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21世紀の税制改革

 

あるべき税制を観念的に議論しても有効な解決の糸口は見えないと考え、出来るだけ客観的データに基づいてあるべき税制を5回連載で検討しました。本テーマのブログ記事を一括してPDFにまとめました。ご利用いただければ幸いです。

21世紀の税制改革 - あるべき税制を観念的に議論しても有効な解決の糸口は見えないと考え、出来るだけ客観的データに基づいてあるべき税制を検討します。本テーマのブログ記事5回目(まとめ)です。

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上の表では、国債の残高の推移を折れ線グラフで示しています。平成19年度末(見込み)の残高は普通国債が547兆円、財政融資資金特別会計国債が143.2兆円あります。つまり、国債の残高は合計690.2兆円です。その他にも国の借入金等が202兆円あまりあります。その結果、国債・借入金残高は892.2兆円と天文学的数値です。

平成15年の国債の残高は、普通国債が457兆円、財政融資資金特別会計国債が91.7兆円です。その時点での国債・借入金残高は703兆円でした。僅か4年間で200兆円近くも国の借金が増えています。穴の空いた桶状態です。棒グラフは、一般会計と特別会計の歳出の推移を示しています。一般会計の歳出の半分以上が特別会計に振り替えられています。その結果、毎年200兆円近い金額が特別会計の歳出となっています。

特別会計というブラックボックスに200兆円という多額の金額が流れ込み、国民の知らないところで費やされています。特別会計を運営する事業が如何に杜撰に営まれているかに関して記述した記事(川本裕子氏による「経済を見る眼」週刊東洋経済20071110日号)を引用させてもらいます。「・・・社会保険は官の事業の現場だが、そこには社会主義的な非効率や無責任が蔓延し、国民の大事な資産を預かり管理するという緊張感が感じられなかった。・・・職員団体の関心は自らの待遇改善に偏り、内向きで規律の緩んだ職場を作り上げた。・・・情報開示の徹底による透明性と、現代的なマネジメントの導入による説明責任の強化が今後の改革の柱だ。」

また、1115日本経済新聞社説「歳出改革を無視した道路財源の温存案」を下記に添付します。この社説を読むと、特別会計というブラックボックスが一人歩きしていることが分かります。

最近よく言われているプライマリバランスとは、国の借金が増えない状態を言います。平成19年度の一般会計の公債発行額は25.4兆円です。つまり、税収が4兆円前後増えれば、それは歳入増となるため、公債発行額を4兆円減らすことが出来ます。その結果、公債発行額21兆円で済みます。そうすると国債費21兆円とバランスがとれ国の借金増加にストップがかかります。景気回復により税収が平成14年以降増えています。この好景気が数年続けば税収の増加によりプライマリバランスは達成できます。しかし、690.2兆円の国債の残高は減りません。

そこで注意すべき点は、プライマリバランスの議論を少子高齢化と若年層の格差問題と混同すべきでないことです。プライマリバランスは財政再建の道標に過ぎません。財政再建は、特別会計から無駄をなくすことで可能になると思料いたします。しかし、少子高齢化と若年層の格差問題は、現状の人口構成、所得構成がドラスティックに変更する事態における急激な歳出の増加をもたらします。先ず、財政再建について検討いたします。OECD21カ国のデータを分析した結果、財政再建は増税ではなく、歳出削減および税の自然増が効果的であることを実証的分析が証明しています。国民は直感的に歳出削減の余地が未だあるのではないかと考えています。そのためには連結ベース予算編成をすることが大事と考えます。

企業会計が単体決算の時代は、子会社を利用した粉飾決算が日常茶飯事でした。それが連結決算に制度が代わった結果、子会社を利用した粉飾決算はなくなりました。

国の予算も単体決算(一般会計)から子会社(特別会計)も含めた連結決算(一般会計と特別会計の歳入・歳出を合算して、重複計上されている歳入・歳出を相殺処理したもの)で予算編成することが急務と解します。連結ベース予算編成をすることで、国全体の歳入・歳出の内容が国民に詳らかされ、不急不要な事業が予算から削られます。209兆円の国家予算の10%ぐらい歳出カットすることは可能と考えます。財政再建は、予算の適正開示と抵抗勢力(族議員、官僚)を駆逐することで達成可能です。

財政再建の努力が見られない状態で、少子高齢化と若年層の格差問題がもたらす急激な歳出の増加を補填するための消費税税率のアップの議論は、木を見て森を見ない議論に思われます。

無題ドキュメント

21世紀の税制改革 - あるべき税制を観念的に議論しても有効な解決の糸口は見えないと考え、出来るだけ客観的データに基づいてあるべき税制を検討します。本テーマのブログ記事4回目です。

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平成19年度の税収は53.5兆円で、不足分は国債の発行で埋め合わされていることを議論してきました(平成191012日付け本ブログ記事を参照ください)。左記の表を見てください。特別会計だけで154兆円という巨額な歳入があります。その結果、一般会計と特別会計の歳入合計額が234.9兆円になります。

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歳出の表も見てください。一般会計と特別会計の歳出合計額が209.0兆円で、一般会計の歳出82.9兆円の内、49.4兆円は特別会計に振り返られています。その結果、特別会計の歳出は175.4兆円と想像を超える金額になっています。平成19年度の国家予算というと82.9兆円を我々は想像しますが、実際はもっともっと大きな金額です。日本の国家予算は209.0兆円です。特別会計というブラックボックスに多額の金額が流れ込み、国民の知らないところで費やされています。

特別会計について検討してみます。わが国の憲法は、一般会計と特別会計を区別していません。また、内閣による予算作成、国会の予算承認、決算の検査等においても一般会計と同様の取扱いがなされることが予定されています。しかし、現実は大きく異なります。

国が行う特定の事業や資金の運用の目的のために現在31の特別会計があります。例えば、国民が払う厚生年金、国民年金、健康保険料は関連する保険事業特別会計(9つある)の歳入となり、国民に還元される年金、健康保険がその特別会計の歳出となります。そして今や伏魔殿(?魔物が隠れている殿堂、?陰謀や悪事が常に行われている所)の様相を呈している社会保険庁が厚生年金、国民年金、健康保険料の管理・運営を行っています。また、今話題の揮発油税は道路特定財源として公共事業特別会計(5つある)の歳入となります。

特別会計に関わる問題がいくつかあります。

l 31の特別会計の資金の流れは複雑怪奇で実態を把握することは、ほとんど不可能なこと。

l ある特別会計に生じた剰余金が、効率的運用されない可能性が高いこと。

l 国民による監視が不十分になって不急不要な事業が行われること。

l 国民の信頼を裏切る不正が行われる温床になること。

一般会計の歳入不足、更に低所得者層の人々に対するセーフティネットの付与、高齢者の年金、医療負担増大に対処するには所得税あるいは消費税を10%ぐらい上げるという議論が現実味を帯びてきています。しかし、国民は馬鹿ではありません。直感的になにか公になっていない情報があるのではないかと感じています。それが不明朗な特別会計にあります。その予算は効率的に運用されているのか、あるいは削減できる歳出はあるか否かを国民に詳らかに説明することが必要です。

財務省の作成した「特別会計のはなし」を読むと10?20兆円レベルでの特別会計の歳出削減の可能性が示唆されています。しかし、既得権を手にした族議員、官僚の抵抗によって特別会計の歳出削減の話が葬り去られる可能性は非常に大きいです。我々は、現状の財政規模を受け入れて増税を受け入れるのか、あるいは特別会計を含めた財政の抜本的見直しを求め、その結果、不足する財源があれば増税も受け入れるのかの選択が求められていると思料します。

来るべき衆議院議員選挙で、上記選択を選挙民である我々は迫られていると解します。

21世紀の税制改革ーあるべき税制を観念的に議論しても有効な解決の糸口は見えないと考え、出来るだけ客観的データに基づいてあるべき税制を検討します。本テーマのブログ記事3回目です

税負担

上の表を見てください。

高所得者層は所得33兆円の内4兆円の税金を、

中所得者層は所得53兆円の内2.5兆円の税金を、

標準所得者層は所得78兆円の内2.5兆円の税金を、

低所得者層は所得30兆円の内0.7兆円の税金を

支払っています。

 

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これを負担している税率に

引きなおした表が左の表です。

高所得者層は所得の12.6%を、

中所得者層は所得の4.7%を、

標準所得者層は所得の3.2%を、

低所得者層は所得の2.2%を

所得税として支払っていること

を意味しています。

この統計数値には国民が負担した消費税の額は含まれていません。消費税の負担額を加算する必要があります。所得の低い人は、収入の大部分を生活費に費やしてしまいます。つまり、所得の大部分が消費税5%の対象になります。しかし、所得の高い人は、必ずしも所得のすべてを生活費に費やす必要がありません。つまり、所得の一部分しか消費税5%の対象になりません。そのような影響を考慮した消費税の推定負担額を所得税負担額に加算すると、高所得者層は14?16%、それ以外のすべての層の人は7?8%の所得税と消費税を負担していることになります。

高所得者層の税負担が低すぎるのではないかと言う疑問を持つ読者の方が多いと思いますが、これは誤解です。年収が2,000万円を超えると50%の所得税が課されます。年収が2,100万円ですと、2,000万円までの所得に対する所得税の実効税率は14%ぐらいですので税額にすると280万円です。2,000万円を超えた部分の100万円に対して50%の所得税が課されますのでその税額は50万円です。その結果、2,100万円の所得に対する所得税は330万円になります。その時の実効税率は14.8%です。同様な計算を年収1億円の所得に対してすると、所得税の実効税率は42.8%になります。それに消費税を加えれば所得の45%近く税を負担していることとなります。

私見ですが累進最高税率50%(所得税40%および住民税10%)をそれ以上に上げる増税は適切でないと考えます。わが国所得税の問題は消費税の導入・引き上げのため、所得税の課税ベースを縮小したことです。消費税の導入・引き上げに対する国民の理解を得るために、所得税の課税ベースの縮小(所得控除の拡大)が行われてきました。その結果、今の所得税法は、"底に幾つもの穴の空いた桶"、すなわち、課税ベースが穴だらけの状態です。すべての層にわたって所得税の税負担が非常に低いことが"底に幾つもの穴の空いた桶"状態の証左です。所得税の課税ベースの見直しをして公正な税制を構築することが大事と思料します。所得税の税率1%は2兆円ぐらいの税収の効果があります。結果として増税になるにしても公正な税制であれば国民に受け入れられるものと信じます。

これから10年の内に、低所得者層の人々にセーフティネットを与えることで10兆円、高齢者の年金、医療で10兆円から20兆円が必要になる可能性が十分あります。上記数値は、まったく根拠のない数値ですが、中(あた)らずと雖(いえど)も遠からずと思います。ですから、所得税あるいは消費税を10%ぐらい上げるという議論が現実味を帯びることは必至と考えます。

高所得者層を年収1,000万円超、中所得者層を600万円超?1,000万円以下、標準所得者層を300万円超?600万円以下、低所得者層を300万円以下と定義して表を作成しました。更に年収100万円以下の層を重度セイフティネット(生活保護等の公的援助のこと)必要低所得者層、100万円超?200万円以下を中度セイフティネット必要低所得者層、200万円超?300万円以下を軽度セイフティネット必要低所得者層と低所得者層を細分化しました

21世紀の税制改革ーあるべき税制を観念的に議論しても有効な解決の糸口は見えないと考え、出来るだけ客観的データに基づいてあるべき税制を検討します。

 

年収200万円以下、1000万人超える」と言うセンセーショナルな記事がありました。ここに朝日新聞(20070928日)の記事を引用します。

「民間企業で働く会社員やパート労働者の昨年1年間の平均給与は435万円で、前年に比べて2万円少なく、9年連続で減少したことが国税庁の民間給与実態統計調査で分かった。年収別でみると、200万円以下の人は前年に比べて42万人増え、1023万人と21年ぶりに1000万人を超えた。一方、年収が1000万円を超えた人は9万5000人増加して224万人となり、格差の広がりを示す結果となった。年収300万円以下の人の層は5年前の34.4%から年々増加しており、昨年は全体の38.8%を占めた。男女別では、年収が300万円以下の男性は21.6%と5年前から4.6ポイント増え、女性は66.0%で5年前から2.3ポイント増えた。アルバイトや派遣社員など給与が比較的少ない非正規雇用者が増えている状況を浮き彫りにした格好だ。」

上記記事で引用されている国税庁の民間給与実態統計調査によりますと、平成181231日現在の給与所得者数は、5,340万人でした。その平均給与は男性539万円、女性271万円で、男女をあわせた平均給与は435万円でした。

次のグラフを見てください。

seftynet.png私は、高所得者層を年収1,000万円超、中所得者層を600万円超?1,000万円以下、標準所得者層を300万円超?600万円以下、低所得者層を300万円以下と定義して表を作成しました。更に年収100万円以下の層を重度セイフティネット(生活保護等の公的援助のこと)必要低所得者層、100万円超?200万円以下を中度セイフティネット必要低所得者層、200万円超?300万円以下を軽度セイフティネット必要低所得者層と低所得者層を細分化しました。私の定義による重度セイフティネット必要低所得者層と中度セイフティネット必要低所得者層が1000万人を超えたことを新聞では言っています。

 

表の内容を金額表示しますと、高所得者層の所得総計は33兆円、中所得者層の所得総計は53兆円、標準所得者層の所得総計は78兆円、低所得者層の所得総計は30兆円です。意外に高所得者層の所得総計が少ないことに驚かせられます。格差社会の是正と言うと高所得者層の負担で低所得者層にセイフティネットを提供すべきと考え勝ちですが、所得金額から考えると年収300万円超の人々すべてが応分の負担をする必要があります。しかし、自己責任を放棄する社会の風潮があります。それは上記のような鳥瞰図的客観的データが提供されていないことに大きな原因があると思料します。

 

21世紀の税制改革ーあるべき税制を観念的に議論しても有効な解決の糸口は見えないと考え、出来るだけ客観的データに基づいてあるべき税制を検討します。

最近のマスコミの報道は大衆を馬鹿にした内容が横行していることに憂慮しております。

特にテレビの報道特集と称する番組はヒドイです。しっかりした論客が居て、狂言回しとしてタレントが参加し、タレントがデタラメな、あるいは感情的な意見を述べるのであれば未だ救えるのですが、主客転倒してタレントが主役になり、狂言回しに浅薄な知識を恥じない評論家が番組に出ています。その結果、民意というものは井戸端会議程度の議論で醸成されていきます。それほどマスコミの力が強いです。民意が非常に近視眼的になっていることを憂慮いたします。

これから数回、今話題になっている年金問題、格差問題の根幹にある事柄を客観的データに基づき分析してみたいです。私見ですが、客観的データは根本的解決の糸口を与えてくれると考えます。

次のグラフを見てください。sainyusyutu2.png

 

平成19年度の歳出は82.9兆円です。歳入(みなさまの払う税金の総計)は53.5兆円です。公債発行額25.4兆円は歳入不足を借金で賄うために国債が発行されます。そして高齢化進展に伴う社会保障費(年金、医療費、福祉等)21.1兆円、国債費(借金の返済)21.0兆円地方交付税(地域格差調整の交付金)14.9兆円が歳出の3分の2以上を占める支出です。公債発行額の棒グラフが常にプラスであることは国債残高が増加傾向であることを示唆しています。グラフが示す情報から我々が検討すべき課題は何かが見えてきます。

* 65歳以上の人2,500万人が25年後には3,600万人に増える状況下で社会保障費の削減、つまり歳出削減は可能なのか?
* 年収200万円以下の人が1,000万人を超えた状況下で社会保障費の削減、つまり歳出削減は可能なのか?
* 歳入不足は如何にして補うのか?

次回以降これら課題について実証的に検討したいです。

税制改革ー若年層の格差が問題となっています。その格差解消の施策のひとつとしての「給付つき税額控除制度」を説明します。

租税研究(日本租税研究協会発行)2006年11月号に掲載され中央大学法科大学院教授、森信茂樹先生の記事「格差問題と税制」は興味ある内容ですので、ここで簡単に紹介させてもらいます。

全国消費実態調査によりますと、ひとつは若年層の格差が拡大してきています。もうひとつは高年齢の格差です。会社生活を続けていれば勝ち組と負け組みに分かれて、ある程度高齢者間での格差が生じることは、已む得ないことかもしれません。しかし、極端な格差が生じることは問題です。

少子化解消のためには、若年層の格差解消の施策をとることが大事です。若年層の格差は非正規雇用やフリーターの増加から生まれてきています。それらの人々の年収(200?300万円)では結婚できません。これが更なる少子化に結びつくという悪循環になります。そこで、森信先生は、若年層の格差にポイントをおいて議論を進めています。税・社会保障の所得再分配機能を利用した格差解消策として、森信先生は「給付つき税額控除制度」の提案をしています。

給付つき税額控除制度とは、ある一定以下の所得水準の家庭には生活保護を給付する。そして、その家庭の所得が上がっても、一定の所得水準に達するまで(税額控除の方法で)減税措置が受けられるようにし、一定の所得水準を超えた時、減税措置がなくなる制度です。給付つき税額控除制度は欧米で広く採用されている制度で、格差解消にかなりの効果を発揮しているそうです。

給付つき税額控除制度をわが国で導入する際の課題として森信先生は、下記の事項を示しています。

  1. 税制と社会保障給付を一体運営するためには、霞ヶ関の縦割り制度を改める必要がある。
  2. 不正還付を防ぐ手当が必要である。
  3. 給付つき税額控除制度は家族単位で管理する必要がある。現在の所得税は個人単位で家族単位になっていない。
  4. バラバラの社会保障と税を整合して税・社会保障の所得再分配機能の効率化を図ること。

給付つき税額控除制度の導入だけでは、不十分で「上記課題を解決する骨太の抜本的制度改革が必要」として森信先生の記事は終わっております。

格差解消は、少子化対策にもなるという非常に示唆に富んだ記事です。これを契機にして給付つき税額控除制度という言葉だけでも、みなさまの頭の整理箱に入れておいて下さい。 

 

 

格差是正の税制改革として、話題の“ふるさと納税”について、私見を述べます。 

ふるさと納税に関する週刊ダイアモンド(2007/06/02)の記事は次のようなセンセーショナルな書出しで始まっています。

「後世に天下の大愚策として名を残すこと間違いなしの政策が久々にぶち上げられた。それは“ふるさと納税”である。」

私見を述べます。個人住民税の一部を故郷に回し、地方の財政不足を解消するというふれ込みが“ふるさと納税” です。望郷の念を持つ多くの人々の琴線にふれるメッセージです。しかし、“ふるさと納税”は情に訴える政策で、参議院選挙目当ての人気取り政策と考えます。“政治によって生きる政治家”にとっては、政治家でいることが大事です。政治家は、情と共に理に適った政策を提言すべきです。マックス・ウェーバーが求めた“政治のために生きる政治家”であれば、“ふるさと納税”を提言することはないと思料します。“ふるさと納税”が理に適っていないことを述べます。 

先ず、費用と効果の観点から考察します。総務省が作成した平成19年度地方団体の歳入歳出の見込み額では、歳入の合計額は83兆円です。その内訳は、地方税40兆円、地方交付税16兆円、国庫支出金10兆円、地方債等17兆円です。地方税40兆円の約四分の一が“ふるさと納税”の対象となる個人住民税で、残りの30兆円は法人住民税、事業税、地方消費税、固定資産税です。“ふるさと納税”は最大でも個人住民税の10%と言われています。つまり約1兆円、全体の歳入の1%強が今検討されている“ふるさと納税”です。この1%のために追加的に発生する事務負担(誰が、どこに、いくら納税したいかを毎年調べる人件費)は多大なものになることが予想されます。 

次に、都道府県別に見た人口1人当たりの税収格差を考察します。東京がダントツではないかと皆様は想像すると推察しますが、事実は異なります。総務省が作成した地方税と地方交付税の人口1人当たり収入金額(平成17年度)によれば、東京を100とした場合、島根は123.8、高知は109.2、秋田は101.1です。過疎地域の県が意外と人口1人当たりの税収は高いです。ビックリすることは、埼玉は58.3、千葉は62.2、神奈川は63.2と東京近郊の県は非常に低いです。埼玉、千葉、神奈川に住む人がふるさとに納税をしたら、自分の住む県の税収は更に減ることになります。するとそれらの県が提供する警察、消防、ゴミ処理等のサービス低下をもたらします。 

更に、地方税の基本から考察します。前述しましたように地方自治を司るための歳入は、地方が提供する警察、消防、ゴミ処理等のサービスのために費消されます。従って、行政サービスを受ける居住地以外の地に納税することは、応益に応じて負担するという地方税の基本に反します。“ふるさと納税”した人は、居住する地域のサービスにただ乗りすることとなり、その分は他の納税者の負担が増えることになります。公平の観点からも問題があります。

費用と効果の観点から、都道府県別に見た人口1人当たりの税収から、そして地方税の基本から“ふるさと納税” は大いに問題ありです。

格差は地域現象として現れている面もありますが、政治として取り扱う格差とは社会的に弱者になっている人の救済にあると思います。ワーキング・プアーと呼ばれるグループの問題、90歳以上の人が100万人を超える社会での介護の問題が私は格差の問題と解します。次回は、ワーキング・プアーと呼ばれるグループの格差問題を税の観点から検討してみたいです。

地方交付税と国庫支出金を説明します。

 

高齢化に対する税制の手当の一部として2005年4月1日から導入された「人材投資促進税制」があります。当該税制は経済産業省が音頭をとって導入されたものです。しかし、留意すべきは、当該税制が高齢化に対する税制の手当の側面より、我が国の競争力を高める側面が強いです。経済産業省は、「すぐに利益につながらない中長期的な投資である教育訓練費を、戦略的に拡大させることは日本の重要課題であり、研修費用の給与総額に対する割合が欧米の2分の1、中国の5分の1に落ち込んでおり、政策として企業内人材育成を促進することが急務である」と言っています。更に、「団塊世代の定年到達や若者人口の急減が迫る中、企業の人材空洞化が懸念されています。こうした経営課題を踏まえ、企業が場当たり的な教育ではなく、経営戦略の一環として従業員教育をした場合には、減税をして支援をしようというものです。業種・規模を問わず全ての企業が対象となり、更には中小企業に対しての手厚い特別措置があります。研修委託費・教材開発費など幅広い費用が対象となりますので、積極的にご活用下さい」と経済産業省は言っております。

この制度を定年到達後の団塊世代に対する生涯教育・教育費に利用すれば、高齢化に対する税制の手当となります。経済産業省の資料から制度の概要を説明します。

1. 適用事業者
青色申告書を提出する法人又は個人事業者
2. 適用事業年度
平成17年4月1日から平成20年3月31日までの間に開始される事業年度(個人事業者は平成18?20年分の所得に係る申告)
3. 基本制度
○教育訓練費用を前2事業年度の平均額(基準額)より増加させた法人又は個人事業者が対象
○増加額の25%に相当する金額を当期の法人税額(個人事業者は所得税額)から控除
○控除額は法人税額の10%が上限となり翌年度には繰り越せない
4. 中小企業の特例措置
○基本制度に代えて選択可能(基準額・対象条件・控除額上限は同じ)
○総額に対し増加率の1/2に相当する税額控除率(20%上限)を乗じた金額を当期の税額から控除
○地方税(法人住民税)も減額 (課税標準を法人税額控除後の額とする)
5. 教育訓練の対象者
○自社の使用人又は個人事業者のその事業に係る使用人
6. 対象となる教育訓練費
○外部講師謝金...社外講師・指導員に支払う講師料・指導料等
○外部施設等使用料...研修を行うために使用する外部施設・設備の借上料、利用料
○教育訓練委託費...講師、教材等を含め研修の一部又は全体を外部教育機関等へ委託する場合の費用
○外部研修参加費...社員を外部の研修プログラムに参加させる場合の受講料等
○教科書その他の教材費...研修用の教材・プログラムの購入費等

教育訓練費に25百万円費やした中小企業はその金額の20%、5百万円の税の節約が出来る可能性があります。残念ながら、人材投資促進税制のメリットはあまり知られておりません。積極的に利用することを勧めます。もう一つ重要なことは、会計帳簿の整備です。当該税務メリットを最大限享受するには、支出した費目を当該税制に沿った教育訓練費にまとめられるよう会計帳簿を整備することが肝要となります。

少子化社会での税制ー追記

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投稿者、わたなべさん、子ブタの母さんのコメントを読んで、日本の学童保育の現状が改善されるより改悪の方向に進んでいることを知りました。少子高齢化社会がもたらす問題点を解決するのでなく、むしろ、その傷口を広げるような現状に憂慮しています。
子育てがかなり前に終わった私を例にとれば、幼稚園、保育園、学童保育の違いが良くわかりません。このブログの読者の中にも、私と同様な方がおられるのではないかと推察し、ここに幼稚園、保育園、学童保育の違いを説明します。それによって、投稿者、わたなべさん、子ブタの母さんのコメントへの理解が深まるものと思料いたします。
幼稚園―3歳から小学校就学までの幼児の心身の発達を助長するための教育施設(学校教育法に規定される)
保育園―正式名称は「保育所」であるが、語感から「保育園」と称されることが多い。保護者が労働などにより昼間家庭にいないため十分な保育が受けられない0歳から小学校入学前までの乳幼児を対象として保育を行う施設(児童福祉法第24条)
学童保育―保護者が労働などにより昼間家庭にいない小学校低学年の児童に対し、放課後、保護者に代わって行う保育を行う施設(児童福祉法第6条の2?)

保育園が小学小学校入学前までの乳幼児を対象とした施設で朝から晩(場合によっては深夜)まで子供を預かるのに対し、学童保育は小学校に入った児童に対する施設で、授業終了後からほとんどの場合夕方までしか子供を預からないと聞いています。明らかに小学校に入った児童に対する保育に対する行政は著しく遅れています。その遅れが改善される方向にあるのであれば良いのですが、投稿者、わたなべさん、子ブタの母さんのコメントからは廃止の方向にあると聞いて愕然としました。少子高齢化社会とはなにか、そのためにすべき施策は何かの視点が欠落した行政には落胆させられます。しかし、落胆するだけでは明るい未来は来ません。百年河清を俟つの態度を改め、小さなうねりが大きな波になることを信じて、個人レベルで行政を動かす努力をいたしましょう。このようなブログを通じて連帯がうまれ、小さなうねりが大きな波になることが出来ればと願っています。

児童福祉法第6条の2? 「この法律で、放課後児童健全育成事業とは、小学校に就学しているおおむね十歳未満の児童であつて、その保護者が労働等により昼間家庭にいないものに、政令で定める基準に従い、授業の終了後に児童厚生施設等の施設を利用して適切な遊び及び生活の場を与えて、その健全な育成を図る事業をいう。」
児童福祉法第24条 「市町村は、保護者の労働又は疾病その他の政令で定める基準に従い条例で定める事由により、その監護すべき乳児、幼児又は第三十九条第二項に規定する児童の保育に欠けるところがある場合において、保護者から申込みがあつたときは、それらの児童を保育所において保育しなければならない。ただし、付近に保育所がない等やむを得ない事由があるときは、その他の適切な保護をしなければならない。」
児童福祉法第39条?「保育所は、前項の規定にかかわらず、特に必要があるときは、日日保護者の委託を受けて、保育に欠けるその他の児童を保育することができる。」

超高齢化社会での税制

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団塊の世代が退職する2007年から就業者人口がかなりの速度で減少します。就業者人口が減ることは、税収の減少にもつながります。税の観点から検討した資料があります。超高齢化社会はまさに待ったなしの状態です。税の観点から高齢化を検討した報告書があります。政府税制調査会報告書「わが国経済社会の構造変化の『実像』について」(2004年6月)がその報告書です。当該報告者では、2000年と2050年の年齢区分別人口割合に注目しています。そして2050年には3人に1人が高齢者である超高齢化社会になる見通しを述べています。2050年には人口の35.7%(3人に1人)が65歳以上で、その内訳は75歳以上が21.5%、65歳から74歳が14.2%です。私自身、最初、この数値を見てピンときませんでした。団塊の世代が超高齢化社会のオジャマ虫かなと一瞬思いました。しかし、2050年には団塊の世代の人々はすべて死んでいます。2050年の74歳以上は団塊の世代の子供達です。超高齢化社会の本質を見落とすと、団塊の世代の子供達が超高齢化社会のオジャマ虫となってしまいます。
男性の平均寿命は1970年には69歳でした。2000年には77歳、2050年には81歳に近づきます。平均寿命はこれからあまり上昇しませんが、過去30年間は急激に上昇しました。しかし、男性の就業に関する社会の制度は、この30年間殆ど変わっていません。つまり、60歳を超えると就業の機会がなくなります。60歳を超える女性の就業の機会云々は、そもそも制度外の話で問題外です。定年退職してから10年以内に就業者が死亡することを前提に組み立てられた現制度を、定年退職してから20年近く就業者が生存する社会で機能させることに無理があります。また、今の60歳近くの人は、30年前の60歳近くの人に比べて、肉体的若さが大きく違います。これは全く個人的意見ですが、悠々自適の生活(仕事を辞めてから死亡するまでの期間)は、数年で良いのではないかと考えています。元気な間は、若い時とは違った形で働くことの方が、幸せと考えます。

高齢者に対する制度は今こそ変える時期です。私見ですが、以下の施策が超高齢化社会対策には重要と考えます。
?「70歳過ぎるまでマイペースで働くことが幸せだ」という考え方への意識改革、
?定年の延長、あるいは60歳以上の人を優先的に雇用する企業の創設
?生涯教育の機関の充実
?60歳以上の就業者環境の変化に即した税制の導入

高齢化に対する税制の手当が一部なされました。それは2005年4月1日から導入された「人材投資促進税制」です。「人材投資促進税制」により生涯教育・研修費を実施する企業は税制の恩典が受けられます。「人材投資促進税制」については別の機会に検討したいです。高齢化に対して税制改革の観点から「シルバー企業(60歳以上の者を優先的に採用する企業)に対する優遇措置」も提言します。健常者であれば70歳から75歳まで働けます。そうであれば、社会の仕組みを変える必要があります。健常者が70歳まで安心して働ける環境が必要です。その環境が整えば、年金の受取受給資格年齢を65歳から70歳に引き上げることも可能となるでしょう。その環境整備をするにあたって「シルバー企業に対する優遇措置」を導入することは大事と考えます。

少子化社会での税制

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最近の新聞を読むと、少子化、超高齢化社会という言葉が頻繁に目に飛び込んできます。そこで少子化を食い止めるためには日本の税制はどのような方向に進むべきかを検討してみたいです。少子化で重要な指標は、家族構成の変化です。所得税の基本となっている標準世帯(夫婦と子供二人)が、最早、標準世帯では無くなっていることです。1970年代の家族は夫婦と子供二人が標準でした。しかし、これからは、夫婦と子供世帯は、単独世帯、夫婦のみの世帯とほぼ同じ割合になります。また、ひとり親と子供の世帯も逓増していきます。しかし、現在の税制は標準世帯以外の世帯に対しては冷たいです。
余談になりますが、日本では依然として「結婚したカップルが子供を育てる」という社会通念が強く、この通念から外れた子育てを異端視する傾向が強いです。このため、子供を持つためにはまず結婚というハードルをクリアしなければならいないし、離婚などにより女性が一人で子育てをする場合に、男性側からの養育費の支払いについての不確実性が高いので、女性が子供をもつことのリスクは非常に大きいです。教育水準に男女の差がない状況では、女性の生き方に多様性がでるのは当然と考えます。色々な生き方をしている女性が子供を出産できる環境作りが、真の少子化対策と考えます。私見ですが、以下の施策が少子化対策には重要と考えます。
?「結婚したカップルが子供を育てる」という従来の家族観の変更、つまり、「産んじゃったシングル」を受け入れる社会への意識変革
?幼児だけでなく小学生まで入れる保育所の整備、
?小学校3年生修了で打ち切られる児童手当を高校卒業まで支払う、また、児童手当の増額の実施
?ひとり親と子供の世帯に対する優遇税制の導入

税制改革の観点から提言することは「看做し配偶者控除」の創設です。ご存知のように標準世帯(夫と専業主婦)では専業主婦に対して配偶者控除が取れます。しかし、母子家庭は当然のこととして配偶者控除の対象外です。しかし、働く女性は、専業主婦に代わる外部のサポート(看做し配偶者)を必要とします。ですから、そのようなに働く女性に対して配偶者控除を認めることが少子化対策に対して有効な手段と働くでしょう。

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