富裕層への増税がもたらす税収の額を推定します。富裕層への増税の対象となる人の平均課税所得金額を仮に1億円とした場合、富裕層(2万)の課税所得の総額は2兆円です。しかし、これら富裕層の増税効果は、1,000億円に過ぎません。その計算は以下のとおりです。

 増税効果(1,000億円)=課税所得総額(2兆円)×増税分(45%-40%)

 

 2012年の予算ベースでの所得税額は11.4兆円です。鳴り物入りで富裕層に対する増税をしても、増税効果が1,000億円であれば、歳入に与える影響は微たるものです。消費増税と比較してみると一目瞭然です。現行の消費税5%の税率が2014年4月に8%に、15年10月には10%に上がる予定です。計算上は、10兆円余りの消費税税収が消費税率10%になった時点で倍の20兆円になるはずです。つまり、10兆円の増税効果があります。

 マクロ的にみると富裕層に対する増税効果は、1,000億円と微々たるものです。富裕層からの徴収した税金を貧困層へ何らかの形で所得移転することを通じて「底貫け」の格差社会の進行をストップさせることは難しいです。

小泉構造改革の再評価 その5

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 前回のブログ記事で述べましたが、“ジニ係数”の国際比較をすると、日本の所得格差はドイツ及びフランスとほぼ同等です。しかし、なだらかですが日本の“ジニ係数”は、1984年から調査の最終年度である2009年の15年間右肩上がりを示しています。つまり、長期間にわたって格差は進行していました。そこからは、小泉政権下の2001年から2006年の間に格差が広がった様子は窺えません。マクロ的にみると、「小泉改革が格差を作った」という議論は否定されます。「群盲、象をなでる」の類の報道をすることで、「小泉改革が格差を作った」と大衆を信じ込ませた全国紙、TVの罪は重いです。

 しかし、厳然たる事実として格差は、広がり続けています。アベノミクスの「財政出動」「金融緩和」「成長戦略」という「3本の矢」を放つことで格差問題は解決するのでしょうか。格差問題の解決をするには、格差拡大の原因分析をする必要があります。

 格差には2種類の格差があります。「突き貫け」の格差と「底貫け」の格差です。「突き貫け」の格差とは、富裕層に富が集中することによって生じる格差です。一方、「底貫け」の格差とは、貧困層が増えることによって生じる格差です。

 失われた20年間の所得分布を鳥瞰図的に見ると、富裕層の所得はあまり増えていません。むしろ、成長しない日本経済の下、限られたパイの取り合いが中間層の間で起こっています。中間層が勝ち組と負け組に分かれます。中間層の勝ち組は、アッパーミドルとなり、中間層の負け組が貧困層に落ちていきます。貧困層の増加が格差を生じさせています。つまり、失われた20年間の格差は、「底貫け」の格差と言えるでしょう。

 貧困層にハイライトを当てて、時系列的分析をします。下記の表を参照してください。

小泉構造改革の再評価その5.png

 貧困ラインとは、等価可処分所得が全国民の等価可処分所得の中央値の半分に満たないラインを言います。国民生活基礎調査による日本の2003年の等価可処分所得の中央値(260万円)の半分、つまり130万円が貧困ラインとなります。これは、単身者では手取り所得が130万円、2人世帯では183万円、3人世帯では225万円、4人世帯では260万円に相当します。

 上記表から明らかな貧困層に関る特徴的な現象は、貧困層の逆転が見られることです。昔は貧困層に属する高齢者の割合が著しく高かったのに対し、今はその割合が減り、逆に貧困層に属する25歳以下の若年層の割合が著しく増加していることです。

 この20年間は、貧困層が増える「底貫け」の格差社会が進行し、そのしわ寄せが若年層になされていることは確かです。「底貫け」の格差社会の進行をストップさせる方法は、富裕層への増税でしょうか、あるいは別の方法が求められるのでしょうか?次回は、その点を議論してみたいです。 

小泉構造改革の再評価 その4

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 “ジニ係数”を利用して、格差の問題を検討します。“ジニ係数”が0であれば完全平等の社会で、“ジニ係数”が1であれば完全不平等な社会です。ですから、実際のジニ係数は、0から1の間にあります。“ジニ係数”が0に近ければ格差が小さい社会で、1に近ければ格差が大きい社会と言えます。“ジニ係数”が増える方向に動けば、格差が生じたと言えます。

 総務省統計局の公表資料から、ジニ係数の国際比較が出来ます。

  等価可処分所得のジニ係数を国際比較

  • 各国によって調査年は異なるが、日本の所得格差はドイツ及びフランスとほぼ同等。

  小泉構造改革の再評価その4-1.png

等価可処分所得とは、国際比較可能な形で所得格差を把握するため、OECDで採用されている国際的な枠組みに基づき、1世帯当たりの世帯人員を勘案した年間可処分所得。

<等価可処分所得の計算方法>

(1)世帯員ごとの年間収入額から、年間の税額及び社会保険料を推計し、控除することによって、年間可処分所得を計算。

(2)世帯員ごとに計算された年間可処分所得を合算し、世帯の年間可処分所得を計算。

(3)世帯の年間可処分所得が同水準であっても世帯人員によって1人当たりの効用水準が異なることを考慮して調整する。

(平成21年全国消費実態調査 各種係数及び所得分布に関する結果より抜粋)

 

 “ジニ係数”の国際比較をすると、日本の所得格差はドイツ及びフランスとほぼ同等です。しかし、なだらかですが日本の“ジニ係数”は、1984年から調査の最終年度である2009年の15年間右肩上がりを示しています。つまり、長期間にわたって格差は進行していました。上記表から言えることは、小泉政権下の2001年から2006年までの期間に格差が生じたのではなかったです。むしろ、格差は恒常的に進んでいたのです。

 「小泉改革が格差を作った」というステレオタイプのキャッチコピーは改訂すべきで、正しくは「残念ながら、格差は恒常的に進行している」・・です。

 次回は、格差について検討してみたいです。

小泉構造改革の再評価 その3

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『世界がもし100人の村だったら』の1節「(その村には・・・)6人が全世界の富の59%を所有し、その6人ともがアメリカ国籍」に戻ります。直感的に、格差があることが判ります。今回は、この例を利用してジニ係数の算定方法を説明します。

 

「6人が全世界の富の59%を所有し、その6人ともがアメリカ国籍」の1節をグラフ化すると次のようになります。

小泉構造改革の再評価その3_1.png

表では、累積人員94名の人の累積所得額は41%になることを示しています。つまり残り6名が所得の59%を獲得することを意味しています。上記表を用いて“ジニ係数”を説明します。“ジニ係数”とは完全平等を示す線(45度)と格差を示す線で囲まれた部分の面積(下記A)と45度線の下の三角形の面積(下記B)の比で表したものです。

小泉構造改革の再評価その3_2.png

 

つまり、ジニ係数=A÷Bの算式で示されます。

Aの面積が小さいほどジニ係数は小さくなります。完全平等ですとAの面積は0となりますのでジニ係数は0となります。完全不平等ですとAの面積はBと等しくなりますので、ジニ係数は1となります。ですから、実際のジニ係数は、0から1の間にあります。

 

なお、留意すべき点があります。ジニ係数は、個人別ではなく、単身世帯を含めた全ての世帯の所得を基準に算定しています。

小泉構造改革の再評価 その2

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「小泉改革が格差を作った」という点をマクロ的に検証したいと考えています。

 

格差を測る指標として“ジニ係数”が用いられます。「小泉改革が格差を作った」という点をマクロ的に検証するにあたって、“ジニ係数”の意味を理解する必要があります。

 

“ジニ係数”が0であれば完全平等の社会で、“ジニ係数”が1であれば完全不平等な社会です。ですから、“ジニ係数”が0に近ければ格差が小さい社会で、1に近ければ格差が大きい社会と言えます。“ジニ係数”が増える方向に動けば、格差が生じたと言えます。

 

数年前に話題になった『世界がもし100人の村だったら』という本に次の1節があります。「(その村には・・・)6人が全世界の富の59%を所有し、その6人ともがアメリカ国籍」。この1節を利用しながら、“ジニ係数”の説明をします。

先の1節を次のように読み替えてみます。

「(その村には・・・)100人全員が全世界の富の100%を均等に所有し、その100人は、57人のアジア人、21人のヨーロッパ人、14人の南北アメリカ人、8人がアフリカ人」この1節は、完全平等な世界を意味しています。それをグラフ化すると次のようになります。

小泉構造改革の再評価その2_1.png

次に完全不平等な世界を説明します。

「(その村には・・・)1人が全世界の富の100%を所有し、残りの99人は貧乏」この1節は、完全不平等な世界を意味しています。それをグラフ化すると次のようになります。

 

小泉構造改革の再評価その2_2.png

そこで、『世界がもし100人の村だったら』の1節「(その村には・・・)6人が全世界の富の59%を所有し、その6人ともがアメリカ国籍」に戻ります。直感的に、格差があることが判ります。

 

次回は、この例を利用してジニ係数の算定方法を説明します。

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