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2007年11月30日

21世紀の税制改革ー我々は近視眼的過ぎないか!総集編

21世紀の税制改革

 

あるべき税制を観念的に議論しても有効な解決の糸口は見えないと考え、出来るだけ客観的データに基づいてあるべき税制を5回連載で検討しました。本テーマのブログ記事を一括してPDFにまとめました。ご利用いただければ幸いです。

2007年11月16日

21世紀の税制改革ー我々は近視眼的過ぎないか!その5(まとめ)

21世紀の税制改革 - あるべき税制を観念的に議論しても有効な解決の糸口は見えないと考え、出来るだけ客観的データに基づいてあるべき税制を検討します。本テーマのブログ記事5回目(まとめ)です。

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左記の表では、国債の残高の推移を折れ線グラフで示しています。平成19年度末(見込み)の残高は普通国債が547兆円、財政融資資金特別会計国債が143.2兆円あります。つまり、国債の残高は合計690.2兆円です。その他にも国の借入金等が202兆円あまりあります。その結果、国債・借入金残高は892.2兆円と天文学的数値です。

平成15年の国債の残高は、普通国債が457兆円、財政融資資金特別会計国債が91.7兆円です。その時点での国債・借入金残高は703兆円でした。僅か4年間で200兆円近くも国の借金が増えています。穴の空いた桶状態です。棒グラフは、一般会計と特別会計の歳出の推移を示しています。一般会計の歳出の半分以上が特別会計に振り替えられています。その結果、毎年200兆円近い金額が特別会計の歳出となっています。

特別会計というブラックボックスに200兆円という多額の金額が流れ込み、国民の知らないところで費やされています。特別会計を運営する事業が如何に杜撰に営まれているかに関して記述した記事(川本裕子氏による「経済を見る眼」週刊東洋経済20071110日号)を引用させてもらいます。「・・・社会保険は官の事業の現場だが、そこには社会主義的な非効率や無責任が蔓延し、国民の大事な資産を預かり管理するという緊張感が感じられなかった。・・・職員団体の関心は自らの待遇改善に偏り、内向きで規律の緩んだ職場を作り上げた。・・・情報開示の徹底による透明性と、現代的なマネジメントの導入による説明責任の強化が今後の改革の柱だ。」

また、1115日本経済新聞社説「歳出改革を無視した道路財源の温存案」を下記に添付します。この社説を読むと、特別会計というブラックボックスが一人歩きしていることが分かります。

最近よく言われているプライマリバランスとは、国の借金が増えない状態を言います。平成19年度の一般会計の公債発行額は25.4兆円です。つまり、税収が4兆円前後増えれば、それは歳入増となるため、公債発行額を4兆円減らすことが出来ます。その結果、公債発行額21兆円で済みます。そうすると国債費21兆円とバランスがとれ国の借金増加にストップがかかります。景気回復により税収が平成14年以降増えています。この好景気が数年続けば税収の増加によりプライマリバランスは達成できます。しかし、690.2兆円の国債の残高は減りません。

そこで注意すべき点は、プライマリバランスの議論を少子高齢化と若年層の格差問題と混同すべきでないことです。プライマリバランスは財政再建の道標に過ぎません。財政再建は、特別会計から無駄をなくすことで可能になると思料いたします。しかし、少子高齢化と若年層の格差問題は、現状の人口構成、所得構成がドラスティックに変更する事態における急激な歳出の増加をもたらします。先ず、財政再建について検討いたします。OECD21カ国のデータを分析した結果、財政再建は増税ではなく、歳出削減および税の自然増が効果的であることを実証的分析が証明しています。国民は直感的に歳出削減の余地が未だあるのではないかと考えています。そのためには連結ベース予算編成をすることが大事と考えます。

企業会計が単体決算の時代は、子会社を利用した粉飾決算が日常茶飯事でした。それが連結決算に制度が代わった結果、子会社を利用した粉飾決算はなくなりました。

国の予算も単体決算(一般会計)から子会社(特別会計)も含めた連結決算(一般会計と特別会計の歳入・歳出を合算して、重複計上されている歳入・歳出を相殺処理したもの)で予算編成することが急務と解します。連結ベース予算編成をすることで、国全体の歳入・歳出の内容が国民に詳らかされ、不急不要な事業が予算から削られます。209兆円の国家予算の10%ぐらい歳出カットすることは可能と考えます。財政再建は、予算の適正開示と抵抗勢力(族議員、官僚)を駆逐することで達成可能です。

財政再建の努力が見られない状態で、少子高齢化と若年層の格差問題がもたらす急激な歳出の増加を補填するための消費税税率のアップの議論は、木を見て森を見ない議論に思われます。

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2007年11月 2日

21世紀の税制改革ー我々は近視眼的過ぎないか!その4

21世紀の税制改革 - あるべき税制を観念的に議論しても有効な解決の糸口は見えないと考え、出来るだけ客観的データに基づいてあるべき税制を検討します。本テーマのブログ記事4回目です。

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 平成19年度の税収は
53.5兆円で、不足分は国債の発行で埋め合わされていることを議論してきました(平成191012日付け本ブログ記事を参照ください)。左記の表を見てください。特別会計だけで154兆円という巨額な歳入があります。その結果、一般会計と特別会計の歳入合計額が234.9兆円になります。

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 歳出の表も見てください。一般会計と特別会計の歳出合計額が
209.0兆円で、一般会計の歳出82.9兆円の内、49.4兆円は特別会計に振り返られています。その結果、特別会計の歳出は175.4兆円と想像を超える金額になっています。平成19年度の国家予算というと82.9兆円を我々は想像しますが、実際はもっともっと大きな金額です。日本の国家予算は209.0兆円です。特別会計というブラックボックスに多額の金額が流れ込み、国民の知らないところで費やされています。

 

 

特別会計について検討してみます。わが国の憲法は、一般会計と特別会計を区別していません。また、内閣による予算作成、国会の予算承認、決算の検査等においても一般会計と同様の取扱いがなされることが予定されています。しかし、現実は大きく異なります。

国が行う特定の事業や資金の運用の目的のために現在31の特別会計があります。例えば、国民が払う厚生年金、国民年金、健康保険料は関連する保険事業特別会計(9つある)の歳入となり、国民に還元される年金、健康保険がその特別会計の歳出となります。そして今や伏魔殿(①魔物が隠れている殿堂、②陰謀や悪事が常に行われている所)の様相を呈している社会保険庁が厚生年金、国民年金、健康保険料の管理・運営を行っています。また、今話題の揮発油税は道路特定財源として公共事業特別会計(5つある)の歳入となります。

 

特別会計に関わる問題がいくつかあります。

l        31の特別会計の資金の流れは複雑怪奇で実態を把握することは、ほとんど不可能なこと。

l        ある特別会計に生じた剰余金が、効率的運用されない可能性が高いこと。

l        国民による監視が不十分になって不急不要な事業が行われること。

l        国民の信頼を裏切る不正が行われる温床になること。

 

一般会計の歳入不足、更に低所得者層の人々に対するセーフティネットの付与、高齢者の年金、医療負担増大に対処するには所得税あるいは消費税を10%ぐらい上げるという議論が現実味を帯びてきています。しかし、国民は馬鹿ではありません。直感的になにか公になっていない情報があるのではないかと感じています。それが不明朗な特別会計にあります。その予算は効率的に運用されているのか、あるいは削減できる歳出はあるか否かを国民に詳らかに説明することが必要です。

財務省の作成した「特別会計のはなし」を読むと1020兆円レベルでの特別会計の歳出削減の可能性が示唆されています。しかし、既得権を手にした族議員、官僚の抵抗によって特別会計の歳出削減の話が葬り去られる可能性は非常に大きいです。我々は、現状の財政規模を受け入れて増税を受け入れるのか、あるいは特別会計を含めた財政の抜本的見直しを求め、その結果、不足する財源があれば増税も受け入れるのかの選択が求められていると思料します。

来るべき衆議院議員選挙で、上記選択を選挙民である我々は迫られていると解します。

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2007年10月26日

21世紀の税制改革ー我々は近視眼的過ぎないか!その3

21世紀の税制改革ーあるべき税制を観念的に議論しても有効な解決の糸口は見えないと考え、出来るだけ客観的データに基づいてあるべき税制を検討します。本テーマのブログ記事3回目です

 

税負担

左の表を見てください。

高所得者層は所得33兆円の内

4兆円の税金を、

中所得者層は所得53兆円の内

2.5兆円の税金を、

標準所得者層は所得78兆円の内

2.5兆円の税金を、

低所得者層は所得30兆円の内

0.7兆円の税金

支払っています。

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これを負担している税率に
引きなおした表が左の表です。
 
高所得者層は所得の12.6%を、
中所得者層は所得の4.7%を、
標準所得者層は所得の3.2%を、
低所得者層は所得の2.2%を
所得税として支払っていること
を意味しています。

この統計数値には国民が負担した消費税の額は含まれていません。消費税の負担額を加算する必要があります。所得の低い人は、収入の大部分を生活費に費やしてしまいます。つまり、所得の大部分が消費税5%の対象になります。しかし、所得の高い人は、必ずしも所得のすべてを生活費に費やす必要がありません。つまり、所得の一部分しか消費税5%の対象になりません。そのような影響を考慮した消費税の推定負担額を所得税負担額に加算すると、高所得者層は1416%、それ以外のすべての層の人は78%の所得税と消費税を負担していることになります。

 

高所得者層の税負担が低すぎるのではないかと言う疑問を持つ読者の方が多いと思いますが、これは誤解です。年収が2,000万円を超えると50%の所得税が課されます。年収が2,100万円ですと、2,000万円までの所得に対する所得税の実効税率は14%ぐらいですので税額にすると280万円です。2,000万円を超えた部分の100万円に対して50%の所得税が課されますのでその税額は50万円です。その結果、2,100万円の所得に対する所得税は330万円になります。その時の実効税率は14.8%です。同様な計算を年収1億円の所得に対してすると、所得税の実効税率は42.8%になります。それに消費税を加えれば所得の45%近く税を負担していることとなります。

 

私見ですが累進最高税率50%(所得税40%および住民税10%)をそれ以上に上げる増税は適切でないと考えます。わが国所得税の問題は消費税の導入・引き上げのため、所得税の課税ベースを縮小したことです。消費税の導入・引き上げに対する国民の理解を得るために、所得税の課税ベースの縮小(所得控除の拡大)が行われてきました。その結果、今の所得税法は、"底に幾つもの穴の空いた桶"、すなわち、課税ベースが穴だらけの状態です。すべての層にわたって所得税の税負担が非常に低いことが"底に幾つもの穴の空いた桶"状態の証左です。所得税の課税ベースの見直しをして公正な税制を構築することが大事と思料します。所得税の税率1%は2兆円ぐらいの税収の効果があります。結果として増税になるにしても公正な税制であれば国民に受け入れられるものと信じます。

 

これから10年の内に、低所得者層の人々にセーフティネットを与えることで10兆円、高齢者の年金、医療で10兆円から20兆円が必要になる可能性が十分あります。上記数値は、まったく根拠のない数値ですが、中(あた)らずと雖(いえど)も遠からずと思います。ですから、所得税あるいは消費税を10%ぐらい上げるという議論が現実味を帯びることは必至と考えます。

 

高所得者層を年収1,000万円超、中所得者層を600万円超~1,000万円以下、標準所得者層を300万円超~600万円以下、低所得者層を300万円以下と定義して表を作成しました。更に年収100万円以下の層を重度セイフティネット(生活保護等の公的援助のこと)必要低所得者層、100万円超~200万円以下を中度セイフティネット必要低所得者層、200万円超~300万円以下を軽度セイフティネット必要低所得者層と低所得者層を細分化しました

 

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2007年10月19日

21世紀の税制改革ー我々は近視眼的過ぎないか!その2

21世紀の税制改革ーあるべき税制を観念的に議論しても有効な解決の糸口は見えないと考え、出来るだけ客観的データに基づいてあるべき税制を検討します。

 

年収200万円以下、1000万人超える」と言うセンセーショナルな記事がありました。ここに朝日新聞(20070928日)の記事を引用します。

「民間企業で働く会社員やパート労働者の昨年1年間の平均給与は435万円で、前年に比べて2万円少なく、9年連続で減少したことが国税庁の民間給与実態統計調査で分かった。年収別でみると、200万円以下の人は前年に比べて42万人増え、1023万人と21年ぶりに1000万人を超えた。一方、年収が1000万円を超えた人は9万5000人増加して224万人となり、格差の広がりを示す結果となった。年収300万円以下の人の層は5年前の34.4%から年々増加しており、昨年は全体の38.8%を占めた。男女別では、年収が300万円以下の男性は21.6%と5年前から4.6ポイント増え、女性は66.0%で5年前から2.3ポイント増えた。アルバイトや派遣社員など給与が比較的少ない非正規雇用者が増えている状況を浮き彫りにした格好だ。」

上記記事で引用されている国税庁の民間給与実態統計調査によりますと、平成181231日現在の給与所得者数は、5,340万人でした。その平均給与は男性539万円、女性271万円で、男女をあわせた平均給与は435万円でした。

次のグラフを見てください。

seftynet.png私は、高所得者層を年収1,000万円超、中所得者層を600万円超~1,000万円以下、標準所得者層を300万円超~600万円以下、低所得者層を300万円以下と定義して表を作成しました。更に年収100万円以下の層を重度セイフティネット(生活保護等の公的援助のこと)必要低所得者層、100万円超~200万円以下を中度セイフティネット必要低所得者層、200万円超~300万円以下を軽度セイフティネット必要低所得者層と低所得者層を細分化しました。私の定義による重度セイフティネット必要低所得者層と中度セイフティネット必要低所得者層が1000万人を超えたことを新聞では言っています。

 

表の内容を金額表示しますと、高所得者層の所得総計は33兆円、中所得者層の所得総計は53兆円、標準所得者層の所得総計は78兆円、低所得者層の所得総計は30兆円です。意外に高所得者層の所得総計が少ないことに驚かせられます。格差社会の是正と言うと高所得者層の負担で低所得者層にセイフティネットを提供すべきと考え勝ちですが、所得金額から考えると年収300万円超の人々すべてが応分の負担をする必要があります。しかし、自己責任を放棄する社会の風潮があります。それは上記のような鳥瞰図的客観的データが提供されていないことに大きな原因があると思料します。

 

2007年10月12日

21世紀の税制改革ー我々は近視眼的過ぎないか!その1

 21世紀の税制改革ーあるべき税制を観念的に議論しても有効な解決の糸口は見えないと考え、出来るだけ客観的データに基づいてあるべき税制を検討します。

最近のマスコミの報道は大衆を馬鹿にした内容が横行していることに憂慮しております。

 特にテレビの報道特集と称する番組はヒドイです。しっかりした論客が居て、狂言回しとしてタレントが参加し、タレントがデタラメな、あるいは感情的な意見を述べるのであれば未だ救えるのですが、主客転倒してタレントが主役になり、狂言回しに浅薄な知識を恥じない評論家が番組に出ています。その結果、民意というものは井戸端会議程度の議論で醸成されていきます。それほどマスコミの力が強いです。民意が非常に近視眼的になっていることを憂慮いたします。

  これから数回、今話題になっている年金問題、格差問題の根幹にある事柄を客観的データに基づき分析してみたいです。私見ですが、客観的データは根本的解決の糸口を与えてくれると考えます。

 

次のグラフを見てください。

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平成19年度の歳出は82.9兆円です。歳入(みなさまの払う税金の総計)は53.5兆円です。公債発行額25.4兆円は歳入不足を借金で賄うために国債が発行されます。そして高齢化進展に伴う社会保障費(年金、医療費、福祉等)21.1兆円、国債費(借金の返済)21.0兆円地方交付税(地域格差調整の交付金)14.9兆円が歳出の3分の2以上を占める支出です。公債発行額の棒グラフが常にプラスであることは国債残高が増加傾向であることを示唆しています。グラフが示す情報から我々が検討すべき課題は何かが見えてきます。

* 65歳以上の人2,500万人が25年後には3,600万人に増える状況下で社会保障費の削減、つまり歳出削減は可能なのか?
* 年収200万円以下の人が1,000万人を超えた状況下で社会保障費の削減、つまり歳出削減は可能なのか?
* 歳入不足は如何にして補うのか?

次回以降これら課題について実証的に検討したいです。

2007年8月31日

誰が為に国は在る

税制改革ー自民党の参議院での大敗で、政治の世界で税に関する思考停止状態が生じる可能性が大です。この状態を私は、大変懸念しております。税に関する思考停止状態は、世代人口が激減する30年後の30歳から40歳の人々に対して、我々は不作為(一定の作為を行う義務を行わないこと)であると思料します。それゆえ、「誰が為に国は在る」という題を付けました。

 

8月22日の日本経済新聞一面トップに次のような記事が載っていました。"自民党税制調査会の津島雄二会長は21日、日経新聞とのインタビューで、現行5%の消費税率引き上げに関し「参院は野党が過半数を持っている。既定方針そのままにやれるわけがない」と述べ、年末に決める2008年度税制改正大綱への明記は困難との認識を表明した。同時に消費税率の当面据え置きを主張する民主党との協議を提案。法人課税の実効税率引き下げも現状では難しいとの考えを示した。参院での与野党逆転に伴い、与党が描く税制の抜本改革は滞ることになる。党税調では町村信孝小委員長も日経新聞の取材に「(消費税率引き上げの)議論はしなければいけない。ただ、結論を出せる政治状況であるかと言えばなかなか厳しい」と指摘。これまで消費税率引き上げに前向きだった幹部が相次ぎ慎重論に転じている。"この記事を読んで、大変憂慮しております。

 

消費税率引き上げに前向きだった幹部とは、日本のこれからの税はどうあるべきかに関して、一家言を持っている政治家と考えられます。その政治家が税制改革を提言することを止めると言っています。その理由は、参院第一党になった民主党が消費税率を当面、据え置く方針を示しているからです。憂慮すべき点は、衆議院と参議院のねじれ現象によって、これからの政治の世界では、税に関して思考停止状態が続く可能性が大きいことです。

 

 私は、敢えて、税に関する思考停止状態に問題提起したいです。先ず、財政再建が急務と国民は考えています。OECD21カ国のデータを分析した結果、財政再建は増税ではなく、経済活性化による税の増収と歳出削減が効果的であることを実証的分析が証明しています。そして、日本も例外でなく、この1~2年の税の増収の結果、歳入と歳出は均衡してきております。消費税問題を財政再建の道具として考えることは不適切であり、短期的にみれば消費税率の引き上げは必要ないと考えます。その意味では、民主党の言っていることは正しいです。しかし、それでは30年から40年先を考えたらどうなるのか?今の人口が2050年までには8千万人にまで減少する予測も出ています。 つまりこれから30年から40年先を見据えて考えると、少子高齢化の影響(現在、30歳から40歳の人々が65歳以上になった時の年金と医療費を、世代人口が激減する30年後の30歳から40歳の人々が負担することを考えなければなりません。

現在問題にされている財政再建と少子高齢化の影響は、異質の問題です。残念ながら、今の日本に30年から40年先を見据えて行動する政治家はおりません。それは、有権者がそのような政治家を選ばないからです。有権者はバカなのか。そうではないと考えます。有権者に正しい情報が伝えられていないためと考えます。それは、政治家が説明責任を果たしてこなかったことと、マスコミがオピニオンリーダーの役割を放棄したためです。マスコミは影響力が大きいゆえ、苦言を呈します。ニュースを発信するマスコミ側に、社会の木鐸たらんとする気概が全く感じられなくなっています。特に最近のTVの報道番組に出てくる評論家の意見は、耳触りの良いことばかりで、中身がありません。有権者に正しい情報が伝えられていないため「30年から40年先のことを考えるのは政治家で、自分達ではない。俺たちは、毎日の生活が苦しくて大変なんだ。そんな時、増税なんてマッピラだ!」という支離滅裂な考えが視聴者の中でまかり通るようになります。 

税に関する思考停止状態が政治の世界で続くことは、我々の子供の世代に禍根を残すことです30年から40年先のことを考える政治家を選ぶよう有権者の意識を変える必要があります。

 

隗より始めよ。私見を申し上げます。与党、野党を問わず政治家が取り組まなくてはいけない課題は、

(1)税と社会保険料を合わせた国民の負担をどの程度までなら容認できるのか政府のサイズに関する国民の選択の議論を国会の場で行うこと。

(2)政府のサイズを議論するためには、信頼性の高い数値(将来年度の年金と医療費の負担額、それを賄うための税収と社会保険料の収入)を示して議論すること。

(3)必要な税収を確保するためにはどのような税制が妥当か、そしてその税率はいくらかを議論することです。 

 

税制の基本は「公平」「中立」「簡素」です。私は「公平」「中立」「簡素」を踏まえた上での21世紀の税制改革に関して微力ながら、情報発信を続けて行きたいです。日本はこれから50年間、少子高齢化の波が押し寄せるという現実(しかし、実感出来ない現実)を認識する必要があります。そして、30年から40年先のことを考える必要があります。私見ですが、望むべき有権者像があります。それは以下の通りです。

「少子高齢化の波は段々高くなる。これから30年も、40年も、50年も続くのだ。だから、俺たちは、30年から40年先のことを考える政治家を選ぶ必要があるんだ!俺たちは、けっして豊かではないけど、貧しくもない。俺の子供たち、孫たちのために出来ることがあれば、教えて欲しい!」 

 

 

30年から40年先のことを考えて、財政的手当をしている国があります。それは福祉国家・ノルウェーです。ノルウェーの例は示唆に富む内容です。

 

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2007年6月15日

格差是正の税制改革ー若年層の格差是正

税制改革ー若年層の格差が問題となっています。その格差解消の施策のひとつとしての「給付つき税額控除制度」を説明します。

租税研究(日本租税研究協会発行)2006年11月号に掲載され中央大学法科大学院教授、森信茂樹先生の記事「格差問題と税制」は興味ある内容ですので、ここで簡単に紹介させてもらいます。

全国消費実態調査によりますと、ひとつは若年層の格差が拡大してきています。もうひとつは高年齢の格差です。会社生活を続けていれば勝ち組と負け組みに分かれて、ある程度高齢者間での格差が生じることは、已む得ないことかもしれません。しかし、極端な格差が生じることは問題です。

少子化解消のためには、若年層の格差解消の施策をとることが大事です。若年層の格差は非正規雇用やフリーターの増加から生まれてきています。それらの人々の年収(200~300万円)では結婚できません。これが更なる少子化に結びつくという悪循環になります。そこで、森信先生は、若年層の格差にポイントをおいて議論を進めています。税・社会保障の所得再分配機能を利用した格差解消策として、森信先生は「給付つき税額控除制度」の提案をしています。

給付つき税額控除制度とは、ある一定以下の所得水準の家庭には生活保護を給付する。そして、その家庭の所得が上がっても、一定の所得水準に達するまで(税額控除の方法で)減税措置が受けられるようにし、一定の所得水準を超えた時、減税措置がなくなる制度です。給付つき税額控除制度は欧米で広く採用されている制度で、格差解消にかなりの効果を発揮しているそうです。

給付つき税額控除制度をわが国で導入する際の課題として森信先生は、下記の事項を示しています。

  1. 税制と社会保障給付を一体運営するためには、霞ヶ関の縦割り制度を改める必要がある。
  2. 不正還付を防ぐ手当が必要である。
  3. 給付つき税額控除制度は家族単位で管理する必要がある。現在の所得税は個人単位で家族単位になっていない。
  4. バラバラの社会保障と税を整合して税・社会保障の所得再分配機能の効率化を図ること。

給付つき税額控除制度の導入だけでは、不十分で「上記課題を解決する骨太の抜本的制度改革が必要」として森信先生の記事は終わっております。

格差解消は、少子化対策にもなるという非常に示唆に富んだ記事です。これを契機にして給付つき税額控除制度という言葉だけでも、みなさまの頭の整理箱に入れておいて下さい。 

 

 

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2007年6月 1日

格差是正の税制改革-ふるさと納税

格差是正の税制改革として、話題の“ふるさと納税”について、私見を述べます。 

ふるさと納税に関する週刊ダイアモンド(2007/06/02)の記事は次のようなセンセーショナルな書出しで始まっています。

「後世に天下の大愚策として名を残すこと間違いなしの政策が久々にぶち上げられた。それは“ふるさと納税”である。」

私見を述べます。個人住民税の一部を故郷に回し、地方の財政不足を解消するというふれ込みが“ふるさと納税” です。望郷の念を持つ多くの人々の琴線にふれるメッセージです。しかし、“ふるさと納税”は情に訴える政策で、参議院選挙目当ての人気取り政策と考えます。“政治によって生きる政治家”にとっては、政治家でいることが大事です。政治家は、情と共に理に適った政策を提言すべきです。マックス・ウェーバーが求めた“政治のために生きる政治家”であれば、“ふるさと納税”を提言することはないと思料します。“ふるさと納税”が理に適っていないことを述べます。 

先ず、費用と効果の観点から考察します。総務省が作成した平成19年度地方団体の歳入歳出の見込み額では、歳入の合計額は83兆円です。その内訳は、地方税40兆円、地方交付税16兆円、国庫支出金10兆円、地方債等17兆円です。地方税40兆円の約四分の一が“ふるさと納税”の対象となる個人住民税で、残りの30兆円は法人住民税、事業税、地方消費税、固定資産税です。“ふるさと納税”は最大でも個人住民税の10%と言われています。つまり約1兆円、全体の歳入の1%強が今検討されている“ふるさと納税”です。この1%のために追加的に発生する事務負担(誰が、どこに、いくら納税したいかを毎年調べる人件費)は多大なものになることが予想されます。 

次に、都道府県別に見た人口1人当たりの税収格差を考察します。東京がダントツではないかと皆様は想像すると推察しますが、事実は異なります。総務省が作成した地方税と地方交付税の人口1人当たり収入金額(平成17年度)によれば、東京を100とした場合、島根は123.8、高知は109.2、秋田は101.1です。過疎地域の県が意外と人口1人当たりの税収は高いです。ビックリすることは、埼玉は58.3、千葉は62.2、神奈川は63.2と東京近郊の県は非常に低いです。埼玉、千葉、神奈川に住む人がふるさとに納税をしたら、自分の住む県の税収は更に減ることになります。するとそれらの県が提供する警察、消防、ゴミ処理等のサービス低下をもたらします。 

更に、地方税の基本から考察します。前述しましたように地方自治を司るための歳入は、地方が提供する警察、消防、ゴミ処理等のサービスのために費消されます。従って、行政サービスを受ける居住地以外の地に納税することは、応益に応じて負担するという地方税の基本に反します。“ふるさと納税”した人は、居住する地域のサービスにただ乗りすることとなり、その分は他の納税者の負担が増えることになります。公平の観点からも問題があります。

費用と効果の観点から、都道府県別に見た人口1人当たりの税収から、そして地方税の基本から“ふるさと納税” は大いに問題ありです。

格差は地域現象として現れている面もありますが、政治として取り扱う格差とは社会的に弱者になっている人の救済にあると思います。ワーキング・プアーと呼ばれるグループの問題、90歳以上の人が100万人を超える社会での介護の問題が私は格差の問題と解します。次回は、ワーキング・プアーと呼ばれるグループの格差問題を税の観点から検討してみたいです。

地方交付税と国庫支出金を説明します。

 

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2007年5月11日

移転価格事務運営要領草案

私見争見ー国税庁は移転価格の事務運営指針の草案を平成19年4月13日に公開し、その草案に対して意見公募(パブリックコメント)を実施しました。当該事務運営指針の草案に対する私見と、その私見に基づいて村田守弘が国税庁に提出した意見書について報告いたします。 

平成19年4月13日に移転価格事務運営要領(事務運営指針)新旧対照表(案)別冊(移転価格税制の適用に当たっての参考事例集)が公表されました。当該事務運営指針の草案に対して国税庁は意見公募(パブリックコメント)を実施しました。 意見公募の期日は平成19年5月12日です。

事務運営指針は通達のようなものです。また、参考事例集は今までありませんでした。今回、参考事例集が初めて作成されました。参考事例集は事務運営指針と同列に取扱われています。参考事例集は、良く出来ているので移転価格調査において、当該参考事例集はバイブルとなるでしょう。ここで問題にしたい点があります。「参考事例集は良く出来ている」は調査する立場から良く出来ているのであって、納税者の立場からではありません。参考事例集が出来たことにより、より厳しい移転価格課税が納税者に対して行われる懸念が大いにあります。

移転価格税制を一言で言えば下記の通りです。

「仲間内での取引に利用される価格は恣意的である。その恣意性を排除するには、他人に売却する価格(独立企業間価格)を使用する必要がある。そして独立企業間価格を使用している限り、移転価格は適正である」

移転価格税制の基礎となる概念は、独立企業間価格です。この独立企業間価格の適正性が移転価格調査では常に問題にされます。移転価格調査の現状は、「納税者の合理的主張に基づく独立企業間価格は認めない。国税が決定する独立企業間価格で更正する」です。参考事例集のかなりの部分が、この現状を追認する内容となっております。この点が懸念されます。

私の懸念材料となっている問題点の指摘とその改善を求める意見書を作成しました。そして、平成19年5月10日、国税庁に当該意見書を提出いたしました。時間の制約もあって、私が提出した意見は、参考事例集の問題点を限定的に取り上げることに終わっています。そのこと申し上げます。また、それが個人的には残念です。

2007年3月23日

硬直化したシステム

税制改革ー税制改革の観点から提言することは「正直者はバカを見るという国民感情を是正する内容の改革の実施」にあると考えます。正直者はバカを見るという国民感情を是正するには、現在の硬直化したシステムの改革が求められると考えます。

現在起きている経済構造の変化を定性的に、かつ、定量的に分析しても、その分析結果が適正に反映される形で税制改革が行われなくては意味が無いです。しかし、残念ながら現在の税制改革システムでは無理ではないかと考えます。現在、政府税調の運営にあたっては、財務省主税局が大きな影響力をもっています。官僚が大きな影響力を持つということは、一般常識ではなく霞ヶ関の論理(行政主導・縦割り体質)で税の改正が行われるという意味です。さらに、政府税調よりも自民党税制調査会(自民党税調)の力が強く、永田町の論理(支援組織へのばら撒き)で、政府税調の答申の内容が自民党税調によってしばしば曲げられてしまいます。

右肩上がりの経済の下では、一定の税収が確保されるため、政府税調、自民党税調、財務省主税局が三位一体となった形での立法の仕組みでも大きな問題は生じなかったです。しかし、21世紀の税制改革は、人口減という大きな構造変化の中で行われなければなりません。 そこで提案したいのは、現在の税制改革システムを廃止し、欧米型の諮問機関(タスクフォース)による税制改革システムに移行させることです。すなわち、税制に係わる立法を行政、司法から完全に分立させ、本来の国家運営の基本に戻す手段として欧米型の諮問機関(タスクフォース)の創設し、その機関が税制改革の中心となることです。欧米型の税制改革システムは、政府が少数精鋭の税制専門家グループからなる諮問機関に税制改革の基本的なプラン作りを要請します。当該諮問機関は改革プランをまとめて公表を行います。この改革プランが国会の審議にかけられると同時に国民に向けた公聴会等が開かれ、国民の声を吸い上げつつ立法化されていきます。 

税制改革を阻害する問題点を二つ例示します。霞ヶ関の論理(行政主導・縦割り体質)や、永田町の論理(支援組織へのばら撒き)がもたらした問題を例示します。

霞ヶ関の論理(行政主導・縦割り体質)が如実に出て問題となっている制度は年金です。年金制度は、厚生年金、国民年金、公務員共済組合、議員年金とバラバラで、厚生年金に入っているサラリーマンは天引きされているのに対し、他の年金制度で生じている掛け金未納、役人優遇、議員特別待遇等の問題は放置されています。多くの国民は、年金問題はマスコミが騒ぐだけで、真の改革は出来ないのではないかと疑心暗鬼です。また、税金の徴収は国税庁が、年金の徴収は社会保険庁が行っています。何故、企業のようにリストラして徴収コスト削減に努めないのかと国民は疑問に思っています。

永田町の論理(支援組織へのばら撒き)の例としてとして、消費税の導入・引き上げのため、所得税の課税ベースを縮小したことです。消費税の導入・引き上げに対する国民の理解を得るために、所得税の課税ベースの縮小(所得控除の拡大)が行われてきました。その結果、就業者の四人に一人は所得税を払わなくていいという事態を招いています。つまり、今の所得税法は、“底に幾つもの穴の空いた桶”、すなわち、課税ベースが穴だらけの状態です。

政府税調、自民党税調、財務省主税局が三位一体となった税制改革システムがもたらした最大の弊害は、税に関して正直者はバカを見るという国民感情を醸成していることです。 税制改革の観点から提言することは「正直者はバカを見るという国民感情を是正する内容の改革の実施」にあると考えます。私見ですが、以下の内容を盛り込むことが重要と考えます。

  1. 「税金/年金の支払いに関して特権グループはなく、全員が応分の負担をすべきものである」という考え方の普及
  2. 年金の一元化
  3. 納税者番号制度の導入
  4. 所得税の課税ベースの適正化を意図した所得税法の改定
  5. 税金・年金徴収コストの削減策の立案と実施

上記施策の採用は、正直者はバカを見るという国民感情の是正に大いに役立つでしょう。 上述しましたように欧米型の諮問機関(タスクフォース)による税制改革システムに移行させることによって、マスタープランに基づいた税制改革が可能となるでしょう。私見ですが、硬直化したシステムの改革が所与の前提となって、はじめて消費税の増税が議論の遡上に上がってくると考えます。

2007年3月 9日

寄附金

寄附(きふ)とは、金銭や財産などを公共事業、公益・福祉・宗教施設などへ贈与することを言います。災害の際に被災地・被災民へ送られる義捐金も寄附の一つであります。社会事業団体、政治団体に対するきょ出金、神社の祭礼等の寄贈金が代表的な寄附金です。寄附は、福祉に係る費用の一部を民間が肩代わりする経済活動に位置づけられます。しかし、本邦法人税では、企業が行った寄附に関わる経済的利益の大部分が損金算入出来ません。

寄附金の限度額は以下のとおり計算されます。
一般の寄附金は(所得金額の2.5%+資本金等の額の0.25%)×1/2で算定された金額を超えたら、この超過部分が損金算入出来ません。 例えば、所得が10億円の企業が30百万円の寄附を行うと、凡そ、その半分が損金算入出来ません。一般的に寄附金、きょ出金、見舞金などと呼ばれるものは寄附金に含まれます。ただし、これらの名義の支出であっても交際費、広告宣伝費、福利厚生費などとされるものは寄附金から除かれます。したがって、金銭や物品などを贈与した場合に、それが寄附金になるのかそれとも交際費等になるのかは、個々の実態をよく検討した上で判定する必要があります。ただし、事業に直接関係のない者に対する金銭贈与は、原則として寄附金になります。

例外の取り扱いがあります。①特定公益増進法人に対する寄附金(日本赤十字社などの特殊法人、公益法人のうち科学技術の試験研究や学生に対する学資の支給を行うものなど)と②認定NPO法人に対する寄附金(特定非営利活動を行う法人(NPO法人)のうち一定の要件を満たすものとして国税庁長官の認定を受けたもの)の総額を別枠として、上記算式による損金算入限度の計算が認められています。更に、③国・地方公共団体に対する寄附金(公立高校、公立図書館など)と④指定寄附金(国宝の修復、オリンピックの開催、赤い羽根の募金、私立学校の教育研究など)は全額損金算入が認められています。以上のような税務上の取扱いの下では、企業が積極的に寄附をしようとする動機が生まれません。お付き合い程度に、全額損金算入できる指定寄付金に限定されていまいます。真に福祉のための寄付は税制の面から成し難い状況にあります。

少し視点を変えます。ある文献で次のように記述しております。
「日本でも、古代から寄付の歴史があり、奈良時代の頃から、利水・治水や橋・道路建設などの公共事業のため、仏教僧が民間から寄付を集める勧進が行われていた。中世は自力救済の時代であったが、民衆の間に頼母子講などの相互扶助が始まった。これは集団で金銭を貯蓄し貧困者などに順番で供与するという、寄付と同様の機能を持った相互扶助であった。近世に入っても相互扶助の伝統は継承され、明治になり社会構造が大きく変わると、相互扶助に代わって寄付が盛んになっていった。第二次世界大戦以前は、皇室や財閥などによる寄付が寄付総額の30%にのぼるなど、福祉のかなりの部分を寄付が担っていた。」

戦後の日本は、宗教の自由が信仰の否定になり、福祉国家の理念が無責任な国民の創造になりました。信仰を否定し、無責任な日本人の特徴が世帯当たり寄附金の額にも現れています。世帯あたり寄附金の額は、アメリカが約17万円、日本が約3000円と大きな差になっています。こうした格差を増長させている要因(無信仰、無責任)に加えて、もうひとつの要因があります。それは本邦寄附金税制(寄附金を基本的に奨励しない税制)です。これからの日本は少子高齢化社会になります。少子高齢化社会を支えるためには、社会福祉関係のコストは増大する一方です。社会福祉関係の活動を国に任すと、知らないうちに外郭団体が生まれ、本来の業務に使われるべき資金が目的外に費消される可能性が高いです。寄附に基づく福祉活動は、市民運動です。よって、ガラス張りの活動が求められます。これからは企業も個人も福祉のために寄附できるような税制改革(寄附金を奨励する方向への税制改革)が切に望まれます。


寄付金に関わる条文を下記に引用します。

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2007年2月 9日

消費税ーインボイス方式

1月26日付け本ブログ記事「消費税の長所と短所」(カテゴリー”税制改革”)の中で、現行消費税の制度上の問題点としてインボイス方式を採用していないことを挙げました。また、当該記事で「EUでの付加価値税では、課税業者の選択をしない限り、事業者は(付加価値税が別記された)請求書の発行ができません。これをインボイス方式と呼びます」との説明をしました。しかし、この説明ではインボイス方式を理解するには不十分と思料いたします。今後の消費税問題の議論では、インボイス方式を導入するか否かが重要な争点になります。そこでインボイス方式について加筆することにしました。

消費税は原材料の加工から最終消費者の購入に至るまでの各段階で事業者が生み出した付加価値を課税標準として多段階で税を徴収する税です。例を挙げます。ある事業者が部品を仕入れて、それを組立(つま人件費が発生)、それに利益をプラスして販売した場合、その事業者が生み出した付加価値は人件費と利益の総計です。消費税は個別事業者の付加価値を計算して、それに税率を乗じて納付すべき税を計算する方式ではありません。各事業者の生み出す付加価値は千差万別ですので、付加価値の算定は困難を伴います。そこで、前述の例を用いて説明しますと、事業者が販売した製品に賦課した消費税から、部品を販売した事業者が賦課してきた消費税を差し引いた税額が、納付する消費税となります。その結果、事業者の付加価値に税が課せられたと同じ結果をもたらします。事業者は消費者から受取った消費税から他の事業者から賦課されてきた消費税の差額を納付します。

消費者から受取った消費税をごまかすことは出来ませんが、今の消費税の制度(帳簿方式)は他の事業者から賦課されてきた消費税をごまかすことが出来ます。何故か?事業者には、課税業者、非課税業者、免税業者が居ります。帳簿方式による場合、非課税業者、免税業者からの仕入も消費税が課されたとして処理されても実務上は分かりません。仕入に関わる消費税がより正確に、かつ取引当事者間で相互牽制作用が働き、ごまかしが出来ないようにするには、取引当事者間で文書を取り交わすことです。そして、その文書の情報でしか賦課された消費税の額の計算は出来ないようにすることです。インボイス方式とは消費税の金額が記載された文書を取引当事者間取り交わし、その取り交わした文書に記載された消費税でしかで賦課された消費税の額の計算は出来ないようにする方式です。この方式に拠れば、消費税を払っていない非課税業者、免税業者からの仕入を排除でき、消費者が支払った消費税を事業者が不正に懐に入れることが防げます。

EUのインボイス方式では、課税業者を届け出た業者しか証拠資料となるインボイスの発行は出来ません。したがって、免税業者からの仕入に対して税額控除は出来なくなります。また、インボイスには税額の記載が義務付けられています。

1月26日付け本ブログ記事「消費税の長所と短所」(カテゴリー”税制改革”)で、『消費税の「中立」を担保する観点から、消費税率のアップより前に制度上の問題点の解決(インボイス方式を採用)が求められます。その問題点の解決は、更に「公平」に資する効果があると確信いたします』と書きました。上記説明でその意味がより明確になったと思います。


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