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2008年4月11日

リース取引

租税法解釈 リースに関わる法人税法上の取扱いを説明しています。

 

リース取引は法的には資産の賃貸借であるから、賃貸人は収受するリース料を益金の額に算入します。一方、賃借人は支払うリース料は損金の核に算入されます。これがリース料の税務上の処理の原則です。

しかし、法形式上はリースの形態を採りながらも、その経済的実態において売買取引あるいは金融取引と同等のものがあります。経済的実態において売買取引のリースを通常のリース取引と扱うと課税の繰延べを認めることとなり、課税上の弊害が生じます。そこで法人税では、賃貸借(リース)という法形式に係らず、その経済的実態において売買取引あるいは金融取引と同等のものは、リース資産の売買あるいは金銭の貸付があったものとして扱います(法令136の3)。これは租税法総論での実質課税の原則の表れと解します。

税法上のリース取引は次の要件を満たすものです。

       当該賃貸借に係る契約が、賃貸借期間の中途においてその解除をすることができないものであること又はこれに準ずるものであること。

       当該賃貸借に係る賃借人が当該賃貸借に係る資産からもたらされる経済的な利益を実質的に享受することができ、かつ、当該資産の使用に伴って生ずる費用を実質的に負担すべきこととされているものであること。

 

法人が行ったリース取引のうち、次のいずれかに該当するもの又はこれらに準ずるものであるときは、リース資産の売買があったものとして課税所得の計算を行います。

       リース期間終了の時又はリース期間の中途において、リース資産が無償又は名目的な対価の額で当該賃借人に譲渡されるものであること。

       当該賃借人に対し、リース期間終了の時又はリース期間の中途においてリース資産を著しく有利な価額で買い取る権利が与えられているものであること。

       リース資産の種類、用途、設置の状況等に照らし、リース資産がその使用可能期間中当該賃借人によってのみ使用されると見込まれるものであること又はリース資産の識別が困難であると認められるものであること。

       リース期間が当該リース資産の耐用年数に比して相当の差異があるものであること。

セール・アンド・リースバックの取引(法人が譲受人から譲渡人に対する賃貸を条件に資産の売買を行った場合)において、当該資産の種類、当該売買及び賃貸に至るまでの事情その他の状況に照らし、これら一連の取引が実質的に金銭の貸借であると認められるときは、当該資産の売買はなかったものとし、かつ、当該譲受人から当該譲渡人に対する金銭の貸付けがあつたものとして、その内国法人の各事業年度の所得の金額を計算します。

2008年4月 4日

減価償却

租税法解釈 減価償却法人税法上の取扱いを説明しています。

 

減価償却とは、建物、機械装置、器具備品などが事業の用に供されたことによる価値の減少額を一定の償却方法により見積ったものです。その価値の減少は収益を獲得するために要した費用ですから、損金の額に算入されます。

建物、機械装置、器具備品などの価値の減価を客観的に計量化することはほとんど不可能です。そこでそのような資産の取得価格を基礎に、その資産の耐用年数にわたり一定の償却方法により算定することとなります。減価償却は見積もり計算ですから、法人の恣意が介入することは避けられません。そこで法人税法では減価償却資産の範囲(法2二十三)を確定した上で、償却方法、耐用年数および残存価格を詳細に定めています。ただし、事業の用に供していない資産はたとえ減価償却資産の範囲に含まれていても減価償却は出来ません。

 

該当する条文を下記に引用いたします。

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2008年3月28日

有価証券の譲渡益、譲渡損

租税法解釈 有価証券を譲渡したことによる損益の法人税法上の取扱いを説明しています。

 

有価証券を譲渡したことによる損益は、課税所得の計算上、益金または損金の額に算入されます。更に期末に所有する売買目的の有価証券は、期末に時価評価を行い、その評価損益も課税所得に含まれます。実現した損益だけでなく未実現の評価損益も課税対象となる取扱いは他の資産と異なっています。有価証券は、デリバティブ取引等を通じた利益操作の道具になるため、租税回避を防止するという趣旨から時価評価が導入されています。

 

法人税法上、有価証券とは金融商品取引法第2条第1項に規定する有価証券その他これに準ずるものを言います(2二十一)。有価証券の譲渡とは株式市場で売却されたものに限らず、有価証券の移転や消滅も有価証券の譲渡に含まれます。下記の如く有価証券の区分変更の事実が生じた場合には、その時点において有価証券は時価にて譲渡されたものと看做されます。

    売買目的有価証券が企業支配株式(20%以上の持株)に該当することとなったこと、または法人が短期売買業務のすべてを廃止した時

    企業支配株式が企業支配株式に該当しなくなった時

    法令に従って新たにその他有価証券を短期売買業務に使用することになった時、またはその他有価証券が企業支配株式に該当することとなった時

 

有価証券の評価方法は区分に応じて定められています。売買目的有価証券は時価、売買目的以外の有価証券は原価法または償却原価法(帳簿価格に一定の調整を加える方法)によることとされています。

 

該当する条文を下記に引用いたします。

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2008年3月14日

移転価格税制

 税理士新聞(35日号と315日号)に私の記事「移転価格税制 参考事例集を解読する」が掲載されました。

税理士新聞に私の記事「移転価格税制 参考事例集を解読する」が掲載されました。この記事は移転価格に対してある程度の知識は持っているが、移転価格税制の最近の動向に明るくない方を対象にして書かれたものです。

2008年3月 7日

圧縮記帳

租税法解釈 圧縮記帳に関わる法人税法上の取扱いを説明しています。

 

補助金を受けて研究開発用機械を購入した時、当該補助金が益金として課税されると、課税された法人税の分だけ研究開発用機械の取得が出来なくなります。それだけ補助金の目的が阻害されます。そこで一定の要件を満たすものについては、該当する取引の発生時に課税せず、課税を繰延べる制度が設けられています。これを圧縮記帳と呼びます。

 

税務上、圧縮記帳を受けた固定資産の取得価格は、圧縮記帳後の価額とされます。従って、圧縮記帳を受けた固定資産の減価償却や譲渡損益は圧縮記帳後の価額を基礎にして計算されます。それゆえ、圧縮記帳の要件を満たさないで取得した固定資産の減価償却費に比べて圧縮記帳の部分の減価償却費が少なくなります。圧縮記帳を受けた固定資産の減価償却費が少ないことは損金算入される費用が少ないことを意味します。このことより圧縮記帳は免税措置ではなく、課税の繰延べ措置です。圧縮記帳できる資産を類型化すると贈与型(補助金)交換型(交換による資産の取得)売買型(特定資産の買換え)に分類されます。

 

圧縮記帳できる資産は、法人税法の規定(法4250)による国庫補助金等で取得した固定資産等によるものと、租税特別措置法の規定(措法6136464265657156610674)による収用等に伴い代替資産を取得した場合によるものがあります。

 

該当する条文を下記に引用いたします。

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2008年2月29日

役員賞与

租税法解釈 役員に支給する報酬、賞与、退職給与に関わる法人税法上の取扱いを説明しています。

 

法人が役員や使用人としての職務を有する役員に支給する報酬、賞与、退職給与は、企業会計上、費用処理されますが、法人税上、これらの給与は無条件で損金になりません。

 

役員および使用人としての職務を有する役員に対する給与は、次に掲げる給与は損金の額に算入できますが、そのいずれにも該当しない給与は、損金の額に算入できません(34)

l         定期同額給与(その支給時期が1か月以下の一定の期間ごとである給与(定期給与)で、その事業年度の各支給時期における支給額が同額である給与)。但し、不相当に高額な部分の金額は、損金の額に算入しない。

l         事前確定届出給与(その役員の職務につき所定の時期に確定額を支給する旨の定めに基づいて支給する給与)。但し、不相当に高額な部分の金額は、損金の額に算入しない。

l         一定の利益連動給与(同族会社以外の法人が業務を執行する役員に対して支給するプロフィット・シェアリングのような利益連動型給与)。但し、不相当に高額な部分の金額は、損金の額に算入しない。

l         退職給与。但し、不相当に高額な部分の金額は、損金の額に算入しない。

 

通常、役員は法人の取締役、執行役、監査役等会社法で定めた法定の役員を言います。しかし、法人税法上の役員には、法定の役員でなくても実質的な経営者についても租税回避を防止する目的から役員に含まれます。使用人としての職務を有する役員とは、役員のうち、部長、課長その他法人の使用人としての職制上の地位を有し、かつ、常時使用人としての職務に従事するものを言います。

上記一定の利益連動給与は、次の(1)から(3)までのすべての要件を満たす必要があります。

(1)  その算定方法が、有価証券報告書に記載されるその事業年度の利益に関する指標を基礎とした客観的なもので、次の要件を満たすものであること。

イ  確定額を限度としているものであり、かつ、他の業務を執行する役員に対して支給する利益連動給与に係る算定方法と同様のものであること。

ロ  その事業年度開始の日の属する会計期間開始の日から3か月を経過する日までに一定の報酬委員会が決定していることその他これに準ずる一定の適正な手続きを経ていること。

ハ  その内容が上記ロの決定又は手続き終了の日以後遅滞なく有価証券報告書に記載されていることその他一定の方法により開示されていること。

(2)  有価証券報告書に記載されるその事業年度の利益に関する指標の数値が確定した後1か月以内に支払われ、又は支払われる見込みであること。

(3)  損金経理をしていること。

該当する条文を下記に引用いたします。

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2008年2月22日

引当金

租税法解説 引当金に関わる法人税法上の取扱いを説明しています。

 

将来の特定の費用又は損失であって、その発生が当期以前の事象に起因し、発生の可能性が高く、かつ、その金額を合理的に見積ることができる場合に、当期の負担に属する金額を見積もり計上したものが引当金です。会計上、貸倒引当金、返品調整引当金、賞与引当金、退職給与引当金、特別修繕引当金、製品保証等引当金のような引当金が計上さています。公正妥当な会計処理の基準からも引当金の計上は求められます。

しかし、法人税の課税所得の計算上、課税の公平性、明瞭性の観点から損金の額に算入される費用の額は、別段の定めのない限り、期末に債務の確定しているものに限られます(法22③)法人税法上、別段の定めとして設定が認められている引当金は、貸倒引当金返品調整引当金のふたつです(法52、法53)。

引当金に関わる条文を下記に引用いたします。

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2008年2月 8日

海外子会社も含めた税務管理の重要性

租税法解釈―グローバルに事業を展開している企業にして興味ある記事がありました。今回はその記事をご紹介します。この記事はKPMG税理士法人、大阪事務所の妹尾日出志さんと西川浩史さんが執筆したものです。

 

あずさ監査法人が主にクライアントに配布している小冊子「AZ Insight」(2008 January)に『海外子会社も含めた税務管理の重要性』という記事が載っていました。この記事は、グローバルに事業を展開している企業が注意すべき種々の税務上の留意点を鳥瞰図的に取り上げています。当該記事はこの箇所をクリックすることで読むことが出来ます。

私見ですが、外国税額控除の有効利用に関心ある方には有用な記事と解します。この記事は、税法の解説でないため国外源泉所得の定義とか外国税の定義の説明はしていませんが、外国税額控除を最大限有効に利用するための留意事項を説明しています。外国税額控除の有効利用の道標が示されています。

 

2007年12月21日

繰越欠損金

租税法解釈ー繰越欠損金に関わる法人税法上の取扱いを説明しています。

 

事業は常に利益が生じるものではありません。その事業の運営如何によっては、赤字になることもあります。そのような状況の中、単年度の利益に対して課税するという所得課税の原則を貫くと税負担が加重になります。そのような弊害を排除する目的として法人税では、欠損金額の繰越控除が認められています。つまり、確定申告書を提出する内国法人の各事業年度開始の日前7年以内に開始した事業年度において生じた欠損金額がある場合、当該欠損金額に相当する金額は、当該各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入できます(法57①)。
欠損金額の繰越控除の要件は以下の三つです。

     各事業年度開始の日前7年以内に開始した税務上の欠損金であること。

     青色申告書を提出した事業年度の時に生じた欠損金であること。

     毎期継続的に連続して確定申告書を提出していること。

上記要件で留意を要する点は、税務上の欠損金が繰越控除の対象となる欠損金です。会計上の当期純損失と税務上の欠損金は多くの場合異なります。

 

税務調査で法人が帳簿整備・運用状況が不備との理由で青色申告を取り消された場合、当該法人は白色申告法人となります。そうなると欠損金額の繰越控除の要件を満たさなくなり、欠損金額の繰越控除が出来なくなります。

次に、欠損金を抱えている法人を買収する方法で租税回避をする行為を規制するため、一定の繰越欠損金の控除が出来なくなること、および一定の資産の譲渡損失は損金不算入となります(法57②)

 

欠損金の繰越控除に関わる条文を下記に引用いたします。

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2007年9月28日

ヘッジ取引の損益

租税法解説ーヘッジ取引の説明とその損益に関わる法人税法上の取扱いを説明しています。

 企業は事業活動を行っていくうえで、将来生じる恐れのある損に対して適正なリスク・ヘッジをする必要があります。ヘッジ取引の古典的例示が判りやすいと思います。トウモロコシの生産者が1ブッシェルあたり最低$5で売れば採算がとれますが、売値がそれ以下になると採算が成り立たない時、種蒔き時のトウモロコシの価格が1ブッシェルあたり$7であった場合、トウモロコシの生産者は先物取引でトウモロコシを売り、収穫時に売り契約を手仕舞いします。もし、収穫時の時価が$4であった場合、トウモロコシの生産者は、$4でトウモロコシを売却しますが、売り契約を手仕舞いした結果、$3の利益が出ます。結果として、自分の生産したトウモロコシは$7で売れたと同じ結果となります。この例では、先物取引で行った1ブッシェルあたり$7の売り契約がヘッジ取引となります。

 デリバティブ取引の損益は時価評価して、評価損益は益金あるいは損金に計上することが求められていますが、現物資産の取引が行われる前に、決算期がきてデリバティブ取引の損益だけが益金あるいは損金に計上されるとヘッジの意味を成さなくなります。この問題の対応を会計および税務で考えています。

ヘッジ会計

デリバティブ取引の多くはその性質から、ヘッジ手段として利用されます。従って、ヘッジ手段として利用されるデリバティブ取引について、時価評価される一方、ヘッジ対象である現物資産について原価評価されることによる損益の計上時期のミスマッチを補正する等のために、以下で述べるヘッジ会計が認められることになりました(金融商品会計基準第五)。

(1)ヘッジ取引の意義

ヘッジとは、有価証券、外貨建借入金など現物資産・負債が抱える価格・金利・為替の変動リスクを、デリバティブ取引等を使って、回避・軽減することです。ヘッジには、相場変動リスクをヘッジする取引と、金利変動リスクに対しキャッシュ・フローを固定するヘッジ取引があります。

ヘッジの対象となる、リスクにさらされている現物資産・負債のことをヘッジ対象といい、ヘッジの際に用いるデリバティブ取引をヘッジ手段といいます。

(2)ヘッジ会計の意義

ヘッジ会計とは、ヘッジ取引のうち一定の要件を満たすものについて、ヘッジ対象に係る損益とヘッジ手段に係る損益を同一の会計期間に認識し、ヘッジの効果を会計に反映させるための特殊な会計処理をいいます。

(3)ヘッジ会計の方法

ヘッジ会計の方法には以下の二つの方法があります。

繰延ヘッジ

原則的な方法

時価評価されているヘッジ手段に係る損益または評価差額を、ヘッジ対象に係る損益が認識されるまで資産または負債として繰り延べる方法

時価ヘッジ

例外的な方法

ヘッジ対象である資産又は負債に係る相場変動等を損益に反映させることによって、その損益とヘッジ手段に係る損益とを同一の会計期間に認識する方法(時価ヘッジは、ヘッジ対象の時価評価が可能な場合にのみ採用可能)(*1)

(*1)現時点では時価ヘッジ会計は、その他有価証券をヘッジ対象とする場合以外は認められていない。なお、ヘッジ対象たるその他有価証券の時価変動要因のうち特定のリスク要素(金利・為替・信用等)のみをヘッジの目的としているときは、そのリスク要素の変動に係る時価の変動額を当期の損益として計上し、それ以外の部分は資本直入をする(実務指針160、185)。

(4)ヘッジ会計の要件

ヘッジ会計は、ヘッジ取引全てに適用されるわけではなく、以下のような要件を充足する場合に適用されます。

  1. ヘッジ取引開始時にヘッジ取引が企業のリスク管理方針に従ったものであることが客観的に認められること

   i) 当該取引が企業のリスク管理方針に従ったものであることが、文書により確認できること

   ii) 企業のリスク管理方針に関して明確な内部規定及び内部統制組織が存在し、当該取引がこれに従って処理されることが期待されること

  2. ヘッジ取引開始時以降において、ヘッジ対象とヘッジ手段の損益が高い程度で相殺される状態またはヘッジ対象のキャッシュ・フローが固定され、その変動が回避される状態が引き続き認められることによって、ヘッジ手段の効果が定期的に確認されていること

税務上の取扱い

ヘッジ会計を適用している場合、繰延ヘッジ・時価ヘッジともに、会計と税務で取扱いに大きな相違はありません。留意すべき点は、上記(4)ヘッジ会計の要件の有効性の判定です。とかくヘッジ取引と言いながら、実際はデリバティブ取引による投機である場合が間々あります。そのような擬似ヘッジ取引は認められません。

デリバティブ取引による損益と現物取引での決済差額との割合がおおむね80%から125%の間にある場合は、ヘッジ対象とヘッジ手段の損益が高い程度で相殺される状態にあると看做されます。


ヘッジ取引の損益に関わる条文を下記に引用いたします。

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2007年9月21日

デリバティブ取引の損益

租税法解説ーデリバティブ取引の説明とその損益に関わる法人税法上の取扱いを説明しています。

(1)デリバティブ取引の定義

デリバティブ(金融派生商品)とは、債券、株式、為替などの現物金融商品のリスクをコントロールするために、現物金融商品を基本として派生していった金融商品のことで、具体的に以下のような取引が該当します。

取引種類 原資産 取引内容 取引市場
先物取引 将来の一定時点で、特定の商品を約定価格で売買することを約束する契約 金利、通貨、株式 債券、現物商品 取引所取引
先渡取引 将来の一定時点で、通貨又は金利や為替相場に基づいて計算される金銭を、約定した金額で授受する契約 金利、通貨、株式、債券 相対取引
オプション取引 将来の一定時点で、現時点で契約した価格で原資産を購入あるいは売却する権利  金利、通貨、株式、債券

相対取引

取引所取引

スワップ取引 将来のある時点で、異なる金利あるいは異種通貨建のキャッシュ・フローをあらかじめ定めた方法に基づき、契約当時者間で交換する取引 金利、通貨 相対取引

 

(2)会計処理

従来、デリバティブの処理については、包括的な会計基準がなく実務慣行として決済基準(実現主義)が採用されてきました。しかし、決済基準のもとでは、決済されるまでデリバティブの損益が財務諸表に反映されないことになるため、企業が保有するデリバティブ取引に係る契約の内期末日までに利益の出ている方だけを決済させる方法によって利益操作が可能でした。金融商品会計では、デリバティブ取引により生じる正味の債権・債務は、原則として時価をもって貸借対照表価額とする事とされました。また、デリバティブ取引の評価差額は、全て当期の損益として処理します。

(3)税務上の取扱い

会計上デリバティブ取引が時価評価されることに合わせて、法人税法上でもデリバティブの評価損益を益金または損金の額に算入するという取扱いになりました(法人税法第61条の5)。


デリバティブ取引の損益に関わる条文を下記に引用いたします。

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2007年9月 7日

外貨建取引の換算差益・差損

租税法解釈ー外貨建取引の換算差益・差損に関わる法人税法上の取扱いを説明しています。

外貨建取引を行った時に記帳する取引金額は、その外貨取引を行った時における為替相場により換算した金額に依ります。使用する為替相場はその取引日におけるTTM(電信中値相場)に依ります。しかし、外国通貨で表示されていても、支払いが円貨で行われることとなっている取引は外貨建取引に該当いたしません。

為替相場は日々変化していますので、外貨建取引は決算時に付する為替相場の評価が重要な問題となってきます。外貨建取引の換算方法として期末時換算法(期末に為替差損益の計上が強制される方法)と、発生時換算法(期末の換算換えは行わない方法)があります。

資産・負債の種類

所有目的 その他の留意事項 換算方法
外貨建債権・債務 短期 発生時換算法または期末時換算法
外貨建債権・債務 長期 発生時換算法または期末時換算法
外貨建有価証券 売買目的 期末時換算法
外貨建有価証券 売買目的以外 償還有価証券 発生時換算法または期末時換算法
外貨建有価証券 売買目的以外 上記以外のもの 発生時換算法
外貨預金 短期 発生時換算法または期末時換算法
外貨預金 長期 発生時換算法または期末時換算法
外国通貨 期末時換算法

 

 外貨建取引の換算方法の選定は、通常、確定申告書の提出期限までに届出が必要となりますが、当該届出をしない場合、次の方法によることになります。法人がその選定をしなかった場合は、選択適用が可能な上記外貨建取引の内所有目的が短期に分類される外貨建取引は期末時換算法、その他の外貨建取引は発生時換算法に依り換算することが求められます。これを法定換算方法と呼びます。

蛇足ながら、発生時換算法で換算していても、取引時為替相場と決済時為替相場の差から換算差損益は生じます。期末時換算法によれば、毎期、換算差損益は発生しますが、発生時換算法の場合、換算差損益は決済時に発生します。換算差損益は、当然損金又は益金として課税所得に反映されます。 

外貨建債権債務の換算に関わる条文を下記に引用いたします。

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2007年8月24日

資産の評価損

租税法解説ー資産の評価損に関わる法人税法上の取扱いを説明しています。

会社法では、費用の認識は発生主義によって測定することが義務付けられています。その一例として、会社計算規則第5条(計5)第3項を引用します。同項では次の取扱いを求めています。事業年度の末日における時価がその時の取得原価より著しく低い資産は、事業年度の末日における時価を付すること、事業年度の末日において予測することができない減損が生じた資産又は減損損失を認識すべき資産 その時の取得原価から相当の減額をした額を付することを求めています。

しかし、法人税法は、実現した収益および損失のみ、益金および損金に算入することを基本としていますので、未実現の損失(つまり、発生主義に基づく資産の評価損)は損金の額に算入されません(法33)。

上述の如く資産の評価換えによる損失は、基本的に損金に算入しないこととされていますが、評価換えによる損失を評価換えをした事業年度に損金に算入できる例外の取扱いがあります。それら例外は次の通りです。災害による著しい損傷によって、会社の資産の価値が帳簿価額を下回ることになったことによる評価換え、会社更生法による更生計画認可の決定によりこれらの法律の規定に従って行なわれる評価換え、民事再生法による再生計画認可の決定によりこれらの法律の規定に従って行なわれる評価換えを実施して、その帳簿価額を減額した場合、減額した金額が損金に算入されます。また、今日の企業会計は時価主義も一部取り入れる方向になりつつあります。この流れを汲んで、短期売買商品の時価評価損益(法61)および売買目的有価証券の評価損(法61の3)は損金に算入されます。

資産の評価損に関して、税務と会計の間で著しい彼我の差が生じる分野があります。それは減損会計の分野です。減損処理を求められる多く事例において、上記例外規定に当てはまらないとして損金算入が否定されています。しかし、著しい彼我の差は、決算書を読む人々(株主、従業員、税務当局等々の利害関係者)を混乱させるだけです。法人税法上、公正妥当な会計処理の基準を規定しています。その条文が法22④です。当該条文を引用します。 法22④「第二項に規定する当該事業年度の収益の額及び前項各号に掲げる額は、一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従つて計算されるものとする。」

資産の評価損に関して、公正妥当な会計処理の基準(法22)に基づく判断が必要と解します。

資産の評価損に関わる条文を下記に引用いたします。

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2007年8月10日

資産の評価益

租税法解説ー資産の評価益に関わる法人税法上の取扱いを説明しています。

企業会計は取得原価主義を基本とし、収益の認識は実現主義によって、費用の認識は発生主義によって測定されています。企業が生み出す利益は、第三者との取引が実現した時を拠り所にして算定されます。ですから、資産の評価替えによる増加分を利益として認識することは原則としてありません。法人税法においても、原則として資産の評価換えによる利益は益金に算入いたしません(法25)。しかし、今日の企業会計が取得原価主義一本やりから時価主義も一部取り入れる方向になりつつあります。この流れを汲んで、短期売買商品の時価評価損益(法61)および売買目的有価証券の評価益(法61の3)は益金に算入されるます。

上述の如く資産の評価換えによる利益は、基本的に益金に算入しないこととされていますが、評価換えによる利益を評価換えをした事業年度に益金に算入できる例外の取扱いがあります。それら例外は次の通りです。会社更生法による更生計画認可の決定によりこれらの法律の規定に従って行なわれる評価換え、民事再生法による再生計画認可の決定によりこれらの法律の規定に従って行なわれる評価換え、法人の組織の変更に伴う評価換えを実施して、その帳簿価額を増額した場合、増額した金額が益金に算入されます。

資産の評価益に関わる条文を下記に引用いたします。

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2007年7月13日

移転価格事務運営指針(改訂版)の公示

租税法解説ー国税庁は移転価格の事務運営指針の草案を平成19年4月13日に公開し、その草案に対して意見公募(パブリックコメント)を実施し、その意見募集の結果を6月25日に公示いたしました。

意見募集の結果は、「国税庁の見解」(クリックして下さい)としてまとめられています。意見公募に対して17通の意見が寄せられ、その寄せられた意見に対して国税庁の見解が示されたことは、税務執行の透明性を高める観点から評価すべきものと考えます。

私が講師を務める7月23日の租研でのセミナーでは、国税庁の見解に対する評価と、税務執行上の懸念を議論しようと考えています。

上記移転価格の事務運営指針の草案に対するブログ記事(私見争見ー5月11日)も参照してください。

 

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2007年7月 6日

配当控除(所得税)

租税法解説ー受取配当金の所得税法上の取扱いを説明しています。

個人が内国法人から配当を受けた場合、一定金額を税額控除として認める制度が配当控除です。個人が受け取った配当は、内国法人が税引き後の利益がその配当の源泉になっています。その配当が個人のレベルで更に課税されると同一所得に対して二回課税されるという二重課税が発生します。二重課税を排除するひとつの方法として税額控除があります。法人擬制説(法人は、それ自体