2013年11月アーカイブ

千倉書房HPにて『「グローバル企業の行き過ぎた節税戦略」を検証する』という連載記事を書いております。当ブログにおいてもその内容を紹介します。

 

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今まで議論してきたベトナム事業モデル、タックスヘイブンのX国事業モデルは共に人・物・カネを移すことが前提でした。日本企業の海外進出の現状を考えるとベトナム事業モデルはかなり現実的です。しかし、タックスヘイブンのX国事業モデルは非現実的と考えます。法人税を課さないようなタックスヘイブンの国々のインフラは、整っていないことが多く本格的事業活動には適していません。そのことを考えると、人・物・カネを移すタックスヘイブンのX国事業モデルは絵に描いた餅に近く現実的ではありません。しかし、たとえインフラが整っていなくてもカネだけは移せます。カネを移動させて事業再編をすることは可能です。「BEPSレポート」 で問題としている取引は、そのような取引です。

 

 「税源浸食」とは何かについて検討します。

 

会計の世界にはIFRSという国際会計基準がありますが、税の世界には国際法人税法というようなグローバルな税法はありません。国際的取引を律する税法は、各国がそれぞれ独自に定めています。OECDがまとめる課税逃れに対する行動計画が発表されたとしても、それが国際法人税法になるとは考えられません。OECDの意見書は、あくまでガイドラインです。例えば、グローバル日本企業が米国と取引した場合、日米の間での税法の取扱いは必ずしも同じではありません。日米間の取引が取引の他方の国で問題とされた時、税法の取扱いについて両国間の違いによる調整が図られないで一義的に税務処理がなされます。その結果、税法の彼我の差から対象取引には二重課税や二重非課税が発生してしまいます。二重課税の分野の議論はかなりなされてきましたが、二重非課税取引の議論はあまりされてきませんでした。今、話題の「税源浸食」とは、二重非課税取引による課税ベースが大きく歪み、徴収すべき税金が徴収できないことを意味していると解します。

そこで、「BEPSレポート」で問題としている取引、「税源浸食」が発生する取引(税源浸食タックスプランニング)について具体的に説明します。

 

税源浸食タックスプランニング導入前の収益状況は、以下の通りです。 

 

 

この会社のプロファイルは以下の通りです。


・ 会社AはA国に所在し、研究開発機能を担っている。
・ 子会社Bは、B国に所在し、多くの従業員を雇って製造・販売機能を担っている。
・ 連結ベースの税引前利益は200で、税金は60であった。
・ 会社Aの研究開発機能と会社Bの製造・販売機能を移転させることは困難である。
・ グローバル企業として現状の自己資本利益率(ROE)を改善したい。
・ ROE改善のための施策として節税対策を考えている。

 

次回は、この会社が導入する税源浸食タックスプランニングを説明します。

乳酸菌飲料のCMで見聞きする「植物性乳酸菌ラブレ菌」には、別の効果もありそうです。その事に関する興味ある記事を引用します。

 

千倉書房HPにて『「グローバル企業の行き過ぎた節税戦略」を検証する』という連載記事を書いております。当ブログにおいてもその内容を紹介します。

 

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前回の議論を敷衍して、もう一歩、グローバル企業の行き過ぎた節税戦略に関するプロローグの議論を進めたいです。ベトナムの法人税の税率は25%ですが、世界には法人税を課していない国がいくつかあります。これらの国がタックスヘイブンと呼ばれる国です。タックスヘイブンを利用した事業再編について検討します。

 

【設定】 

  • A社はIT関連機器を製造販売する日本企業である。
  • 本社機能のみを日本に残し、すべての研究開発、製造、販売機能をベトナムに移した。つまり人・物・カネを日本からベトナムに移した。
  • 数年後、タックスヘイブンのX国からの企業誘致を受けたA社は、すべての研究開発、製造、販売機能をタックスヘイブンのX国に移した。再度、人・物・カネをベトナムからタックスヘイブンX国に移した。
  • 発生する売上原価及び一般管理費はベトナムとX国とで同じと仮定する。

 

【ベトナム事業モデルの収益状況】

 ベトナム事業モデルのA社の連結損益計算書は以下の通りでした。

 

【タックスヘイブンのX国事業モデルの収益状況】

人・物・カネをベトナムからタックスヘイブンX国に移す事業モデルでのA社の連結損益計算書は以下の通りになります。

 

事業をタックスヘイブンのX国に全面的に移したことによる収益改善効果は絶大です。税金の欄を注目して下さい。ベトナム事業モデルの税金は25ですが、タックスヘイブンのX国事業モデルの税金は0になっています。その結果、収益性は著しく改善され、想像を絶する節税効果が収益を改善させています。タックスヘイブンのX国事業モデルでは、どこにも法人税は支払っていません。課税庁からみればかなり由々しき事態です。しかし、人・物・カネを移した事業再編の結果、節税効果が大きいから問題であるとする必要はないと思います。

私見ですが、単に由々しき事態があるからと行き過ぎた節税という名目で課税することは、裁量主義による課税につながる恐れがあり慎むべきと考えます。そこで、次回はBEPSレポート(注1) が問題とするグローバル企業の行き過ぎた節税戦略がもたらす「税源浸食とは何か」について検討してみたいです。

 

(注1)OECDのレポート“Addressing Base Erosion and Profit Shifting”

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