0060私見争見の最近のブログ記事
戦後、貿易収支は常に黒字でしたが、3.11以降、赤字になり、今後貿易収支は赤字体質になる模様です。東日本大震災によりサプライチェーンが分断されたことにより自動車産業等の主要産業の輸出がストップしたことが貿易収支赤字の原因かと思いましたが、そうではないようです。日本企業の不断の努力により輸出は既に持ち直しております。問題は、輸入の増え方が異常に高いことが原因です。
“風が吹けば桶屋が儲かる”の類の連鎖的影響です。3.11、そして原発事故、原発から火力に発電はシフト、火力発電の燃料であるLNGの輸入量の増大、更にLNGの価格のアップ、LNGの輸入金額のアップ、その結果、貿易収支は赤字です。そして最近、イランがホルムズ海峡を封鎖するとの発言をしていることで原油価格が上がり始め、100ドルを超える水準となっています。そして中長期的には新興国の進展により世界的に資源需要が伸びる可能性が高いのです。資源高と原発問題によるLNGの輸入増によって、日本の貿易赤字の傾向が続くと言われています。
良いことは、所得収支(海外からの配当、利子所得等)が黒字なことです。所得収支が黒字ですから、貿易収支が赤字でも、両者を合わせるとネットで黒字だから問題ないが現状です。全体で黒字基調であれば、あと4年から5年間、国債の暴落は避けられるでしょう。国民の金融資産1,200兆円から国債残高1,000兆円を差し引いた200兆円があるため、国債の残高が毎年40兆円積み上がっても5年間は国内で消化できます。今、話題の製造業の国外移転は、長期的には所得収支の黒字増大に寄与します。その観点から考えると、所得収支は逓増していきます。しかし、企業が海外進出しても配当収入が増えるとは限らないのです。日本経済が成長しなかったら、企業が配当を日本に送るとは限らないのです。もっと成長が期待できる国に再投資しようとする可能性が高いのです。企業が自社のパフォーマンスをベストにしようと考えるなら当然の行為です。つまり、日本企業としてベストな選択をしたとしても、日本経済にとってベストな状況にならないという、合成の誤謬が起こるわけです。そのことは認識しておかなければなりません。日経を読むと、企業の業績は必ずしも悪くありません。しかし、日本のデフレ感は一向に改善されません。それは、当に合成の誤謬が起きているからです。日本企業の好決算は、国外移転した事業が貢献しているのであって、国内の事業が必ずしも貢献している訳ではないからです。
国内の事業が元気になる必要があります。国内の事業が元気になれば、多くの問題が解決できます。しかし、国内の事業を元気にするのは、企業ではありません。企業は、自社のパフォーマンスをベストにしよう行動しますから、日本がベストな環境であれば、日本に投資しますが、そうでなければドンドン海外に投資していきます。日本をベストな環境にするには、既存の事業を守ることより新しい事業を興すことが大事です。そのためには、政治の力に期待したいです。先ず、これから10年先を見据えたマスタープランの策定、そして、そのプランを遂行するためには既得権を排除することです。“コンクリート(既存の事業を守る)から人(新しい事業を興す)へ”とスローガンを掲げた政党があったはずですが、どうしたのでしょうね!?
国債の残高が1,000兆円を超え、GDPの2倍以上の水準になってきています。そして、平成23年度の予算案は、国債の発行額が税収を上回る異常な水準になっていて、改善ではなく改悪の状態です。日本人の金融資産1,200兆円があるから、「国債がいくら積み上がろうが、それを国内投資家が買うから、何の問題もない」との論理がまかり通っています。しかし、その余裕も200兆円、現状の歳出のままで4年から5年の余裕です。
もしかすると、国債暴落(日本経済の破綻)は突然やって来ます。
それはギリシャを発端とする金融危機が引き金になるのでなく、日本の事情によると考えます。その理由の 一つは、製造業の生産拠点が海外に移転することにあります。このため製品輸出が減少し、むしろ輸入が増大します。その結果、貿易収支は、いずれ赤字に転落しまいます。もう一つは、原油や食料品をはじめとする1次産品価格の世界的上昇です。世界人口の爆発的増大と、新興国経済の離陸が原因です。そうすると、1次産品価格の輸入価格は上昇します。そうすると、貿易収支の赤字は加速するものとなります。
貿易収支の赤字化が、資金の流れの逆転現象を始まります。貿易収支の赤字化が国債暴落のプロローグとなります。そして、特に注意を要する点は、一旦、金融市場が金利上昇にギアチェンジすると、債券価格の下落は想像出来ないスピードで進むことです。外資系証券会社が導入しているアルゴリズムに基づく売買システムの下では、1,000の1秒単位で取引がされるのです。10億円の債券の売買を1秒続ければ、1兆円という莫大な債券の売買が可能となるのです。日本の国債を暴落させるには、10分あれば十分でしょう。ですから、国債暴落は突然やって来ます。
8月19日に円が1ドル76円台と戦後最高値をつけました。この円高は、ヨーロッパの経済に不安が高まりドル売りが出た(カントリー・リスク)結果と考えます。このように円高が進むと、円高メリットを利用して海外で資産を活用すべきである、日本企業は海外雄飛を図るべきだという議論が幅を利かせてきます。しかし、この議論は、我が国最大の資産がヒトであり、円高で海外に生産拠点が移動するとヒトを生かす機会、雇用がなくなるという視点がないことが大問題であると考えます。むしろ外需を取り込むことで、輸出を増やし雇用機会を作りだすこと大事と考えます。
今のままのデフレ状態では、円高になるのは当然と言えます。雇用創造によるデフレ解消が異常な円高を是正する有効な手段と考えます。
補足コメント:円高になる要因は、1)日本の金利が高くなる(資金が金利の高い日本に流れ、そのため円買い・ドル売りが起きる)。2)デフレになり円の貨幣価値が上がる(購買力平価)。3)輸出が輸入に対して相対的に増えた場合、ドル債権を売って円に換える必要が生じる。4)政府が為替市場に介入する。5)ヨーロッパの経済に不安が高まりドル売りが出る(カントリー・リスク)等です。今の円高の主要要因は上記(5)であると思います。しかし、円高処方箋は、上記(2)にあると考えます。デフレを解消することが円安に通じるのです。(2)の購買力平価説の基本は、A国とB国の間で物やお金の流れが完全に自由なら、同じ商品は同じ価格となるように、為替レートは調整されるはずだという考え方です。例えば、マクドナルドは世界各国に出店し、均質な商品を供給しています。この考え方に従えば、ビッグマックの値段が米国で2ドル、日本で160円とすれば、為替レートは1ドル=80円が適性レートということになります。この例で、ビッグマックの価格が、日本で180円に値上がりすると、2ドル=180円から導かれる為替レートは90円です。デフレの解消は、円安の効果を持ちます。
新聞を読んでいると、経済学で言う「合成の誤謬」の議論がなされているように感じます。合成の誤謬の議論とは、その部分において正しいものをそれぞれ集めたら、その集めた結果も正しくなるという誤った議論を言います。
私が気になる「合成の誤謬」の議論をひと言で表せば、【日本企業の業績が良くなれば、雇用が改善される】です。自動車産業を例にとれば、トヨタ、日産、鈴木自動車の決算は非常の好調です。これら自動車会社の業績が良ければ、日本はデフレ脱却して、雇用が改善すると考えます。この考えは至極当然に見えますが、大きな間違いを犯しているようです。
企業の活動は、日本だけに限られません。例えば、日産は中国で、鈴木自動車はインドで売上を伸ばし、その地域での売上がもたらす利益が好決算に貢献しています。そして、中国・インドで売れている車が日本で作られ、輸出されたものであるなら【日本企業の業績が良くなれば、雇用が改善される】は正しいです。合成の誤謬が起こりません。では、今は何故、合成の誤謬が起こるのでしょうか?
付加価値を計る目安として、人件費と減価償却費があります。
中国・インドで売れている車が日本で作られたものであるなら、車に含まれる付加価値は、日本で発生します。つまり、景気は回復し、雇用は改善されるのです。しかし、中国・インドで売れている車は、それぞれの国で作られたらどうなるのでしょう!車に含まれる付加価値は、それぞれの国で発生し、日本では発生していません。現実は、後者なのです。自動車産業は好決算でも、その利益の源泉である付加価値は、日本で発生していないのです。
企業の成長戦略が海外シフトにあるならば、それは、日本のGDP増加に必ずしも寄与しません。むしろ、企業の成長戦略と日本のGDP増加は、相容れない関係になってきています。元気ある企業は、生産を海外シフトするなりして、生きる道を見つけます。問題は、日本全体の成長戦略です。
経済を知らない政治家と「合成の誤謬」を指摘しないマスコミから日本の成長戦略が生まれて来るか大いに疑問です。私見ですが、日本の生きる道は、今も昔も輸出の拡大です。特に物の輸出に加えてサービスの輸出が大事です。しかし、現状、サービスの輸出は微々たるものです。日本の成長戦略にひとつは、サービスの輸出ができるようすることと考えます。
平成23年度税制改正大綱に「Pay As You Go」と言う言葉が頻繁に出てきます。歳入の要である税制のあり方に「Pay As You Go」という英語が出てくること自体問題です。馴染みのない英語のため、平成23年度税制改正大綱を読んだ多くの人が、民主党政権の予算策定方針がよく理解できないのではないかと懸念します。
「Pay As You Go」とは、一般的に、年金会計で使用している概念で、年金の場合、年金給付に要する費用を事前に積立てず、給付の支払いの都度、その費用を加入員からの掛金で賄う方式で、積立金の保有はない方式を良います。話が本題と逸れますが、戦後の多子若年社会では、年金の負担者より受給者の数が少ないので、若者の負担が少なくて済みますが、少子高齢化社会では、年金の負担者より受給者の数が増加するので若者の負担が激増します。
本題に戻ります。平成23年度税制改正大綱を読んで、民主党は、本質を見誤っているとの感を強くしました。税制改正大綱でのPay As You Goは、義務的経費の歳出を伴う法案や修正案を提案する場合には、その財源を別の歳出削減か、増税で補填するというものです。具体的には、法人税を5%減税して欲しいという経済界の要求を受け入れると、その財源として減価償却費の損金算入出来る金額を制限することで辻褄を合わせるがPay As You Goの意味となります。それでは、減税の効果を帳消しにしてしまいます。
もっと大事なことは、日本の財政状態の現状認識が全く反映されていないことです。Pay As You Goの帳尻合わせでは財政再建はできません。「消費税を上げない政治」を是とするメッセージを流す万年野党の犯した罪と、それを持ち上げるメディアの罪は万死に値すると考えます。しかし、このままでの行き着くところは、市民であることを忘れた日本国民の不幸です。

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