2015年6月アーカイブ

日経記事【「クロヨン」再燃、遠のく公平】 税金考(3)に対するコメントをいたします。(クリックすると当該記事が読めます)

この記事では、自営業者が節税策として法人をつくる「法人成り」の大ブームが起きていると指摘しています。法人成りとは、個人事業者が手続きを行い、株式会社有限会社などの法人に成り代わることです。

法人成りのメリットは、個人事業形態より節税が図れる場合が多いことです。サラリーマンは給与所得控除が所得の計算上控除できますが、必要経費を損金にすることは基本的に認められないです。しかし、法人成りした自営業者は、給与所得控除と共に必要経費を会社の費用にすることが出来る点が大きいです。

法人成りのメリットについて、インターネットを検索していましたら、藤岡昇氏(税理士)と藤岡衣里子氏(社会保険労務士)のHP「ふじっくす」http://www.fujix.gr.jp/index.html で簡潔にまとめられていましたので、一部抜粋して引用させてもらいます。

* サラリーマンと同様に給与所得控除がとれること:

利益に対して課せられる税金は、会社(法人)だと法人税、個人だと所得税という税法に従って、次のように計算されます。

① 売上-費用=利益
② 利益×税率=税金

では実際に、個人事業とサラリーマン(会社の社長)を比較して検討してみます。個人事業もサラリーマンも共に個人が得た利益ですから、所得税法により計算します。

個人事業の場合、売上(仮に3000万円とします)をあげるためには、商品を仕入れたり、宣伝をしたり、お店を借りたりと、様々な費用(仮に2200万円とします)が発生します。この売上と費用の差額が利益です。
給与所得者(サラリーマン)の場合はどうでしょうか?会社からの給与が800万円であったとします。この給与を得るために、サラリーマンも背広を買ったり、靴を買ったり、自己啓発の通信教育を受講したりと、様々な費用がかかります。
サラリーマンも個人事業者と同じように、800万円から背広や靴などの費用を差引いたものが利益となるのでしょうか?実はサラリーマンの場合、実際に背広などに要した金額ではなく、給与の金額に応じて発生したと「みなされる」費用を一定の算式により自動的に計算することになっています。ちなみに、800万円の場合だと、200万円が費用とみなされます。この200万円のサラリーマンとしての費用を給与所得控除といいます。サラリーマンの費用は、実際に要した金額ではなく、みなし金額が費用となるのです。

さて、ここからが本題です。「個人事業を法人成りして会社設立をし、自分の会社から社長として給料をもらう」という形にした場合、どうなるでしょうか?個人事業から法人に形態を変更しただけですから、売上3000万円と費用2200万円はもちろん変わりません。ここで、法人の利益3000-2200=800万円を自分に対する給与(法人の費用となります)として支払ったとします。法人の利益は0円、個人としての利益は、前述の給与所得控除が適用されて、800-200=600万円となります。

つまり、個人事業を法人成りするだけで、利益を200万円も圧縮することができるのです。800万円に対する税金は約188万円ですが、600万円であれば126万円です。この差はなんと62万円にもなるので、とても看過できる金額ではありません。この給与所得控除の方法を使っての利益圧縮が、法人成りのメリットの中でも筆頭にあげられます。

* 退職所得の優遇措置が得られること:

退職金は普通の給与と違って、税制上の手厚い優遇があります。同じ2000万円の支払を受けても、給与であれば、税金は約700万円にもなりますが、退職金として受取るとなると、税金はわずか39万円(勤続30年の場合)にしかなりません。

残念ながら、個人事業者の場合、このお得な退職金の適用はありません。自分で自分に退職金を支払うという考え方が税法上ないからです。さらに、事業専従者として働いている奥様や子供にも退職金を支払うことは出来ません。

しかし、法人成りして会社を設立していれば、これが可能となります。法人から社員である自分や奥様や子供に対して退職金が支払われるという形になるからです。

* 法人成りすることのデメリット:

それは業種や従業員数に関わらず、労働保険(労災保険・雇用保険)や社会保険(健康保険・厚生年金保険)の強制適用事業となり、保険関係成立届の提出などの面倒な手続きや経費がかさみます。

日経記事2015/06/03「貴族になりたい 放棄地でも評価額134分の1」税金考2 に対するコメントをいたします。(クリックすると当該記事が読めます)

この記事では、全国40万ヘクタールと滋賀県の面積に匹敵する耕作放棄地があると指摘しています。耕作放棄している農家の多くは、「じいちゃん、ばあちゃん、かあちゃん」による三ちゃん農業の農家であったと思われます。放置しておく理由は、農地としての地目で登録されていれば、たとえ耕作放棄地であっても「固定資産税が安いから」です。耕作放棄地の所有者の多くは高齢者であると想定されます。彼等は、土地はいつか値上がりするという信仰に近い考えを持っていると思われます。バブルの時の狂騒時価の高騰が忘れられないのかもしれないです。

しかし、少子高齢化社会では、一部の地域を除いて土地の値上がりは見込めません。耕作放棄地の内、他の使途に転用可能な土地は僅かです。特に都市部以外の耕作放棄地をただ所有することは、たとえ税金が安くても自分の首を絞めているような行為です。このような耕作放棄地の未来は、生産性の高い農業と共生することにあると考えます。生産性の高い農業を目指すのであれば、人、物、カネが必要です。特に遺伝子組み換えをしていない交配種(F1種子)の確保がなくては、土地があっても生産性の高い農業を営むことは出来ません。

人、物、カネを確保するための解決策は、法人形態の農業にあると思います。

山梨県のHP http://www.pref.yamanashi.jp/index.html から法人形態の農業の例を引用します。

1. 北杜農場(参入した企業:イオンアグリ創造株式会社)

「耕作放棄地を活用した企業の農業参入推進事業(緊急雇用)」により、県農業振興公社が解消した耕作放棄地を借り受け。所在地:北杜市明野町小笠原

開場:平成25年4月

面積:13.8ha(約42,000坪)

作目:キャベツ、レタス、小松菜、等

就業人数:社員2名、現地雇用約20名

2. 山梨北杜生産センター(参入した企業:株式会社村上農園)

北杜市明野町上手(永井原生産団地)

...H18年より「県営畑地帯総合整備事業明野地区」にて、生産団地14.7haを一体的に整備。

所在地:北杜市明野町上手(永井原生産団地)

面積:敷地面積5.6ha(約17,000坪)

作目:水耕栽培の豆苗、スプラウトほか

就業人数:社員4名、現地雇用約50名

3. 有限会社アグリマインド(参入した企業:株式会社田丸)

カゴメが技術指導、販売提携を行ない、環境制御型温室で高品質多収のトマト生産を行なう。

所在地:北杜市明野町上手(永井原生産団地)

...H18年より「県営畑地帯総合整備事業明野地区」にて、生産団地14.7haを一体的に整備。

面積:敷地面積3.0ha(約9,000坪)

作目:水耕栽培の高品質多収トマト

就業人数:社員6名、現地雇用30~40名

昨年、山梨北杜生産センターと有限会社アグリマインドを訪問する機会がありました。広大な土地に、近代的設備を備えた農業にビックリしました。この広大な土地は、農業法人が所有するのではなく、農家から借り受けた土地です。農業法人は、借り受けた農地に近代的温室を建てて、高品質・高付加価値の農作物の生産をしています。

山梨北杜生産センターと有限会社アグリマインドのような農業の大規模化は、農地借り上げのために行政が汗をかくことと、やる気のある農業経営者にチャンスを与えることで可能となると考えます。その結果として耕作放棄地の減少にもなると考えます。

日経記事2015/06/01 【「賃上げ辞退します」税が惑わす日本のかたち】税金考(1) に対するコメントをいたします。(クリックすると当該記事が読めます)

この記事では、主婦の年収が103万円を超えると、配偶者控除が使えなくなるので賃上げを辞退する人が出てくることを取り上げています。そして、103万円の壁を意識して「扶養を外れると損をする」と信じている人も少なくありません。しかし、これは多くの主婦が受けられる配偶者特別控除の取扱いを無視した議論です。多くの場合、103万円は壁にはならず、103万円を超えて主婦が働くことで世帯収入が増えます。夫の合計所得が1000万円(年収約1231万円)を超えると、配偶者特別控除が受けられません。その場合は、103万円の壁の議論が当てはまります。

「マネーの達人」http://manetatsu.com/ 小谷晴美氏の記事から抜粋して引用します。

「103万円の壁」に対する誤解

 女性の就業を阻害する一因として配偶者控除の廃止が議論されていますが、103万円の壁については、次のような誤解も多いように思います。

103万円を超えると配偶者控除がなくなる!

 103万円を超えると38万円の配偶者控除がゼロになると思う人もいますが、それは誤解です。103万円以上~141万円未満の間は「配偶者特別控除」があり、控除額が段階的に引き下げられる仕組みになっています。ただし、控除を受ける人の合計所得が1000万円を超えると、配偶者特別控除は受けられません。

103万円を超えると税金が増えるから損!

 確かに、控除される金額が下がれば夫の所得税や住民税は増加します。また妻自身も新たに所得税や住民税を負担なくてはなりません。しかし「収入の増加>税金の増加」ならば、世帯の手取り額としてはプラスになります。

103万円が"壁にならない人"

夫の年収500万円、現在100万円のパート収入を得ているA子さんを例に、妻の収入の変化と世帯の手取りの変化を確認してみましょう。(※妻の所得控除は基礎控除のみと仮定)

ブログ税金考1.jpg

 妻の収入が103万円を超えて、104、110、120万円と増加するごとに夫と妻の税金も増えます。しかし、それ以上に収入増となっていますので、世帯としての手取額は増えています。

最近のコメント

アーカイブ

Powered by Movable Type 6.0.3