2013年12月アーカイブ

アベノミクスの1年を振り返って

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日経の「経済教室」で【アベノミクスの1年】というテーマの3回連載の記事が12月2日から掲載されました。連載(上)は伊藤隆敏東大教授、(中)は小峰隆夫法政大学教授、(下)は池尾和人慶応大学教授が執筆されていました。 

執筆した先生方のアベノミクスに対する評価は、(1)短期的効果は現れたが、長期的効果については未確認である、(2)短期的効果から2013年に限ればアベノミクスは成功である、(3)しかし、2014年景気は減速する。これは止むを得ないと考える・・でした。 


3回連載の記事からの抜粋をご参照ください。

 

  • 大胆な金融緩和とインフレ目標採用(第一の矢)は、それが具体策として実現する前に、それを期待する市場が反応した。第一の矢は、まさに狙った的にあたった。伸縮的な財政政策には、短期的な財政刺激、中期的な財政再建というメッセージがこめられていた。名目金利の低下余地が乏しい中で、インフレ期待を高めることで実質金利を低下させようという取り組みである(しかし、私見を言えば、インフレ期待が高まれば、金利は上昇するのが通例である。理論的なアプローチというより、中央銀行の本気度が問われるという精神的なアプローチに思える)。

 

  • 金融緩和への転換とともに短期的な財政支出増(第二の矢)で、デフレ脱却を確実なものにしていくことを狙った第二の矢も、狙ったとおりの景気刺激という短期的効果を持ち、それがさらに中期的な財政再建につながったことで、成功といえる。

 

  • さらに、少子高齢化で労働人口減少が顕著になるなかで、成長を維持するためには、さまざまな分野での規制緩和による1人当たりの生産性の向上、女性・高齢者の労働参加率の上昇が必要と判断して「成長戦略」(第三の矢)を掲げている。第三の矢、成長戦略の内容は6月14日に「日本再興戦略」として閣議決定された。しかしながら、この成長戦略に対してマーケットの反応はいまひとつである。第三の矢は、いまだ放たれていない、という感じが強い。

 

  • 注意すべきなのは、2014年度の成長率の減速が基本的には「やむを得ないもの」であり、「我慢すべきもの」であることだ。(その理由は以下の通りである)
  1. 視野が短期的なことだ。第2の矢で進められた公共投資の増額は本来、短期の効果しかない。
  2. 「国の意思が経済を先導する」という姿勢が強いことだ。「パターナリスティック(家父長的)」、やや強い表現では「国家管理的」だと言える。
  3. コスト先送り型だということだ。国民負担の増加につながりそうな政策は先送りされているのだ。

 

千倉書房HPにて『「グローバル企業の行き過ぎた節税戦略」を検証する』という連載記事を書いております。当ブログにおいてもその内容を紹介します。

 

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前回取り上げた税源侵食タックスプランニングの取引は、次の3つのステップを経て完成されます。尚、「BEPSレポート」で問題としている取引の事例では、全ての国名が、A国、B国となっていますが、A国は米国、B国はアイルランド、C国はバミューダ、D国はオランダを想定しているのではないかと思います。これからの議論は米国、アイルランド、バミューダ、オランダを想定して、「BEPSレポート」で問題としている税源侵食タックスプランニング取引を説明いたします。

 

<再編ステップ1>
会社Aは会社Bの株式を現物出資して会社Cを設立します。特に会社Cの形態に留意すべきです。会社CはB国の法律の下で設立されたのですが、C国で経営され管理されています。

<再編ステップ2>
ステップ2は、会社Cが会社Aの所有する特許や製造ノウハウ等の無形資産を時価で購入します。無形資産売却後、会社Aは従来通り研究開発を続けますが、必要な研究開発費は会社Cが提供します。

 

<再編ステップ3>
ステップ3は、会社Cに所得を集める組織再編です。会社Cは会社DをD国に設立し、会社Cの無形資産の使用許諾を会社Dに与え、その見返りとして、会社Dは継続的ロイヤリティを会社Cに支払う約束をします。そして、会社Dは、ライセンスをうけた技術を製造・販売機能を担う会社Bにサブライセンスします。その結果、製造・販売機能から発生した利益は殆ど課税されることなく会社Cに付け替えることが可能となります。

 

 

次回は、各ステップの税務上の取扱いを検討します。

特定秘密保護法案に関して

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特定秘密保護法案に関して、私見を申し上げます。

 

特定秘密は保護すべきで、その秘密を洩らした関係者は厳罰に処するべきと考えます。問題は、特定秘密の線引きが非常に難しことです。ですから、特定秘密の取扱いは限定的にすべきと考えます。

最近の新聞論調は、羹(あつもの)に懲りて膾(なます)を吹く類の、必要以上に用心深くなり無意味な心配を煽る内容が多いです。その代表的新聞が朝日新聞です。朝日新聞しか読まない国民は、事の本質を見失ってしまうのではないかと危惧しております。

12月14日号の週刊ダイヤモンドの櫻井よしこ氏の意見は傾聴に値します。彼女が例に出した特定秘密は、当に例外的・特異な形で漏洩されたのです。櫻井よしこ氏は、このような例外的・特異な事象にのみ特定秘密保護法案は適用されるべきと考えているようです。当該記事をPDFにしました。ご一読下さい。

 

 

 

千倉書房HPにて『「グローバル企業の行き過ぎた節税戦略」を検証する』という連載記事を書いております。当ブログにおいてもその内容を紹介します。

 

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知的財産所有会社、会社Cの設立

 

税源浸食タックスプランニングは、前回示しました企業形態と収益状況からスタートします。その時の連結損益計算書は、以下の通りです。

 

 

会社Aは、まず研究開発をする会社であり、その会社Aの所有する知的財産を他の関連会社に移転します。それが会社Cになります。再編後、会社Cは知的財産所有会社となります。会社Cは、所有する知的財産の価値の保全、増進をする必要があるため研究開発を継続する必要があります。研究開発の継続は、資金提供は会社が、受託研究開発は会社Aが担うことで成し遂げられます。会社Cの設立は、グループの獲得する利益は会社Cに集中できる枠組みの要となります。

その流れとしては、(1)会社Bの製造・販売から発生する利益を会社Cに移転させ、(2)会社Cに貯まる利益に対してわずかな税金しか課されないようにタックスプランニングを導入します。つまり、知的財産管理機能を担う会社Cをもう一つ作ることが鍵です。

さらに、このタックスプランニングには三つの再編ステップが必要となります。その詳細は次回以降に説明いたします。

 

 

結果として会社Aの企業形態及び収益状況は、上記の通りです。上記タックスプランニングでは、研究開発機能と製造・販売機能を受け持つ企業、会社Aと会社Bは従来通りに事業を続けながら常識外れの節税効果をもたらします。つまり、会社Aの自己資本利益率(ROE)はドラスティックに改善されています。

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