収支が赤字であることと、損益が赤字であることは違うと前回説明しました。私は、日本が損益的に赤字であるかを直接知る情報を持っていませんので、その説明を状況証拠を利用していたします。国富の推移から類推いたします。
下記表を見て下さい。
*対家計民間非営利団体とは、営利を目的とせず家計に対してサービスを提供する団体で、私立学校、労働組合、政党、宗教団体、私立の社会福祉施設(介護保険に関するサービスは「サービス業」に分類)等が該当します。
**上記表は、「平成24年度国民経済計算確報」(内閣府経済社会総合研究所、平成2014年1月17日公表)を利用して作成しました
正味資産の部分を参照してください。国富は3,000兆円あります。この3,000兆円は世界第2位であると言われています。2014年の1月の経常収支の赤字額1兆5890億円ですが、その赤字幅が大幅に拡大する事態ではなさそうです。むしろ、赤字幅は縮小する可能性があります。ですから、2014年通年の経常収支の赤字額はゼロから10兆円の範囲ではないかと推測します。3,000兆円の国富から考えると、そのような金額の経常収支の赤字にバタバタ騒ぐ必要はないように思います。
次に、正味資産の部分で興味ある点は、「一般政府」部門は△39兆円の債務超過状態にあることです。日本を会社に例えれば、優良部門である「家計(そのかなりの部分は居住用土地・建物で構成される)」とお荷物な不採算部門である「一般政府」がある会社です。不採算部門の赤字は、優良部門に付け替えれば問題の解決はできます。国レベルでできる赤字の付け替えの手段は、増税です。
本連載の結論ですが、現状の経常収支の赤字額でバタバタ騒ぐ必要はないが個人的意見です。しかし、債務超過に陥った不採算部門である「一般政府」のリストラは必要と考えます。リストラ無し更なる増税なしの状態が10年〜20年続くと、日本は、国内で調達できる資金に限界が生じる状況になるかも知れません。企業であれば、キャッシュフロー不足による黒字倒産です。黒字であっても倒産した企業の資産は、常に叩き売りされます。その時、3,000兆円の国富は著しく目減りするでしょう。
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