Entries tagged with “租税法” from 公認会計士・税理士 村田守弘のブログ

課税標準

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租税法解釈ー税法の基本概念のひとつである「課税標準」を説明しています。

課税標準は、課税物件を金額、価額、数量等で表わしたものです。金額ないし価額を課税標準として課される租税を従価税といい、数量を課税標準として課される租税を従量税といいます。所得税においては、課税物件は所得であり、課税標準は所得金額です。各税における課税標準は以下の通りです。

  • 法人税ー法人の所得金額
  • 所得税ー個人の所得金額
  • 相続税ー取得した資産の価額
  • 贈与税ー取得した資産の価額
  • 消費税ー資産の譲渡、サービスの提供の対価の額
  • 酒税ー酒類の移出量

課税標準は税額算定の直接の基礎となります。法人税、所得税では課税標準の認定が複雑ですですので、課税標準確定のためには特別の手続(決算書の作成、申告調整等)が必要となります。税務調査で主に調べられるのは、課税標準の妥当性です。

課税物件の帰属

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租税法解釈ー税法の基本概念のひとつである「課税物件の帰属」を説明しています。

課税物件納税義務者との結びつきを課税物件の帰属と言います。課税物件とは課税の対象となる物、行為または事実を言います。課税物件の解説は、本ブログ5月18日記事は参照して下さい。納税義務者とは納税義務の主体、つまり、税金の支払義務のある者を言います。納税義務者の解説は、本ブログ4月13日記事を参照して下さい。

課税物件の帰属について特に問題となるのは、名義と実体、形式と実質が一致しない場合です。名義株の課税上の取扱いが古典的実質課税の取扱いと考えられます。名義株の配当所得の帰属は名義人でなく、真の所有者に帰属することを法人税法上および所得税法上定めています。これを実質所得者課税の原則と呼んでいます。 該当する条文は法人税法第11条、所得税法第12条です。参考のため、法人税法11条を下記に引用します。 

経済取引がグローバル化され、複雑になるにつれて課税物件の帰属に関して納税者と課税庁の間に意見の齟齬が見られるようになります。近年、話題となる税務訴訟は多かれ少なかれ課税物件の帰属に関する争いであることを申し添えます。

 

 

課税物件

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租税法解釈ー税法の基本概念のひとつである「課税物件」を説明しています。

課税物件とは課税の対象となる物、行為または事実をいいます。課税物件は課税客体とも呼ばれています。 何が個別の租税の課税物件であるかは、それぞれの税法に定められています。それぞれ税法の課税物件は以下の通りです。

  • 法人税ー法人の所得
  • 所得税ー個人の所得
  • 相続税ー取得した資産
  • 贈与税ー取得した資産
  • 消費税ー資産の譲渡、サービスの提供

何を課税物件にするかは、立法者が自由に決定しうる事柄ですが、客観的に把握できるような物・行為でなければならないです。また、公益上の必要、徴収の困難、担税力の薄弱等より、課税の対象となる物、行為または事実のうち、特定のものを法令上課税の対象から外すことがあります。これを物的非課税と呼びます。その一例として、所得税第9条(非課税所得)で定めた内容があります。所得税法上、会社から支給された転勤費用、給与に加算される通勤手当、外国政府に勤務する者の給与所得、文化功労者に支払われる年金、ノーベル賞の賞金等は非課税所得になります。 所得税第9条を下記に引用します。

 

 

 

納税義務者

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租税法解釈ー税法の基本概念のひとつである「納税義務者」を説明しています。

納税義務者とは、納税義務の主体、つまり、税金の支払義務のある者を言います。納税義務者は納税主体あるいは納税者とも呼ばれています。納税義務者と担税者(税を最終的に負担する者)は多くの場合一致しますが、必ずしも一致しません。一致しない例として消費税があります。消費税の場合、消費税を負担する者は最終消費者ですが、納税義務者は最終消費者ではなく、最終消費者に物を販売した者、あるいはサービスを提供した者です。

自然人および法人が納税義務の主体と考えられますが、実際の経済社会では、種々の事業体があります。そのような事業体での納税義務者の判定が近年、重要な問題となってきています。それは、パス・スルー課税問題とか構成員課税問題と称されています。パス・スルー課税問題は別稿で検討する予定にしております。

納税義務者を無制限納税義務者と制限納税義務者とに分けることができます(金子宏著「租税法」第11版149頁)。

無制限納税義務者とは、わが国に住居または居所を有するため、いわば人的にわが国の課税権に服し、国内に源泉があるか国外にあるかを問わず、それに帰属する課税物件のすべてに納税義務を負う者をいいます。

制限納税義務者とはわが国に住居または居所はないが、財産や事業を有するため、その限度でいわば物的にわが国の課税権に服し、国内の源泉のある課税物件についてのみ納税義務を負う者をいいます。

法人税での内国法人が無制限納税義務者であり、外国法人が制限納税義務者となります。

監査法人、税理士法人の社員(パートナーと称される)は無限責任社員です。納税義務者の観点から、監査法人、税理士法人の社員は第二次納税義務者となります。本来の納税義務者である監査法人、税理士法人が納税を滞納し、その財産につき滞納処分してもなお徴収不足がある場合、第二次納税義務者として監査法人、税理士法人の社員は、連帯して納税の責任を負います。同様な法人形態である合名会社の社員、合資会社の無限責任社員も第二次納税義務者となります。

課税要件

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租税法解釈ー税法の基本概念のひとつである「課税要件」を説明しています。

課税要件とは、納税義務の成立する要件のことです。つまり、その要件が充足されることで納税義務が成立するという要件です。次の例が納税義務の成立する要件を明確に示していると考えます。「あなたが稼いだ所得は5千万円であるので、37%の税率で税金が課せられる」です。この例を分析します。あなた(納税義務者)が稼いだ所得(課税物件)は5千万円(課税標準)であるので、37%の税率(税率)で税金が課せられます。あなたが稼いだ所得だから、あなたに帰属します(課税物件の帰属)。上記の五つの課税要件、つまり

  1. 納税義務者
  2. 課税物件
  3. 課税物件の帰属
  4. 課税標準
  5. 税率

これらは、所得税、法人税、消費税等すべての税に共通な課税要件です。納税義務者を例にとれば、所得税の納税義務者は個人で、法人税の納税義務者は法人で、消費税の納税義務者は事業者です。 課税要件に関する大事な概念に、課税要件法定主義課税要件明確主義があります。これは租税法律主義(憲法30条および84条)の内容の大事な部分を構成するものです。

課税要件法定主義とは、課税要件のすべてと租税の賦課、徴収の手続は法律によって規定されなければならないとするものです。課税要件明確主義とは、税法の規定も、その委任を受けた政省令の規定も可能な限り一義的で、しかも明確でなければならないとするものです。税法の規定が納税者に判り易く書かれていれば、税法の中に不確定な概念が入り込む余地がなくなります。それによって行政庁の自由裁量も排除できます。 したがって、納税義務者、課税物件、課税物件の帰属、課税標準、税率の課税要件は法律、またはその委任に基づく政令等によって明確に定めれていることが求められます。

憲法30条および84条を下記に引用いたします。

公正妥当な会計処理の基準

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公正妥当な会計処理の基準は、企業会計において公準とも考えられる基準です。その基準が最も顕著にあらわれるのは、会計監査人による監査証明の場面においてです。無限定意見書の監査証明の前提として要請される基礎的な命題が公正妥当な会計処理の基準と継続適用の原則(一度採用した公正妥当な会計処理は正当な理由のないかぎり変更できない原則)です。公正妥当な会計処理の基準の拠り所となるのが企業会計原則です。企業会計原則を敷衍して生まれる種々の会計処理が会計慣行を形成していきます。実務的には、意見書とか注解の形式をとって逐次詳らかにされた会計処理が会計慣行となります。

企業会計の利益を基礎として、税法上特別な取り扱いを定めた会計処理(税法では「別段の定め」と称する。「別段の定め」の例として交際費の取り扱い)を反映させて法人の所得(益金ー損金)は算定されます。企業会計の利益は法人の所得の基礎となることから、企業会計の利益は正しくあるべきです。そのため、法人税法上、当該公正妥当な会計処理の基準を規定しています。その条文が法22?です。当該条文を引用します。

法22?「第二項に規定する当該事業年度の収益の額及び前項各号に掲げる額は、一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従つて計算されるものとする。」

会社法において、企業会計の利益は正しくあるべきという規範は税法と同じくらい大事です。よって、会社法においても公正妥当な会計処理の基準を規定した条文があります。その条文は会431です。当該条文を引用します。

会431「株式会社の会計は、一般に公正妥当と認められる企業会計の慣行に従うものとする。」

私のブログへのコメント「法人税法は租税法であるところ、国会の審議・議決という過程を経ていない会計基準に法人所得の計算の基本メカニズムを委ねてしまっている点で、法規範性いう観点からみるとちょっと「ねじれ構造」が生じてしまっているかのようにも見えます(こばやしー2006.06.02)」は大変興味あるものです。私見を述べさせてもらいます。会計の本質は慣行です。その慣行に従って企業の経済活動の結果は算定されます。会計の世界では、世の中で受け入れられない慣行は順次捨象され、受け入れられる慣行だけが残るというプロセスが常に行なわれています。このようなプロセスを経て残った会計慣行が公正妥当な会計処理となります。世の中で客観的に受けいれられるものには、規範性があると思料します。会計原則そのものは法律ではないですが、法規範に準じると考えて問題ないと考えます。その観点に立てば、制度の中に「ねじれ構造」があるとは言い切れないです。

益金

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益金とは、資本取引(新株の発行、転換社債の株式への転換、減資等)以外の取引により、法人の純資産を増加させる一切の収益をいいます。資産の販売、有償又は無償による資産の譲渡、有償又は無償による役務の提供、無償による資産の譲受け、その他の取引で資本等取引以外のものに係わる収益が益金に該当します。法人税法上、当該益金を規定した条文が法22?と法22?です。当該条文を引用します。

法22?「内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の益金の額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、資産の販売、有償又は無償による資産の譲渡又は役務の提供、無償による資産の譲受けその他の取引で資本等取引以外のものに係る当該事業年度の収益の額とする。」

法22?「第二項に規定する当該事業年度の収益の額及び前項各号に掲げる額は、一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従つて計算されるものとする。」

法22?を読んだ時、二つの点に留意する必要があります。ひとつは「別段の定めがあるものを除き」の文言です。もうひとつは「無償による種々の取引とその他の取引」の意味です。別段の定めがあるとは、別の条文に他の取扱いが定められていると言う意味です。法22?の「別段の定めがあるものを除き」は、益金不算入を意味しています。別段の定めがある主なものに受取配当金の益金不算入(法23)、資産の評価益の益金不算入(法25)、還付金等の益金不算入((法26)があります。もうひとつの「無償による種々の取引とその他の取引」は問題の多い取扱いです。当該取引の収益認識時点の要件が現在のところ確立していません。最近最高裁判決がでた旺文社事件は、無償による取引の取扱いについて納税者と課税庁が争った事件ですが、判決文を読む限り、当該取引の収益認識のための要件は何かに踏み込まないまま判断が下されたと思料いたします。「無償による種々の取引とその他の取引」は今後も税務訴訟の主たる争点のひとつとなるでしょう。

法22?では公正妥当な会計処理の基準が述べられています。特に実務上注意すべき点として、企業会計原則に従った会計処理によって認識された収益は、法人税法法22?でいう公正妥当な会計処理の基準と必ずしも一致しない可能性があります。公正妥当な会計処理の基準は大事な概念ですので、別の機会に議論したいと考えています。

租税法律主義

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租税法律主義というと税法がその概念の拠り所になっている考える人が多いと思います。しかし、租税法律主義の根拠条文は日本国憲法にあります。日本国憲法の第30条と84条が租税法律主義の根拠となっています。この二つの条文を引用します。

憲30条 「国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負ふ。」
憲84条 「あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法律の定める条件によることを必要とする。」
したがって、納税義務者(税金を払う法人あるいは個人)、課税物件(課税の対象となる取引)、課税標準(課税対象となる金額あるいは数量)、税率、納付の方法、納付の期日は法律に明記される必要があります。それは日本国憲法の第30条と84条が求める要件です。租税法律主義が貫かれることによって、国民は経済活動の結果生じる負担すべき税額を予測することができます。つまり、経済生活を営む上で法的安定性が保障されます。租税法律主義ゆえ、課税庁が自由裁量で課税する権利は与えられていません。また、法人税、所得税、消費税等の税法の条文の中に不確定概念を残すことは極力排除しなければなりません。

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