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本年度の租税法解説は、国際課税に関する税制、組織再編成に関する税制及び連結納税制度を中心に解説いたします。
本ブログの租税法解説は法人税の基礎を中心に行ってきました。本年度の租税法解説は、国際課税に関する税制、組織再編成に関する税制及び連結納税制度を中心に解説いたします。
租税法解説ー受取配当金の所得税法上の取扱いを説明しています。
個人が内国法人から配当を受けた場合、一定金額を税額控除として認める制度が配当控除です。個人が受け取った配当は、内国法人が税引き後の利益がその配当の源泉になっています。その配当が個人のレベルで更に課税されると同一所得に対して二回課税されるという二重課税が発生します。二重課税を排除するひとつの方法として税額控除があります。法人擬制説(法人は、それ自体が実在しているように見える組織で、実は、株主の単なる集合体に過ぎないという考え)の下では、法人税は所得税の前払いに過ぎません。そして本邦税制は法人擬制説に基づいています。ですから、前払いした法人税相当額を配当控除として調整する制度です。 配当控除は以下のように計算されます。課税総所得金額が1千万円以下の場合を例にしますと、次のイとロの合計額が配当控除の金額となります。
イ 剰余金の配当等に係る配当所得(特定株式投資信託の収益の分配に係る配当所得を含みます。)×10%
ロ 証券投資信託の収益の分配金に係る配当所得(特定株式投資信託の収益の分配に係る配当所得を除きます。以下同じ。)×5%。但し、証券投資信託の収益の分配に係る配当所得のうち、特定外貨建等証券投資信託以外の外貨建証券投資信託の収益の分配に係る配当所得については、2.5%
配当控除に関わる条文を下記に引用します。
租税法解説ー受取配当金の法人税法上の取扱いを説明しています。
法人が他の会社から配当を受けた場合、当該法人は申告を条件として受取配当金を益金不算入にする取扱いが認められます。受取配当金の益金不算入の取扱いは、その配当金の支払いが子会社・関係会社(関係法人株式等)からされた場合とそれ以外の会社された場合で異なります。前者の場合は、受取配当金の全額が益金不算入となりますが、後者の場合は100分の50が益金不算入となります。
さらに、配当計算期間の末日以前1ヶ月以内に対象となる株式を取得し、かつ、配当計算期間の末日以後2ヶ月以内に売却した場合には、当該受取配当金は益金算入されます。また、受取配当金の益金不算入の額は、会計上認識された受取配当金から株式取得に関わる借入金の支払い利息を差し引いた金額です。これを受取配当等から控除する負債の利子と呼びます。
関係法人株式等とは配当を受け取る内国法人が他の内国法人の発行済株式総数(出資金額)の25%以上を、配当等の支払義務が確定する日以前6か月以上引き続き保有している場合の株式等です。
受取配当金の益金不算入は、法人擬制説(法人は、それ自体が実在しているように見える組織であるが、実は、株主の単なる集合体に過ぎないという考え)にその理論的根拠を置いています。よって、法人の所得は、究極的に個人株主に帰属して完結します。法人が別法人から受取配当金をうけた場合、当該別法人で課税された税引き後の所得が配当になります。その配当が更に課税されると同一所得に対して二回課税されるという二重課税が発生します。株主に配当される前に二重課税されることは、法人擬制説の下では、不合理です。よって、受取配当金は益金不算入の取扱いが必要とされます。 受取配当に関わる条文を下記に引用します。
寄附(きふ)とは、金銭や財産などを公共事業、公益・福祉・宗教施設などへ贈与することを言います。災害の際に被災地・被災民へ送られる義捐金も寄附の一つであります。社会事業団体、政治団体に対するきょ出金、神社の祭礼等の寄贈金が代表的な寄附金です。寄附は、福祉に係る費用の一部を民間が肩代わりする経済活動に位置づけられます。しかし、本邦法人税では、企業が行った寄附に関わる経済的利益の大部分が損金算入出来ません。
寄附金の限度額は以下のとおり計算されます。
一般の寄附金は(所得金額の2.5%+資本金等の額の0.25%)×1/2で算定された金額を超えたら、この超過部分が損金算入出来ません。 例えば、所得が10億円の企業が30百万円の寄附を行うと、凡そ、その半分が損金算入出来ません。一般的に寄附金、きょ出金、見舞金などと呼ばれるものは寄附金に含まれます。ただし、これらの名義の支出であっても交際費、広告宣伝費、福利厚生費などとされるものは寄附金から除かれます。したがって、金銭や物品などを贈与した場合に、それが寄附金になるのかそれとも交際費等になるのかは、個々の実態をよく検討した上で判定する必要があります。ただし、事業に直接関係のない者に対する金銭贈与は、原則として寄附金になります。
例外の取り扱いがあります。?特定公益増進法人に対する寄附金(日本赤十字社などの特殊法人、公益法人のうち科学技術の試験研究や学生に対する学資の支給を行うものなど)と?認定NPO法人に対する寄附金(特定非営利活動を行う法人(NPO法人)のうち一定の要件を満たすものとして国税庁長官の認定を受けたもの)の総額を別枠として、上記算式による損金算入限度の計算が認められています。更に、?国・地方公共団体に対する寄附金(公立高校、公立図書館など)と?指定寄附金(国宝の修復、オリンピックの開催、赤い羽根の募金、私立学校の教育研究など)は全額損金算入が認められています。以上のような税務上の取扱いの下では、企業が積極的に寄附をしようとする動機が生まれません。お付き合い程度に、全額損金算入できる指定寄付金に限定されていまいます。真に福祉のための寄付は税制の面から成し難い状況にあります。
少し視点を変えます。ある文献で次のように記述しております。
「日本でも、古代から寄付の歴史があり、奈良時代の頃から、利水・治水や橋・道路建設などの公共事業のため、仏教僧が民間から寄付を集める勧進が行われていた。中世は自力救済の時代であったが、民衆の間に頼母子講などの相互扶助が始まった。これは集団で金銭を貯蓄し貧困者などに順番で供与するという、寄付と同様の機能を持った相互扶助であった。近世に入っても相互扶助の伝統は継承され、明治になり社会構造が大きく変わると、相互扶助に代わって寄付が盛んになっていった。第二次世界大戦以前は、皇室や財閥などによる寄付が寄付総額の30%にのぼるなど、福祉のかなりの部分を寄付が担っていた。」
戦後の日本は、宗教の自由が信仰の否定になり、福祉国家の理念が無責任な国民の創造になりました。信仰を否定し、無責任な日本人の特徴が世帯当たり寄附金の額にも現れています。世帯あたり寄附金の額は、アメリカが約17万円、日本が約3000円と大きな差になっています。こうした格差を増長させている要因(無信仰、無責任)に加えて、もうひとつの要因があります。それは本邦寄附金税制(寄附金を基本的に奨励しない税制)です。これからの日本は少子高齢化社会になります。少子高齢化社会を支えるためには、社会福祉関係のコストは増大する一方です。社会福祉関係の活動を国に任すと、知らないうちに外郭団体が生まれ、本来の業務に使われるべき資金が目的外に費消される可能性が高いです。寄附に基づく福祉活動は、市民運動です。よって、ガラス張りの活動が求められます。これからは企業も個人も福祉のために寄附できるような税制改革(寄附金を奨励する方向への税制改革)が切に望まれます。
寄付金に関わる条文を下記に引用します。
交際費は、取引の円滑化や販路の拡大をねらって支出されるもので、事業遂行上必要な経費です。しかし、ややもすると必要以上に支出される性格の経費であるため、政策的見地から租税特別措置法において交際費の損金算入に一定の制限を加えています。
会社決算において交際費として処理した金額が、損金算入に一定の制限掛かる交際費となる訳ではありません。会議費と処理してもその内容が租税特別措置法61の4に定める交際費(交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するもの)に該当する時は、税務申告において交際費として処理する必要があります。これを他費目交際費と呼びます。
性格が交際費的であったも、次のような費用は税務上の交際費からは除かれています。
1)専ら従業員の慰安のために行われる運動会、演芸会、旅行等のために通常要する費用
2)飲食その他これに類する行為のために要する費用であつても、その支出する金額がひとり当たり5千円以下の費用
3)カレンダー、手帳、扇子、うちわ、手ぬぐいその他これらに類する物品を贈与するために通常要する費用
4)会議に関連して、茶菓、弁当その他これらに類する飲食物を供与するために通常要する費用(通常要する費用は、上記2よりひとり当たり5千円以下の費用と思われます)
5)新聞、雑誌等の出版物又は放送番組を編集するために行われる座談会その他記事の収集のために、又は放送のための取材に通常要する費用
上記解説に係わる条文を下記に引用します。
措置61の4「法人が平成十八年四月一日から平成二十年三月三十一日までの間に開始する各事業年度(清算中の各事業年度を除く。)において支出する交際費等の額(当該事業年度終了の日における資本金の額又は出資金の額(資本又は出資を有しない法人その他政令で定める法人にあつては、政令で定める金額)が一億円以下である法人については、当該交際費等の額のうち次に掲げる金額の合計額)は、当該事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。
一 当該交際費等の額のうち四百万円に当該事業年度の月数を乗じてこれを十二で除して計算した金額(次号において「定額控除限度額」という。)に達するまでの金額の百分の十に相当する金額
二 当該交際費等の額が定額控除限度額を超える場合におけるその超える部分の金額
2 前項の月数は、暦に従つて計算し、一月に満たない端数を生じたときは、一月とする。
3 第一項に規定する交際費等とは、交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為(第二号において「接待等」という。)のために支出するもの(次に掲げる費用のいずれかに該当するものを除く。)をいう。
一 専ら従業員の慰安のために行われる運動会、演芸会、旅行等のために通常要する費用
二 飲食その他これに類する行為のために要する費用(専ら当該法人の法人税法第二条第十五号 に規定する役員若しくは従業員又はこれらの親族に対する接待等のために支出するものを除く。)であつて、その支出する金額を基礎として政令で定めるところにより計算した金額が政令で定める金額以下の費用
三 前二号に掲げる費用のほか政令で定める費用
4 前項第二号の規定は、財務省令で定める書類を保存している場合に限り、適用する。」
措置令37の5「法第六十一条の四第三項第二号 に規定する政令で定めるところにより計算した金額は、同号 に規定する飲食その他これに類する行為のために要する費用として支出する金額を当該費用に係る飲食その他これに類する行為に参加した者の数で除して計算した金額とし、同号 に規定する政令で定める金額は、五千円とする。
2 法第六十一条の四第三項第三号 に規定する政令で定める費用は、次に掲げる費用とする。
一 カレンダー、手帳、扇子、うちわ、手ぬぐいその他これらに類する物品を贈与するために通常要する費用
二 会議に関連して、茶菓、弁当その他これらに類する飲食物を供与するために通常要する費用
三 新聞、雑誌等の出版物又は放送番組を編集するために行われる座談会その他記事の収集のために、又は放送のための取材に通常要する費用」
申告を誤ったことについて正当な理由のある時は、その理由に対応する税額に対して加算税は賦課されません。その根拠条文が国税通則法第65条第4項です。当該条文を下記に引用します。
通則65?「第一項又は第二項に規定する納付すべき税額の計算の基礎となつた事実のうちにその修正申告又は更正前の税額(還付金の額に相当する税額を含む。)の計算の基礎とされていなかつたことについて正当な理由があると認められるものがある場合には、これらの項に規定する納付すべき税額からその正当な理由があると認められる事実に基づく税額として政令で定めるところにより計算した金額を控除して、これらの項の規定を適用する。」
正当な理由とは(1)税法の公表されていた解釈の変更、(2)申告時に確定出来なかった偶発利益、(3)その他真に已む得ない理由と解されています。しかし、課税庁はこの正当な理由を非常に狭く解釈して加算税を賦課してきます。極端な例として、認められたひとつの税法の解釈が変更され、変更後その解釈が認められなくなった時、その変更前の解釈による処理を課税庁は遡及的に更正することがあります。更にその更正に加えて加算税も賦課します。ストックオプションの所得認識(給与所得か一時所得か)においては、まさに上記のような税務執行(遡及的更正決定と加算税の賦課)が行なわれました。それに対して最高裁は通則65?の正当な理由に該当するとして、加算税取り消しの判断を平成18年10月24日に下しました。
最高裁の判断が正当な理由に対して下ったから、課税庁がその執行態度を改めるかというと疑問です。真に正当な理由があると信じるにも拘らず、加算税が賦課されたら訴訟も辞さないという姿勢が納税者に求められます。
税務調査の執行において直接資料によらず、各種間接的な資料を用いて得た情報で更正し、課税することを推計課税と言います。推計課税をたとえていえば、蕎麦やとかラーメン屋の売上は捨てられた割り箸の数を集計して売上を推計して、その推計された売上から課税するのです。
推計課税に関わる条文を下記に引用します。
法131「税務署長は、内国法人に係る法人税につき更正又は決定をする場合には、内国法人の提出した青色申告書に係る法人税の課税標準又は欠損金額の更正をする場合を除き、その内国法人(各連結事業年度の連結所得に対する法人税につき更正又は決定をする場合にあつては、連結子法人を含む。)の財産若しくは債務の増減の状況、収入若しくは支出の状況又は生産量、販売量その他の取扱量、従業員数その他事業の規模によりその内国法人に係る法人税の課税標準(更正をする場合にあつては、課税標準又は欠損金額若しくは連結欠損金額)を推計して、これをすることができる。」
推計課税は白色申告の法人に対して適用される方法で、青色申告法人に対しては許される方法ではないと解します。しかし、青色申告法人も、課税庁が帳簿の内容が不正確で信頼性に欠けると判断した時、あるいは調査に非協力的であると判断した時、青色申告の特典が取り消され、白色申告法人となってしまいます。そのような(課税庁にとって筋の悪い)法人は青色申告取り消し後、速やかに推計課税が行なわれる可能性が大です。
推計課税が通常の青色申告法人でも行なわれる可能性があります。それは移転価格の調査においてです。移転価格算定方式及びその算定結果の写しの提示又は提出を求めた場合において、当該法人がこれらを遅滞なく提示し、又は提出しなかつた時は推計課税が許されます。当該条文は租税特別措置法66条の4第7項です。当該条文を下記に引用します。実際の移転価格調査において問題になるのは、提出された資料が(課税庁にとって)不十分だった場合です。課税庁の要求する資料の精度が非現実的に高い場合が良くあります。そのような場合、提出された資料は不十分な資料と取扱われます。そして、推計課税の要件は満たしたと課税庁が強弁してくる場合は少なからずあります。
節税行為とは租税負担を合法的に軽減する行為を言います。
租税は一定の課税要件事実に該当する場合に課税されます。課税要件とは、納税義務者、課税の対象となる取引、その取引金額、適用される税率等を言います。そして、課税要件は法定されている必要があります。これら課税要件を個々の取引に当てはめて、合法的に税金が課されないようにする、ないしは、課される税金が軽減されるように経済行為を行うことを節税行為といいます。経済取引を行うに当たって租税負担の軽減を図ることは自然なことであり、その結果として節税効果が大きかったとしても、過度の租税回避行為として否認することは出来ないと解します。しかし、企業が採用した節税策を過度の租税回避行為として否認する課税処分が増えています。課税庁が否認する根拠はどこにあるのでしょうか。本ブログの11月24日付記事、カテゴリー"租税法解説"「脱税行為」に投稿者、こばやし(しん)さんから"税理12月号(ぎょうせい)「租税回避行為の否認と仮装行為の否認」(品川芳宣)"の論文の紹介がありました。そこで、早速、その論文を読みました。
品川先生の論点は、以下の通りと解します。
1) 租税回避行為については、法人税法132条(同族会社等の行為又は計算の否認)のような否認規定が存しない限り否認できない。
2) 租税回避行為と認められる行為の基因となる法形式を仮装した場合は、租税回避行為を否認できる(仮装行為の否認)。課税要件事実の判定は仮装された(表面上の)事実や法律関係でなく、隠蔽ないし秘匿された(真の)事実や法律関係ですべきであるがその根拠となっている。
しかし、品川先生は節税効果のある私法上の法律行為を安易に仮装行為と認定する昨今の税務執行に懸念を示されています。税務調査では、仮装行為とみられない節税行為であっても実質課税の原則を錦の御旗にして否認してくる事案が少なからずあります。実質課税の原則では、契約書の法形式、および契約書に認められている文言に拘らず、経済的実質に対して課税することが認められる原則です。この"経済的実質に対して課税する"という意味は、仮装行為の否認と同義と解します。"経済的実質に対して課税する"は仮装された事実や法律関係でなく、隠蔽ないし秘匿された事実や法律関係に課税すると読み替えることができるでしょう。しかし、現実は違います。仮装行為がなくても節税効果の大きい取引を否認するために、課税庁は自分たちに都合よく実質課税の原則を解しています。私見ですが、不自然不合理な契約を締結して課される税金が軽減されるような経済行為を仮装行為の否認に準じて否認することは至当と解しますが、不自然不合理でない契約を締結してなされた経済行為が節税効果をもたらした場合、その経済行為を否認することは、実質課税の原則の濫用に当たると解します。
法人税法132条(同族会社等の行為又は計算の否認)および実質課税の原則、それ自体の法人税法上の条文はありませんが、関連する条文として法人税法11条(実質所得者課税)を参考のため引用します。
法132「税務署長は、次に掲げる法人に係る法人税につき更正又は決定をする場合において、その法人の行為又は計算で、これを容認した場合には法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるものがあるときは、その行為又は計算にかかわらず、税務署長の認めるところにより、その法人に係る法人税の課税標準若しくは欠損金額又は法人税の額を計算することができる。
一 内国法人である同族会社
二 イからハまでのいずれにも該当する内国法人
イ 三以上の支店、工場その他の事業所を有すること。
ロ その事業所の二分の一以上に当たる事業所につき、その事業所の所長、主任その他のその事業所に係る事業の主宰者又は当該主宰者の親族その他の当該主宰者と政令で定める特殊の関係のある個人(以下この号において「所長等」という。)が前に当該事業所において個人として事業を営んでいた事実があること。
ハ ロに規定する事実がある事業所の所長等の有するその内国法人の株式又は出資の数又は金額の合計額がその内国法人の発行済株式又は出資(その内国法人が有する自己の株式又は出資を除く。)の総数又は総額の三分の二以上に相当すること。
2 前項の場合において、内国法人が同項各号に掲げる法人に該当するかどうかの判定は、同項に規定する行為又は計算の事実のあつた時の現況によるものとする。
3 第一項の規定は、同項に規定する更正又は決定をする場合において、同項各号に掲げる法人の行為又は計算につき、所得税法第百五十七条第一項 (同族会社等の行為又は計算の否認等)若しくは相続税法第六十四条第一項 (同族会社等の行為又は計算の否認等)又は地価税法 (平成三年法律第六十九号)第三十二条第一項 (同族会社等の行為又は計算の否認等)の規定の適用があつたときについて準用する。」
法11「資産又は事業から生ずる収益の法律上帰属するとみられる者が単なる名義人であつて、その収益を享受せず、その者以外の法人がその収益を享受する場合には、その収益は、これを享受する法人に帰属するものとして、この法律の規定を適用する」
脱税行為とは租税負担を不法に免れる行為を言います。意図的な売上隠し、あるいは架空経費の計上が典型的な脱税行為です。巷間言われていることですが、現金商売をしている企業は、掛売りしている企業に比べて、脱税行為がしやすいと言われています。しかし、経営者にとって脱税しやすい企業は、従業員にとっても横領等がしやすい企業です。現金商売をしている企業は、内部牽制組織を整備することで従業員による不正を減少させることが可能となります。その内部牽制組織の整備は、結果として脱税行為が難しくなる環境も提供します。脱税行為を無くす環境作りは大事と解します。
節税行為(別稿で検討する予定)と脱税行為は明確に峻別すべきです。筆者は、節税行為に対して好意的な方ですが、脱税行為に対しては全く否定的です。節税行為は概念的に刑事罰の対象とすべきでないですが、脱税行為は刑事罰の対象とすべきで、その対象となります。脱税行為に対する法人税法上の罰則規定があります。その罰則規定を下記に引用いたします。
法159「偽りその他不正の行為により、第七十四条第一項第二号(確定申告に係る法人税額)(第百四十五条第一項(外国法人に対する準用)において準用する場合を含む。)に規定する法人税の額(第六十八条(所得税額の控除)(第百四十四条(外国法人に対する準用)において準用する場合を含む。)又は第六十九条(外国税額の控除)の規定により控除をされるべき金額がある場合には、同号の規定による計算をこれらの規定を適用しないでした法人税の額)、第八十一条の二十二第一項第二号(連結確定申告に係る法人税額)に規定する法人税の額(第八十一条の十四(連結事業年度における所得税額の控除)又は第八十一条の十五(連結事業年度における外国税額の控除)の規定により控除をされるべき金額がある場合には、同号の規定による計算をこれらの規定を適用しないでした法人税の額)、第八十二条の十第一項第二号(特定信託の確定申告に係る法人税額)(第百四十五条の八(外国法人に対する準用)において準用する場合を含む。)に規定する法人税の額(第八十二条の六(特定信託に係る所得税額の控除)(第百四十五条の六(外国法人に対する準用)において準用する場合を含む。)又は第八十二条の七(特定信託に係る外国税額の控除)(第百四十五条の七(外国法人に対する準用)において準用する場合を含む。)の規定により控除をされるべき金額がある場合には、同号の規定による計算をこれらの規定を適用しないでした法人税の額)、第八十九条第二号(退職年金等積立金確定申告に係る法人税額)(第百四十五条の十二(外国法人に対する準用)において準用する場合を含む。)に規定する法人税の額若しくは第百四条第一項第二号(清算確定申告に係る法人税額)に規定する法人税の額(第百条第一項(所得税額の控除)の規定により控除をされるべき金額がある場合には、同号の規定による計算を同項の規定を適用しないでした法人税の額)につき法人税を免れ、又は第八十条第六項(欠損金の繰戻しによる還付)(第八十一条の三十一第四項(連結親法人に対する準用)、第八十二条の十五第三項(特定信託に対する準用)、第百四十五条第一項又は第百四十五条の八において準用する場合を含む。)の規定による法人税の還付を受けた場合には、法人の代表者(人格のない社団等の管理人を含む。以下この編において同じ。)、代理人、使用人その他の従業者(当該法人が連結親法人である場合には、連結子法人の代表者、代理人、使用人その他の従業者を含む。第百六十四条第一項において同じ。)でその違反行為をした者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
2 前項の免れた法人税の額又は同項の還付を受けた法人税の額が五百万円を超えるときは、情状により、同項の罰金は、五百万円を超えその免れた法人税の額又は還付を受けた法人税の額に相当する金額以下とすることができる。」
条文の読み方のワンポイントレッスンー当該条文は、税法の条文の典型的書きぶりですが、他の条文の引用が多いため、非常に読み難くなっています。他の条文の引用の部分を取り除いて読んで下さい。他の条文の引用の部分を取り除いた法159は以下の通りです。非常に解りやすくなるでしょう。
「偽りその他不正の行為により、法人税を免れた場合、又は法人税の還付を受けた場合には、法人の代表者、代理人、使用人その他の従業者でその違反行為をした者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
2 前項の免れた法人税の額又は同項の還付を受けた法人税の額が五百万円を超えるときは、情状により、同項の罰金は、五百万円を超えその免れた法人税の額又は還付を受けた法人税の額に相当する金額以下とすることができる。」
低額譲渡に関する解説(本ブログの9月29日付記事、カテゴリー"租税法解説"を参照して下さい)は色々と散見されますが、低額譲受、高額譲渡、高額譲受の解説は少ないです。今回は低額譲受、高額譲渡、高額譲受をまとめて解説いたします。それぞれ似て非なる内容となっています。
独立した当事者間で合意した取引価額は通常「時価」と見做されます。ですから、独立した当事者間で合意した取引から低額譲受、高額譲渡、高額譲受が問題になることは実務上ほとんどありません。法人税法上、それら取引が問題となるのは、支配・被支配関係にある者が行った取引です(法人税法上の「時価」の説明は、本ブログの9月15日付記事、カテゴリー"租税法解説"を参照して下さい)。注意を要する点として、支配・被支配関係にある者の判定は、持分関係のみならず経済的従属関係も考慮されてなされます。税法上、「著しく低い価額による譲渡」という概念があります。しかし、この概念は法人税法上、適用されません。主に所得税上、適用される概念であります。その事申し添えます。
低額譲受
資産を時価より低い価額で譲受けることを低額譲受と言います。
支配・被支配関係にある者から低額譲受が行われた場合、時価と譲受価額との差額が益金に計上されます。例えば、時価100百万円の固定資産を70百万円で購入した場合、譲受人である法人は次の仕訳を行います。
(借方)固定資産 70百万円 (貸方)未払金 70百万円
しかし、税務上の固定資産の取得価額は、時価により100百万円となります。そして、時価と取得価額との差30百万円は受贈益として益金になります。関連条文を参考のため、下記に引用します。
法22?「内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の益金の額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、資産の販売、有償又は無償による資産の譲渡又は役務の提供、無償による資産の譲受けその他の取引で資本等取引以外のものに係る当該事業年度の収益の額とする。」
高額譲渡
資産を時価より高い価額で譲渡することを高額譲渡と言います。
支配・被支配関係にある者から高額譲渡が行われた場合、例えば、時価100百万円、簿価50百万円の固定資産を150百万円で売却した場合、譲渡人である法人は次の仕訳を行います。
(借方)未収入金 150百万円 (貸方)固定資産 50百万円
固定資産売却益 100百万円
税務上の益金は、真の固定資産売却益50百万円(時価と簿価の差額)に、譲受人から贈与された贈与益50百万円が加算されて100百万円となります。結果として、会計上の利益と一致します。よって、高額譲渡の場合、税務上特段の処理は行われません。
高額譲受
資産を時価より高い価額で譲受けることを高額譲受と言います。
支配・被支配関係にある者から高額譲受が行われた場合、例えば、時価100百万円の固定資産を150百万円で取得した場合、譲受人である法人は次の仕訳を行います。
(借方)固定資産 150百万円 (貸方)未払金 150百万円
税務上、簿価は100百万円で、取得価格と時価の差額50百万円は譲渡人への寄付金処理が当該資産取得時の妥当な税務処理と考えます。
実務上、高額譲受が問題になるのは、財政状態の悪い会社の事業を買収し、多額の営業権を譲受会社が計上した場合です。そのような営業権は価値のないものだから、高額譲受をしたと同様であると税務当局は推定します。価値のない営業権と認定された場合、営業権の償却費の損金算入は否認されます。
営業権の償却に関わる関連条文を参考のため、下記に引用します。
法31?(減価償却資産の償却費の計算及びその償却の方法) 「第一項の選定をすることができる償却の方法の種類、その選定の手続その他減価償却資産の償却に関し必要な事項は、政令で定める。 」
法令13八ル(減価償却資産の範囲)無形固定資産として列挙された中に「営業権」
法令48?四(減価償却の方法)「第十三条第八号に掲げる無形固定資産(次号に掲げる鉱業権を除く。)及び同条第九号に掲げる生物 定額法」
補足的ですが、会社法では「営業権」という用語は使用してません。暖簾(のれん)と言う用語が使用されています。会社法の施行により、商法285の7の規定(暖簾の評価)は削除されています。その代わり、会社計算規則11条から29条にのれん(平仮名表記になりました)として計上出来る要件が規定されています。
村田守弘のブログを4月に立ち上げて6ヶ月経ちました。最初はまごつくことも多かったですが、やっと軌道に乗ってきました。ここまで続けられたのは、読者の皆様の温かい声援の賜物です。ありがとうございます。微力ですが、次の6ヶ月、更に次の6ヶ月も頑張り続けたいと思っています。
ところで、この6ヶ月間に次のタイトルの租税法解説をいたしました。
租税法律主義
法源
実質課税の原則
公正妥当な会計処理基準
益金
損金
時価
低廉譲渡ー法人税法上の取扱い
租税法解説では、税法の基礎的概念を示すキィワードを選び、そのキィワードの意味を関連条文と共に説明することを心掛けてきました。この方針は今後と続ける所存です。そして、50個ぐらいのキィワードをカテゴリー"租税法解説"の中に入れることを目標にしています。
ブログ開設6ヶ月を節目と考えご挨拶申し上げます。今後ともご支援のほどお願い申し上げます。
資産を時価より低い価額で譲渡することを低額譲渡と言います。
独立した当事者間で合意した取引価額は通常「時価」と見做されます。ですから、独立した当事者間で合意した取引から低額譲渡が問題になることは実務上ほとんどありません。法人税法上、低額譲渡が問題となるのは、支配・被支配関係にある者が行った取引です(既に法人税法上の「時価」の説明は、本ブログの中でしておりますので、該当するブログ記事を参照して下さい)。注意を要する点として、支配・被支配関係にある者の判定は、持分関係のみならず経済的従属関係も考慮されてなされます。
支配・被支配関係にある者から低額譲渡が行われた場合、時価相当額により益金を計算し、時価相当額と現実の対価との差額は寄付金として取り扱われます。例えば、時価100百万円、簿価50百万円の固定資産を70百万円で売却した場合、譲渡人である法人は次の仕訳を行います。
(借方)未収入金 70百万円 (貸方)固定資産 50百万円
固定資産売却益 20百万円
しかし、税務上の益金は時価相当額により計算しますので、50百万円(固定資産売却益20百万円プラス時価相当から乖離した低額部分30百万円)となります。そして、時価相当から乖離した低額部分30百万円は、先方に寄付をした額と見做され寄付金として処理されます。
法37?「内国法人が資産の譲渡又は経済的な利益の供与をした場合において、その譲渡又は供与の対価の額が当該資産のその譲渡の時における価額又は当該経済的な利益のその供与の時における価額に比して低いときは、当該対価の額と当該価額との差額のうち実質的に贈与又は無償の供与をしたと認められる金額は、前項の寄附金の額に含まれるものとする。」
税法上、「著しく低い価額による譲渡」という概念があります。しかし、この概念は法人税法上、適用されません。主に所得税上、適用される概念であります。その事申し添えます。
法人税法の条文に「時価」と言う言葉を入れて検索すると「時価」と言う言葉が含まれた条文が数多く出てきます。その検索結果は本記事の末尾に記載してます。これだけ時価という言葉が出てきますが、時価は、法人税法上、明確に定義されていませんが、相続税財産評価に関する基本通達で時価の定義が以下のようにされています。
評基通1?「時価とは、課税時期において、それぞれの財産の現況に応じ、不特定多数の当事者間で自由な取引が行われる場合に通常成立すると認められる価額」
私見ですが、この定義は税法の世界で普遍的に通用するものと思料いたします。それでは、"不特定多数の当事者間で自由な取引が行われる場合に通常成立すると認められる価額"の内容が問われます。その内容は「再調達原価(商品を再調達するのにかかるコスト)」あるいは「正味実現可能価額(商品を売却した場合に得られる収入)」と一般的に言われています。前者は買い手の立場から考えた価額で、後者は売り手の立場から考えた価額です。このほか、将来に得られると予想される収入から費用を差し引いたキャッシュフローを、一定の金利で割り引いた割引現在価値が時価を体現すると考える見方があります。つまり、当初の物の値段は立場によって異なり、一物一価ではありません。しかし、取引が行なわれる時点で初めて一物一価になります。そのプロセスは、独立した当事者間("不特定多数の当事者間"を"独立した当事者間"に読み替えます)で交渉して、合意のプロセスを必要とします。このようなプロセスを経て決まった価額は法人税法上、時価と見做されます。
この価格決定プロセスの当事者が支配・被支配関係にあった場合は、"不特定多数の当事者間で自由な取引が行われる場合"の要件を満たさなくなります。そのような価額は時価とは言えません。支配・被支配関係とは、いずれか一方の法人が他方の法人の株式を50%以上所有する親子関係を言いますが、役員の過半数を一方の法人が他方の法人へ派遣している、売上あるいは仕入のいずれかにおいて一方の法人が他方の法人に依存している、資金を一方の法人が他方の法人から借入ているため、実質的に支配・被支配関係が生じている関係を言います。価額決定の当事者が支配・被支配関係にあった場合、そのような支配・被支配関係間で決まった価額は時価であることを当該当事者が立証しない限り、その価額は、時価でないと法人税法上は見做されます。ですから、時価が問題になるのは、支配・被支配関係にある関連者間で行う取引です。
企業買収に関ってきた専門家から「時価の算定とは、算術でなくて芸術である」と聞いたことがあります。各人各様、一物多価の事象を一物一価にするプロセスが時価の算定の本質ではないかと思料いたします。当に、先の専門家の言葉は至言です。
付言すれば、相続税・贈与税が対象とする当事者はすべて支配・被支配関係にある者です。相続税・贈与税は個人を対象としていますので、納税者に立証責任を負わすより、各納税者間での課税額に関る平仄を合わせる観点から、財産評価に関する基本通達で事細かに時価の算定方法が定められていると思料いたします。
損金とは、資本取引(転換社債の株式への転換、減資等)以外の取引により、法人の純資産を減少させる一切の費用・損失をいいます。資産の販売、有償又は無償による資産の譲渡等で、その事業年度の益金に算入された収益の対応する原価、その事業年度の販売費および一般管理費、資本取引以外の取引に係わる損失が損金に該当します。法人税法上、当該損金を規定した条文が法22?、法22?と法22?です。当該条文を引用します。
法22?「内国法人の各事業年度の所得の金額は、当該事業年度の益金の額から当該事業年度の損金の額を控除した金額とする。」
法22?「内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の損金の額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、次に掲げる額とする。
1 当該事業年度の収益に係る売上原価、完成工事原価その他これらに準ずる原価の額
2 前号に掲げるもののほか、当該事業年度の販売費、一般管理費その他の費用(償却費以外の費用で当該事業年度終了の日までに債務の確定しないものを除く)の額
3 当該事業年度の損失の額で資本等取引以外の取引に係るもの」
法22?「第二項に規定する当該事業年度の収益の額及び前項各号に掲げる額は、一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従って計算されるものとする。」
法22?を読んだ時、二つの点に留意する必要があります。ひとつは「別段の定めがあるものを除き」の文言です。もうひとつは「償却費以外の費用で当該事業年度終了の日までに債務の確定しないものを除く」の意味です。
別段の定めがあるとは、別の条文に他の取扱いが定められていると言う意味です。法22?の「別段の定めがあるものを除き」は、損金不算入を意味しています。別段の定めがある主なものに、資産の評価損の損金不算入等(法33)、特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入(法35)、寄附金の損金不算入(法37)、法人税額等の損金不算入(法38)、交際費等の損金不算入(措置61の4)があります。
もうひとつの「償却費以外の費用で当該事業年度終了の日までに債務の確定しないものを除く」は、税務調査で一番課税庁が問題にする取扱いです。次の要件すべてに該当する費用は債務が確定していると法令解釈(法人税基本通達2?2?12"本ブログ内で既述していますが、通達は法源でないことに留意して下さい")を課税庁はしています。
(1) 当該事業年度終了の日までに当該費用に係る債務が成立していること。
(2) 当該事業年度終了の日までに当該債務に基づいて具体的な給付をすべき原因となる事実が発生していること。
(3) 当該事業年度終了の日までにその金額を合理的に算定することができるものであること。
しかし、実際の税務調査においては、上記(3)の「金額を合理的に算定」を「金額が確定」に読み替えて、納税者がたとえ費用を合理的に算定しても、当該費用の金額が確定していないと言う理由でその費用の損金性を否認します。企業会計原則に従った会計処理によって認識された費用が通達行政によって歪められている事例が少なからず散見されます。法22?での公正妥当な会計処理の基準は実務の上では軽視されていると言わざるを得ません。公正妥当な会計処理の基準に関しては、既に本ブログで議論しています。そのブログ記事を参照して下さい。
実質課税の原則は、税法の解釈・適用に当たって常に留意を要する原則です。名義株の課税上の取扱いが古典的実質課税の取扱いと考えられます。名義株の配当所得の帰属は名義人でなく、真の所有者に帰属することを法人税法上および所得税法上定めています。これを実質所得者課税の原則と呼んでいます。 当該条文を引用します。
法11「資産又は事業から生ずる収益の法律上帰属するとみられる者が単なる名義人であつて、その収益を享受せず、その者以外の法人がその収益を享受する場合には、その収益は、これを享受する法人に帰属するものとして、この法律の規定を適用する」
所12「資産又は事業から生ずる収益の法律上帰属するとみられる者が単なる名義人であって、その収益を享受せず、その者以外の者がその収益を享受する場合には、その収益は、これを享受する者に帰属するものとして、この法律の規定を適用する。」
経済取引がグローバル化され、複雑になるにつれて税法の解釈に齟齬が納税者と課税庁の間に見られるようになります。そこで、「実質課税の原則とは何か」がグローバル取引では多く問われるようになります。近年、話題となる税務訴訟は多かれ少なかれ実質課税の原則が争点となっています。種々の租税法の文献で述べている実質課税の原則を集約すると以下の4つになると思います。
(1)上述の実質所得者に課税する
(2)契約書の法形式、および契約書に認められている文言に拘らず、経済的実質に対して課税する
(3)税法の解釈を文理解釈でなく、論理解釈も行った上で課税する
(4)租税負担回避のために不自然不合理な行為がなされた場合、これを否認し、通常とられるであろう行為を以って課税する
上記(2)?(4)に対して付言します。先ず上記(3)に関して、課税庁は税法の論理解釈を無視する傾向があります。移転価格税制(措置66の4)の本質は、国外関連者との取引は独立企業間価格で行うことにあると思料します(論理解釈)。しかし、措置66の4の書き振り「・・支払いを受ける対価の額が独立企業間価格に満たないときは・・独立企業間価格で行われたものとみなす」(文理解釈)を盾に、逆のケースを認めません。しかし、ビジネスは生き物です。ある年は厳しくても、翌年は価格が改善されることがあります。たとえ、翌年、輸出価格が改善されても(支払いを受ける対価の額が独立企業間価格を超える)、前年課税した税金を還付することはしません。移転価格税制の分野では、税法の解釈を文理解釈でなく、論理解釈も行った上で課税するという実質課税の原則が無視されていると言わざるを得ません。次に、上記(2)と(4)は、課税庁にとって好ましくない取引を課税するための都合の良い論理に利用されています。租税法律主義の見地から考えれば、上記(2)と(4)の適用は、出来るだけ狭義に解して運用すべきであるのに、現実は当該実質課税の原則を課税庁は広義に解しております。このような事態は大変由々しいことです。あるべき実質課税の原則確立のためには、訴訟の場で争う必要があるようです。
法源とは裁判官が判決理由とする法的判断の根拠となる規範です。日本法であれば憲法や法律が代表的法源となります。
税の分野では所得税法、法人税法、消費税法が代表的な法律です。法人税法を例にした場合、我々は常々、法人税法、法人税法施行令、法人税法施行規則、法人税法基本通達、法人税法個別通達を参照し、場合によっては租税条約も参照して、ある取引の法人税法上の取り扱いの判断をしています。租税法律主義の下における法源を理解するにあって重要なことがあります。それは、法人税法基本通達、法人税法個別通達の取り扱いです。通達は法令でなく、単に税務当局の内部おいて示達されものに過ぎません。よって、税務当局の職員には拘束力がありますが、国民には直接拘束力を持つものではありません。つまり、通達は租税法律主義の下における法源を構成していません。よって、税務訴訟において裁判所は、税務当局が課税の根拠とした通達に判断を下すのではなく、課税要件事実と関連する法源と照らし合わせて判断をいたします。
法源という観点で、減価償却を考えてみます。税務上償却できる減価償却の額の限度は法人税法(法31?)と法人税法施行令(法令58?)に定められています。
法31? 「内国法人の各事業年度終了の時において有する減価償却資産につきその償却費として第二十二条第三項(各事業年度の損金の額に算入する金額)の規定により当該事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入する金額は、その内国法人が当該事業年度においてその償却費として損金経理をした金額(以下この条において「損金経理額」という。)のうち、その内国法人が当該資産について選定した償却の方法(償却の方法を選定しなかつた場合には、償却の方法のうち政令で定める方法)に基づき政令で定めるところにより計算した金額(次項において「償却限度額」という。)に達するまでの金額とする。」
法令58? 「内国法人の有する減価償却資産(各事業年度終了の時における確定した決算に基づく貸借対照表に計上されているもの及びその他の資産でその取得価額を償却費として損金経理をしたものに限る。以下この目において同じ。)の各事業年度の償却限度額は、当該資産につきその内国法人が採用している償却の方法に基づいて計算した金額とする。」
法31?の後段の"政令で定めるところにより計算した金額"が意味する政令は法令58?です。更に減価償却限度に関する通達があります。ですから、たとえ法31?及び法令58?に納税者が準拠していても、税務当局が通達を拠りどころにして課税することがあります。そのような場合、裁判所は通達の適否の判定でなく、法31?及び法令58?への準拠性に対する判断を下します。

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