今回の検察庁法の改正案を考える

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村田守弘

今回の検察庁法の改正のポイントは次の通りです。

  1. 検察官の定年を63歳から65歳に延長すること。
  2. 検察官の役職定年を導入し、63歳を役職定年にしたこと
  3. 役職定年の例外措置!最大2年間延長65歳まで役職に留まれる
  4. 改正法案の施行日は2022年4月1日である

今回の定年延長の改正は、人生100年時代を考えると妥当な方向と考えます。しかし、上記3は内閣による人事権行使が可能になると推測されます。内閣が人事権を握れば、検察官は政治に配慮、忖度するようになります。検察の独立性の観点から3は大いに疑念が残ります。

今回の改正の過程で明らかになった次の問題点は、国家公務員法81条の3に定める国家公務員の勤務延長制度についてです。当初、国家公務員法81条の3に定める国家公務員の勤務延長制度は検察官には適用されないとの解釈答弁がなされていたにもかかわらず、唐突に森法務大臣は同条文の解釈変更をしました。私見ですが、本邦は安易に条文の解釈変更をします。この点は非常に由々しき問題と考えます。

森法務大臣の解釈変更によって、黒川検事長の定年延長を閣議決定しました。それによって黒川検事長を検事総長にする道が開けました。黒川検事長を知らないので、彼の資質云々を言うことはできないですが、安倍内閣主導による人事が、検事総長の独立性を脅かす懸念を大いに感じています。

検察庁法第14条を引用します。「法務大臣は、第四条及び第六条に規定する検察官の事務に関し、検察官を一般に指揮監督することができる。但し、個々の事件の取調又は処分については、検事総長のみを指揮することができる」つまり、検事総長は総理大臣をも逮捕できるのですから、総理大臣とは距離を置くことが出来る人物である必要があります。

日本国憲法は、国会(立法)、内閣(行政)、裁判所(司法)の三つの独立した機関が相互に抑制し合い、バランスを保つことにより、権力の濫用を防ぎ、国民の権利と自由を保障する「三権分立」の原則を定めています。今回の法改正の問題点を三権分立の観点から議論することには注意を要します。

検察庁は行政府に属するものであり、検察権は行政権の一つです。したがって、検察権と内閣の関係を、三権分立という観点から見ると間違った議論になりがちです。むしろ、行政府の中でも検察庁というのは特殊な組織であり、すでに述べたとおり、政治的な独立性を保たなければならない官庁です。したがって、その独立性が脅かされないかどうかが重要です。国家公務員法とは別に検察庁法が規定され、特別な規定が置かれているのはその独立性を担保するためと考えます。

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