Entries tagged with “非ケインズ効果、増税、村田守弘” from 公認会計士・税理士 村田守弘のブログ
増税と財政支出の削減は、景気対策に逆行すると政治家もマスコミも騒いでいますが、何かおかしいという素朴な疑問から「増税すると景気が上向く」という題の連載記事を書きました。今回は最終回です。
「増税すると景気が上向く」ための増税する税は、基本的に消費税と所得税です。私見ですが、法人税は減税すべきです。その理由は、日本の法人税の実効税率(40%強)がグローバルスタンダード(25%前後)から考えると異常に高いことにあります。雇用を守るには、付加価値を生む活動を日本でする必要があります。しかし、日本で高い付加価値を付ける活動は、法人税の高さを考えると魅力的ではないです。法人税率を下げて雇用を守り、今、消費税、所得税の負担が増えても生活安定という長期的展望(夢と希望)を政治が与えることが出来れば、国民は安心して所得を消費に回すことが可能となると解します。
多くの人は健康に良いことは知っています。しかし、なかなか暴飲暴食を止めることができません。人は長期的には理性重視であっても、短期的には感情重視で行動してしまいます。緩やかな増税が財政再建にプラスになり、将来の大増税という最悪のシナリオを避けるには大事であると理性は判っても、今無理に増税しなくても良いではないかという感情がフツフツを湧いてきます。消費税、所得税の負担が増えても生活安定という長期的展望、つまり夢と希望を与える啓蒙活動が非常に大事です。
現在、世論を動かす上で最も影響力のある人々は、TVメディアのニュース番組というワイドショウに出ている司会者、評論家です。しかし、視聴者が喜ぶような発言(感情重視の発言)を繰り返すことではなく、社会の木鐸としての理性重視の発言を彼等に望む次第です。政治を悪くしているのもメディアであり、良くするのもメディアと考えております。 (完)
増税と財政支出の削減は、景気対策に逆行すると政治家もマスコミも騒いでいますが、何かおかしいという素朴な疑問から「増税すると景気が上向く」という題の連載記事を書きました。今回は第4回です。
1980年代初頭、アイルランドでも大幅な財政赤字が計上され、その時の施策はデンマークと同様なものでした。しかし、アイルランドでは上手くいきませんでした。アイルランドで上手くいかなかった原因について、流動性制約に直面する家計が多かったことが挙げられています。流動性制約に直面する家計とは、その日暮らしに明け暮れている家計のことです。国民の多くがその日暮らしの生活を強いられていると現在の消費を控える余裕が生じないため財政支出の削減は、有効需要の減少に直接結びつくと考えられます。流動性制約があると「増税すると景気が上向く」になりません。日本では流動性制約に直面する家計が多いか検討してみます。
貯蓄を保有していない世帯を、流動性制約に直面する家計と捉えれば、その割合は22.1%(金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査」(2008年))に達します。一方、過去1年のうちに借入を拒絶されたり、断念したことがある家計を流動性制約家計とすると、その割合は2007年度調査で3.4%(家計経済研究所「消費生活に関するパネル調査」)でありました。さらに、同様の定義(ただし過去3年間の借入れ拒絶経験を質問している)で見ると、9.4%の世帯となりました。以上の調査結果から全家計の10%から20%は、流動性制約に直面する家計が日本にはあると考えられます。これら家計が「増税すると景気が上向く」の制約条件となります。その制約条件を取り除かないと「増税すると景気が上向く」にはなりません。、流動性制約に直面する家計救う施策が必要となります。鳩山政権の給付付き税額控除等の施策は、その観点から的を得た施策と解します。給付付き税額控除とは、ある一定以下の所得水準の家庭には生活保護を給付する。そして、その家庭の所得が上がっても、一定の所得水準に達するまで(税額控除の方法で)減税措置が受けられるようする制度です。(続く)
増税と財政支出の削減は、景気対策に逆行すると政治家もマスコミも騒いでいますが、何かおかしいという素朴な疑問から「増税すると景気が上向く」という題の連載記事を書きました。今回は第3回です。
国債の残高が600兆円を超えると報道されていますが、これは普通国債の残高で、財投債、政府借入金、地方の長期債務を入れると既に1,000兆円を超えています。今年度の税収見通しは37兆円前後です。税収で、少子高齢化社会に対応した社会保障をしていかなければならないのです。この数値を見るだけでものすごい増税圧力があることが判ります。増税圧力があると将来の増税を恐れる国民は、心理的に現在の消費を控えるようになります。現時点での適切な増税は、近い将来の大幅な増税が回避される予想が形成されます。このことは、生涯にわたる可処分所得を増加させることになり、現時点での適切な増税は民間消費にプラスとなることがその理由です。1980年代初頭、デンマークでは大幅な財政赤字が計上され、その時の施策が"増税"と"財政支出の削減"でした。その結果、民間需要が増加し、財政再建と景気回復が同時に達成されたのです。「増税すると景気が上向く」は実証済みの経済政策です。(続く)
増税と財政支出の削減は、景気対策に逆行すると政治家もマスコミも騒いでいますが、何かおかしいという素朴な疑問から「増税すると景気が上向く」という題の連載記事を書きました。今回は第2回です。
従来の伝統的マクロ経済学の枠組みでは、減税や財政支出の追加は総需要を増加させる(ケインズ効果)考えています。ですから「減税すると景気が上向く」と考えるのは至極当然です。しかし、将来の税負担が先送りされていたらどうなるでしょうか?それが国民の目から明らかである場合、減税や財政支出の追加のケインズ効果を相殺するに十分なマイナス効果(非ケインズ効果)が生まれているのではないでしょうか?
国債の残高がGDPに比較して相対的に低い場合、国債の元本の返済、利子の支払は、歳出に占める割合は比較的低いです。しかし、国債の残高がGDPに比較して異常に高い場合、国債格付けも低下し、利率が上がります。そうすると元本の返済、利子の支払の歳出に占める割合は段階的に上昇します。時が経過するほど増税圧力は増すのです。
今の日本のおかれている状況から考えると、国民は肌感覚で強い増税圧力を感じていると思います。このような異常な経済環境で減税や財政支出の追加は総需要を増加させるのでしょうか(続く)
増税と財政支出の削減は、景気対策に逆行すると政治家もマスコミも騒いでいますが、何かおかしいという素朴な疑問から「増税すると景気が上向く」という題の連載記事を書きました。今回は第1回です。
世界大恐慌の中、1933年にF.D.ルーズベルトは米国大統領となり、彼は有名なニューディール政策を採りました。その政策で大恐慌を克服することが出来ました。ニューディール政策の根幹は、積極的財政支出でした。積極的財政支出の乗数効果によって所得と消費の増加が生まれ、景気は上向きに転じたのです。財政支出の乗数効果による所得と消費の増加をケインズ効果と呼んでおり、昨今の鳩山内閣での景気対策もそのケインズ効果の延長上にあります。増税と財政支出の削減は、景気対策に逆行すると政治家もマスコミも騒いで、税収の倍の国債を発行して歳出を賄うことを是としています。しかし、失われた10年を見るまでもなく、日本の経済成長は低迷しています。なにかが間違っているが素朴な疑問です。
「増税すると景気が上向く」は、乱暴かも知れませんがニュー・ニューディール政策といえるかも知れません。(続く)
